-
生物による水質モニタリングシステムについての検討(横浜市環境科学研究所報 第19号)
生物を用いた水質のモニタリングは、理化学分析のような汚濁物質の数量化は困難であるが、汚濁物質の影響の連続的かつ総合的な把握が可能である。河川などの水域の水質異常を把握するうえで生物は重要な指標となる。ここでは生物(魚類)による水質の一般的なモニタリング法の特徴について述べるとともに、急激な水質の異常時における魚の水槽中の行動を監視用ビデオカメラを用いて... -
都市における地表温度の特性(その1)(横浜市環境科学研究所報 第19号)
横浜市環境科学研究所周辺の宅地、林、草地、樹木等について、主に晴天日での年間の表面温度を観測した結果、その表面温度は宅地>草地>林及び樹林の順に高くなる傾向を示した。また各表面温度と気温の関係も季節により特有な傾向がみられ、特に夏期では直線相関としてまとめられる場合が多かった。さらに林、樹木などの植生の表面温度と気温の間には、年間を通じて観測値が一致す... -
都市での植生指標を用いたヒートアイランド現象解析のためのNVIモデル(その2) -季節による特性-(横浜市環境科学研究所報 第19号)
前報では夏期の都市での温度上昇について人工衛星データを用いて解析したが、今回は季節について解析した。その結果、前報と同様の手法を用いると、季節によっては誤差が大きくなる場合が生じたため、新たにマトリックスモデルを考案し、これによって解析することにより良い結果が得られた。そこで、横浜市域での今後の植生減少による温度上昇を推定した結果、夏期に比べて冬期では... -
都市域における林内雨・樹幹流(2) -樹木汚染と光化学二次生成物資-(横浜市環境科学研究所報 第19号)
1991年3月~1992年4月までの約1年間、横浜市磯子区で、ヒノキを対象樹木として、樹木内外の降下物、樹幹流を一降水毎採取し、その成分濃度を分析した。その結果得られた樹幹流初期1ℓの分画データと調査地点付近のSO₂, NO₂, SPM, Oxなどの常時監視局データを比較し、樹木汚染と大気汚染物質との関係を検討した。その結果、次の事がわかった。... -
横浜市内水域環境中の細菌に関する研究(I) -貧栄養細菌の分離と培養について-(横浜市環境科学研究所報 第18号)
水域環境中には、Flavobacterium, Pseudomonas, Acinetobacter をはじめとする好気性従属栄養細菌, Beggiatoa, Gallionella のようなイオウ、鉄細菌、Nitrosomanas, Nitrobacter... -
ミズワタの生長について(II) -河川における生長と水質変化について-(横浜市環境科学研究所報 第18号)
ミズワタは水質汚濁の進行した都市河川の川床にしばしば認められる白色~黄銅色の綿状の微生物集合体で糸状細菌 Sphaerotilus natans を優占種としている。このミズワタはよごれた水域の汚濁指標生物となっているが、その生長のメカニズム等に関しては不明な点も数多く残っている。そこで前報においては、液体培地中のS.natans... -
横浜市内におけるカワモズク(Batrachospermum moniliforme) の季節的な出現状況とその分布(横浜市環境科学研究所報 第18号)
Batrachospermum... -
都市での植生指標を用いたヒートアイランド現象解析のためのNVIモデル -人工衛星データによるモデル化-(横浜市環境科学研究所報 第18号)
都市の温度は年々上昇傾向にあり、このまま上昇し続けると都市環境の悪化とともに生態系などへの影響も懸念される。この現象はヒートアイランド現象と呼ばれ、人工衛星データによって得られる地上の温度情報はこのヒートアイランドの解析に適しているものと考えられる。そこでランドサットデータの解析より都市での温度分布には植生の影響が大きく関与していることがわかり、ランド... -
小学校プールおよび市営プールのヤゴを中心とした生物調査(横浜市環境科学研究所報 第17号)
横浜市では、自然と共生したまちづくりの実現に向けて様々な試みを行っている。その一つにトンボの生息環境づくりがあり、市内数十か所にトンボ池の建設を行ったため、多くのトンボが横浜に戻って来ている。トンボ池で発生したトンボの中には、人工的な環境にも生息することのできる種類も多く、特にシオカラトンボ、ギンヤンマ、などのトンボの成虫は、新しい生活環境を求めて移動... -
ミズワタ(Sphaerotilus natan) の生長について (1)液体培養中の生長と水質変化について(横浜市環境科学研究所報 第17号)
有機性汚濁の進行した都市河川ではミズワタが大発生して河床を覆っている場合が少なくない。このミズワタは降水などによる水量の増加や、こすりとられるなどの物理的作用により、簡単に剥離して懸濁性物質として河川水中を流下していく。そして剥離した場所では再びミズワタの増殖が始まり、3~5日で元のようなミズワタを主とする生物膜が生成される。このミズワタの挙動と有機性... -
トンボ・エコアップに関する中間的考察 -本牧市民公園の事例を中心に-(横浜市環境科学研究所報 第17号)
エコロジカル・ライフスタイルを実現するためにはエコロジカルな都市環境(エコシティ)づくりが必要である。その都市空間のエコロジカル化は新しい課題であり、そのための方法論(ネイチャーデザイン)と技術手法(エコアップ・テクノロジー)の研究開発が求められる。本報は、トンボを象徴とした池環境のエコアップ・テクノロジーの確立を目的に、本牧市民公園において試みたフィ... -
河川水の水質浄化法の研究(第2報)(横浜市環境科学研究所報 第17号)
抽水植物の一種であるキショウブを水耕法で植栽した人工水路により実際の河川水を使用して水質浄化実験を行ったところ、夏期~秋期10~24時間の滞留時間で溶存態全窒素を35~58%、溶存態全りんを60~89%除去することができ、従来河川等の水質浄化法として有効とされていた礫間浄化法に比べて安定で数倍の除去能力を有することが確認された。 -
横浜市北部に分布するヌカエビParatya compressa improvisa の生態に関する研究 -港北ニュータウンの地区3号公園とこども自然公園の...
