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魚類へい死原因究明のための研究II -コイの溶存酸素低下と水温上昇時における血液性状の変化-(横浜市環境科学研究所報 第16号)
前報では、室内に設置した流水式の実験装置を用い溶存酸素の低下速度を変化させて魚体の生理状態を検討した。今回は、さらに水温変化を加えて死亡に至るまでの機序を明らかにするために行った。実験条件は、溶存酸素の低下速度を高めるのと同時に水温の上昇速度を変化させた、実験IV、実験V、実験VI、また水温だけを変化させた実験VIIの4区とした。... -
水質の回復が河川藻類群集に及ぼす影響(横浜市環境科学研究所報 第16号)
鳥山川と和泉川では自浄作用によりBOD濃度は低下するが、窒素、リン成分の減少は少なく、窒素成分に占めるアンモニア態窒素の割合が大きかった。このような自浄作用に伴う水質の変化が藻類群集に及ぼす影響は小さく、どの地点でも窒素従属栄養性の藻類が群集を代表していた。一方、下水処理水を維持用水として流している野火止用水では供給水の窒素除去を始めてからは、硝化の進... -
横浜市内水性細菌の核酸組成分析(グアニン-シトシン含量)を用いた分類(横浜市公害研究所報 第15号)
河川水中には河川環境に応じて多くの従属栄養細菌が生息しているが、その細菌の種類と環境に関する研究例は極めて少ない。この理由の一つには細菌の分類同定が困難かつ時間がかかるということが挙げられよう。そこで今回従来の方法の他に同定の一手法としてグアニン-シトシン(GC)含量に着目し実験を行ったのでここに報告する。 -
ο-ジクロロベンゼンのアカヒレ(Tanichthys albonubes)及びヌカエビ(Paratya compressa improvisa) に対する...
ο-ジクロロベンゼンはうじ殺し製剤中に多量に含まれており、平成元年10月には横浜市内で河川中(大岡川)に流入し、魚の死亡の原因となったものと推察されている。しかしο-ジクロロベンゼンの水生生物への影響に関しては、田中らによるグッピーを用いた検討例などがあるのみで、まだあまりよく知られていない。そこで今回水生生物としてアカヒレ(Tanichthys... -
水生植物と接触ばっ気法の組合せによる水質浄化法の検討(第3報)(横浜市公害研究所報 第15号)
接触ばっ気法と水生植物植栽水路(キショウブ、オランダガラシ)との組合せによる水質浄化実験を実際の池水を用いて行った結果、キショウブを植栽することにより透視度、SS、T-N及びT-Pについて年間を通して安定した処理効果が得られた。一方、オランダガラシの処理効果は実験開始当初良好であったが、その後低下した。また、接触ばっ気法の沈殿槽を改良したことによりSS... -
境川・引地川の淡水魚類、底生動物、藻類について(横浜市公害研究所報 第15号)
境川、引地川の魚類、底生動物、藻類の分布状況を夏期、冬期に調査し、河川環境と水質汚濁との関係について検討した。魚類の出現種類は、境川で8科16種、引地川が5科8種であった。分布状況は、境川が自然環境が残る源流部でカジカが出現し、アブラハヤが優占種であった。上流~下流は出現魚種が少なく、下流になると回遊魚、周縁性魚が出現した。引地川は全体に少なかった。魚... -
鰓の形態観察による酸欠死の有無の推定方法(横浜市公害研究所報 第15号)
魚の死亡原因究明法の一つとして、鰓の形態観察による酸素欠乏死の推定方法について検討した。検討の結果、鰓の形態観察が、酸素欠乏による死因の推定に有効であることが明らかになった。 -
赤潮の消長における気象因子の影響(横浜市公害研究所報 第15号)
光学的自動測定機を組み込んだブイを横浜市沿岸海域に設置して、夏期の約3ヶ月間、水質の連続観測を行い、植物プランクトンの消長に対する気象因子の影響を検討した。その結果、植物プランクトン量の増減は水温変動と密接に対応しており、特に降雨後の水温の上昇はその増殖速度を高めること、また水温が高めに維持されると成層構造が発達し栄養塩の豊富な河川水が海域上層に保持さ... -
紫外部吸収、濁度、蛍光強度の連続測定による横浜市沿岸海水の有機汚濁状態の観測(横浜市公害研究所報 第14号)
富栄養化した海域では、植物性プランクトンの増殖に伴う海水中の有機物の増加が、水質の有機汚濁の一因とされている。しかし、植物プランクトン群集の出現する種類、出現頻度、現存量、消長の期間等は、その海域の富栄養化状況の程度をはじめとして、潮流、海水温、水塊構造等の海象、さらには日射量、気温、風向風力、降雨等の気象条件の影響を受け、大きな変動を余儀なくされてい... -
横浜市内河川における従属栄養細菌 -大岡川-(横浜市公害研究所報 第14号)
