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飼育コイを指標とした河川水質のモニタリング(横浜市公害研究所報 第12号)
河川水のモニタリング方法として、河川水の流水方法で、試験用の孵化後約1ケ月のコイを1年間飼育し、その体内の蓄積物質を測定する方法を試みた。この結果、重金属類の蓄積量は対照群と実験群の間にほとんど差は認められなかったが、有機塩素化合物では差が認められた。PCBは対照群の70ng/gに対し、実験群では330ng/gであり、同様にPP'-DDEは0.070n... -
魚類へい死事故に関する調査 -柏尾川-(横浜市公害研究所報 第12号)
魚のへい死がしばしば派生する横浜市南部を流れる柏尾川において、降雨時とその後の水質変化および魚に対する濃縮毒性の変化を調査した。その結果、毒性の強さはNH₄-Nと対応していることが明らかとなった。また柏尾川水系4地点で水質および濃縮毒性の季節変化を調査した結果、地点により毒性の強さは異なるとともに、季節的にも異なっていた。そして、濃縮毒性がアンモニア(... -
底質柱状試料からみた横浜港の汚染の変遷(横浜市公害研究所報 第12号)
横浜港における底質柱状試料の金属類、油分、科学物質および珪藻について調査し、過去の連続的、多面的な水質汚濁の変遷について推察した。また、東京湾における同様な調査結果、石油などの生産量のデータと対比させることにより、堆積年代の推定を試みた。その結果、次のことが明らかとなった。... -
横浜市における魚類へい死事故について(横浜市公害研究所報 第11号)
昭和51年度から59年度に横浜市水域で発生した魚類へい死事故について、事例解析を行った結果、以下のことがわかった。 (1)へい死事故は昭和51年度から59年度の間に85件発生し、原因別に酸欠(豪雨に伴う汚染底質の巻き上げや赤潮など気象条件に関係するもの)・工場(工場および工事排水)・原因不明が各々56、13、31%を占めた。... -
横浜市における魚類を指標とした工場排水の規制手法に関する研究(その2)(横浜市公害研究所報 第11号)
本報告では指針に基づく実際の工場の飼育状況や検査結果、排水の評価について、昭和54年度から昭和58年度までの5ヶ年間について5工場を対象に検討した結果を示した。その結果、水質分析では把握できない排水の生物への影響について一定の評価が可能であることが示唆された。 -
水域環境指標-III 鶴見川のフナによる水域環境評価の研究 -亜種別、性別、季節別の形態、血液、血清成分について-(横浜市公害研究所報 第11号)
鶴見川に生息するフナを指標魚として血液生理学的観点からモニタリング手法の基礎的検討を行い、以下の成績を得た。(1)調査期間は、1983年2月から1986年2月の3年間であった。供試魚の年齢組成は2歳魚が多く占めた。(2)鶴見川に生息しているフナは鰓耙数、背鰭軟条数、赤血球長経から区分すると、キンブナの雌雄2倍体、ギンブナの雌3倍体が多く占め、まれに2倍... -
鶴見川中流域における水質の周日変動(横浜市公害研究所報 第10号)
鶴見川水系の千代橋、都橋の両地点における水質等の周日調査を実施したところ、いかに示す結果が得られた。 (1)都橋では千代橋に比べて流動変動が大きく、恩田川水系は1日に流量ピークが2つ現われる典型的な都市河川であった。... -
Nitzschia palea(Kϋtz.)W.Smithの培養試験による帷子川と大岡川の藻類増殖潜在能力の調査(横浜市公害研究所報 第10号)
Nitzschia palea の培養試験により測定した帷子川と大岡川のAGPは、夏期に0.14~1.25 Chl. a mg/ℓ、冬期に0.12~1.78 Chl.a mg/ℓで冬期に大きい値となる傾向が認められた。... -
野外飼育におけるコイの血液成分の季節、年齢、性による変化(I)(横浜市公害研究所報 第10号)
神奈川県産のコイを用い、野外実験水槽で2年8ヶ月にわたり飼育し、血液成分の季節、性、年齢及び生長による変化について検討し、以下の成績を得た。 1)給餌条件は実験開始2年後に飼料効率、増重率が高かった。3年後は秋、冬で高かった。 2)体重は実験開始時の平均が8.4gから、終了時が737.1gに増加し、生殖腺重量比は3年目で6.5%と高い値となった。... -
横浜市における魚類を指標とした工場排水の規制手法に関する研究(横浜市公害研究所報 第10号)
横浜市は、1975年(昭和50年)から、工場排水規制において生物学的手法の導入について検討を進めてきた。その結果、1977年12月に飼育手法について「工場等に係わる魚類飼育指針」、1982年に検査手法について「魚類指標による排水評価のための技術要領」、1985年には排水の評価手法について「魚類指標による暫定排水評価指針」を策定した。本報では導入の背景、... -