都市自然の中で生息する在来の生物種の把握を目的として、ヌカエビParatya compressa improvisa... -
丘陵地の源流部にみられる生態系の特徴(横浜市環境科学研究所報 第17号)
ほとんど水が流れていないような丘陵地の樹林内の源流部でも、環境に適応した多様な水生生物群集がみられた。魚類は生活空間が狭いところでも生息する底生性の種が分布し、水生動物群集は拾集性の採集食者や落葉を食べる破砕食者が優占し、落葉の多い底質環境に適応した群集が形成されていた。藻類の付着基質は水底に堆積した落葉であるために、基質としては安定性が悪く、藻類群集... -
都市域における林内雨・樹幹流(1) -樹木内外雨の成分組成と年間降下量(横浜市環境科学研究所報 第17号)
酸性雨・酸性降下物による森林への影響を調査するため、1991年3月~1992年4月までの約1年間、横浜市磯子区滝頭で、ヒノキを対象樹木として、樹木内外の降下物、樹幹流を採取し、森林汚濁の発生メカニズムの解明、森林土壌へのNO₃⁻, SO₄²⁻ 等の負荷量を調べた。また、他地域で実施された調査結果との比較も行った。その結果、次の事がわかった。(1)... -
帷子川で見られたボラ(Mugil cephalus) の病魚(横浜市環境科学研究所報 第16号)
横浜市内の帷子川の保土ヶ谷区役所の近くで、体表に白や紅色の斑点状のものが付着する気味の悪い病魚のボラが多数見られるという通報が1989年5月頃に市民から寄せられた。この病魚のボラについては、1989年4月11日に大岡川の南太田付近で確認し、1989年6月2日にも帷子川の保土ヶ谷区役所前で確認している。最近では、季節により市内の多くの水域でも見られている... -
横浜市内親水河川の各種細菌数について(横浜市環境科学研究所報 第16号)
大都市においては人口の増加に伴い都市開発が進められ河川のコンクリート張りによる改修や緑地の消失が行われている中で、都市に残された川は市民の心にうるおいを与える貴重な場所である。現在横浜市では市民が水辺に親しめるように親水公園や小川アメニティが建設されている。しかし、河川の水質に関しては下水道や工場排水施設の整備が進み改善されつつあるものの依然として清流... -
横浜市内河川の糸状細菌の分離と同定について(横浜市環境科学研究所報 第16号)
有機性汚濁の進行した都市河川においては冬期に糸状細菌(ミズワタ)が河床の全域を覆うほど大発生し、その一部はちぎれて懸濁性物質として河川水中を漂流する。このミズワタは水質汚濁指標生物として知られており、β-強腐水性~α-中腐水性の指標生物とされているが、市内河川で分離し同定した例は極めて少ない。そこで今回河川からの試料採取及び培地に工夫を加え、糸状細菌の... -
掘割川河口における水質変動特性 -感潮河川での潮位振動の影響-(横浜市環境科学研究所報 第16号)
光学的測定機を用い掘割川河口の表層水質を約2週間にわたって連続測定し、河川感潮部における水質変動特性を調べた。水質変動には主として潮位振動に伴う12時間周期成分と日周変動による24時間周期成分が認められ、12時間周期成分から潮汐作用による海水の移流が海域からの二次汚濁の負荷影響を感潮部にもたらしていることがわかった。感潮部における植物プランクトンの増殖... -
魚の死亡事故の原因究明についての検討(横浜市環境科学研究所報 第16号)
魚の死亡事故の原因究明手法について、筆者らの今までの事故時の体験と室内実験の結果などをもとに検討してまとめた。現場調査における酸欠、窒息、毒物などの死因推定法と生物学的手法、理化学手法による毒物検索について示した。