Nitzschia palea(Kϋtz.)W.Smithの培養試験による境川の藻類増殖潜在能力の調査(横浜市公害研究所報 第9号)
Nitzschia palea を供試藻とし、藻類培養試験により測定した境川のAGPは夏期に1.48~2.33 Chl. a mg/ℓ、冬期に2.09~2.61Chl. a... -
Nitzschia palea(Kϋtz.)W.Smithの培養試験による鶴見川の藻類増殖潜在能力の調査(横浜市公害研究所報 第9号)
1981年8月から84年2月の間、鶴見川水系で代表的付着藻類のNitzschia paleaを供試藻として測定した鶴見川の藻類増殖潜在能力は、恩田川が最も高く(1.10~2.88 chl. a mg/ℓ ), 次いで鶴見川本流( 1.06~2.54 chl. a mg/ℓ), 谷本川(0.68~1.87 chl. a mg/ℓ),... -
メッキ業排水の鯉を用いた急性毒性試験 (第1報)(横浜市公害研究所報 第9号)
排水の処理効果を生物学的に評価する試みとして、捺染業、洗濯業に続き、電着塗装作業を一部含むメッキ業の排水について、75時間急性毒性試験法による現場実験を行った結果、次のことがわかった。 1) メッキ系排水実験でシアン系、クロム系排水では、CN⁻,... -
コイ(Cyprinus carpio)の鰓における形態学的研究 -水温及び溶存酸素量との関係-(横浜市公害研究所報 第9号)
魚類の健康診断技法の一つとして、鰓の形態について水温及び溶存酸素量との関係から検討を行った。その結果、水温及び溶存酸素量の環境条件を変えることにより鰓に形態的変化が現れることが明らかになった。低水温(6℃)時で酸素が充分ある条件においては、鰓弁、二次鰓弁上皮は拡張し、それに伴ない二次鰓弁における外界との接触面積は減少した。又飼育条件を低水温から高い水温... -
コイ(Cyprinus carpio)における摂取率と飼料効率について(第2報) -水温との関係-(横浜市公害研究所報 第9号)
工場排水の影響を成長試験で評価する場合、摂餌率と飼料効率との関係、および水温、溶存酸素量等飼育環境との関係を把握し、適正な給餌条件を明らかにする必要がある。今回、3飼育水温条件下における摂餌率と飼料効率との関係について検討を行った。その結果、飼育水温の影響が飼料効率に現れること、およびその場合における適正な給餌条件について明らかになった。 -
コイ(Cyprinus carpio)の血液性状に及ぼす塩化ナトリウムの影響(第2報)(横浜市公害研究所報 第9号)
淡水魚であるコイを高濃度の塩化ナトリウム(NaCl)に直接曝露して、生理学的影響について検討した。前回は血清無機塩について報告した。今回はヘモグロビン、ヘマトクリット等を中心に検討し、以下の結果を得た。 1) 実験水の塩分の濃度段階は対照区(0%)、実験I区(0.50%)、II区(0.75%)、III区(1.00%)の計4段階であった。... -
コイ(Cyprinus carpio)における肥満度について(第2報)(横浜市公害研究所報 第8号)
成長量によるコイの健康評価法を確立するための一環として、肥満度と水温との関係について検討した。今回おこなった試験の結果から、肥満度は水温の低い飼育条件の方が高い飼育条件に比べて大きくなる傾向があることがわかった。また、このことは、飼育水温を低温から高温へ変えた場合に肥満度が小さくなる傾向があることからも確認できた。これらの関係については、日間増重率と日... -
コイ(Cyprinus carpio)の血液性状に及ぼす塩化ナトリウムの影響(第1報)(横浜市公害研究所報 第8号)
淡水魚であるコイを高濃度の塩分(塩化ナトリウム)に直接曝露して、塩分のコイに及ぼす生理学的影響について検討した。今回は成長量、血清無機塩量を中心にして検討し、以下の結果を得た。 1)... -
Nitzschia palea(付着性ケイ藻)を用いたAGP測定法の検討(第2報) -河川水による培養試験-(横浜市公害研究所報 第7号)
Nitzschia palea を供試藻とするAGP測定法を確立するため、河川水を用いた藻類培養試験等の実験を行った。その結果以下のことが明らかになった。 1)熱分解法とろ過法で前処理した試水の無機窒素化合物濃度はほぼ同じであるが、リン酸態リン濃度は熱分解法で前処理した試水で小さくなる傾向を示した。 2) 試水の希釈は最大増殖量が1,000 chl... -
コイ(Cyprinus carpio)における肥満度について -日間増重率との関係-(横浜市公害研究所報 第7号)
コイの肥満度について日間増重率および日間増重率と日間体長増加率との関係から検討を行った。実験結果から肥満度と日間増重率に正の相関が見られ、このことからも、肥満度と日間増重率との間に相関があることが数学的明らかになった。