横浜市内河川(大岡川)の水質を調査したところ、源流部(氷取沢)においてはBOD 0.8mg/ℓ、従属栄養細菌数 1.0 x 10⁴ ml⁻¹、中流部(日下橋)においては BOD 4.1mg/ℓ、従属栄養細菌数 2.4 x 10⁵ ml⁻¹ となり、BOD... -
魚類へい死原因究明のための研究I -コイの溶存酸素低下時における血液性状の変化-(横浜市公害研究所報 第14号)
市内河川で発生する魚類のへい死事故の原因究明の一助とするために、コイの溶存酸素量低下時の生理学的反応を検討した。実験条件は、流水式の実験装置を用いDO量低下速度が約3時間で1mg/ℓ... -
横浜港における底質の堆積要因(横浜市公害研究所報 第14号)
横浜港の内港地区における底質の堆積要因及び堆積速度について明らかにするため、セディメントトラップによる調査を約1年間行った。その結果、帷子川の河口前面にあたる地点では底質に堆積する沈降性粒子のうち、河川流入負荷の寄与率が約29%程度であると推察された。また、生物生産は7~9月にかけて増大し、水深3m程度の表層においては珪藻による生物生産負荷が沈降性粒子... -
水生植物と接触ばっ気法の組合せによる水質浄化法の検討(第2報)(横浜市公害研究所報 第14号)
固定床式接触ばっ気装置と水生植物植栽水路(アシ、マコモ、キショウブ)との組合せによる水質浄化実験を実際の池水を用いて行った結果、植物としてキショウブを植栽することにより透視度、SS、COD、T-N及びT-Pについて年間を通して良好な処理効果が得られた。植物の生長は、マコモ及びキショウブで良くアシでは悪かった。また植物体の回収については、マコモ及びアシで... -
横浜港における水質の推移 -横浜検疫所の1956年から1972年までの調査結果-(横浜市公害研究所報 第13号)
横浜検疫所が行った1956年から1972年までの、横浜港4地点における水質調査結果を解析した。その結果、過マンガン酸カリウム消費量の濃度は1956年に比較して、1958年には約2倍に、1956、66年には約6倍にも増加しており、経済の高度成長に伴い水質汚濁が進行していった状況をよく表していた。アンモニア性窒素は全体としては増加傾向を示していた。また、沿... -
水生植物と接触ばっ気法の組合せによる水質浄化法の検討(第1報)(横浜市公害研究所報 第13号)
池や小河川等比較的小規模な水域の水質浄化方法の一つとして、SSの除去を目的とした固定床式接触ばっ気装置と修景効果のある水生植物を植栽した人工水路との組合せによる処理実験を実際の池水で行ったところ、SSの除去率80%以上、処理水の透視度100度以上の結果が得られた。また、池水中の全窒素、全りんの濃度は低かったが、この実験装置により、それぞれ36%、73%... -
魚類へい死事故に関する調査(第2報) -アカヒレを用いた大岡川河川水の濃縮毒性-(横浜市公害研究所報 第13号)
魚類のへい死原因究明に関する研究の一環として、1986年の柏尾川調査に引き続き1987年に大岡川について調査を行った。その結果、柏尾川の場合と同様、毒性の強さはNH₄-N 濃度と対応しており1日の中では24時頃、季節としては冬期に毒性が強いことが明らかとなった。しかし、実際の河川の中においては、NH₄-N... -
海水中の高級脂肪酸とSkeletonema costatum の増殖との関係について(横浜市公害研究所報 第13号)
海域における高級脂肪酸の消長を検討するため、珪藻のSkeletonema costatumの培養実験により脂肪酸濃度とSkeletonema costatumとの関係を検討した。Skeletonema costatumの増殖により脂肪酸が生成された。脂肪酸は海水中でその濃度が減少した。また脂肪酸が存在する海水中ではSkeletonema... -
Skeletonema costatumの培養試験による横浜市沿岸域の藻類増殖潜在能力の評価(横浜市公害研究所報 第13号)
東京湾で代表的に出現する植物プランクトンのSkeletonema... -
残留塩素のコイの鰓呼吸に及ぼす影響(横浜市公害研究所報 第12号)
1.5ℓ容量のガラス製気密容器を用いた呼吸量測定方法による、残留塩素のコイ呼吸量に及ぼす影響について検討を行った。0~1.0mg/ℓ濃度の残留塩素に5分間曝露した後、その呼吸量を測定した結果、対照群の319±8㎍/g ・hrに対して、0.3mg/ℓでは257±14㎍/g ・hr... -
魚類の簡易呼吸量測定法(横浜市公害研究所報 第12号)
1.5ℓ容量のガラス製気密容器を用いた、水中溶存酸素消費量による魚類の呼吸量の簡易な測定法について、コイを用いて試みた結果、最終溶存酸素濃度を5.0mg/ℓ以上で、測定時間20分にして測定し、319±8㎍/g ・hr と、精度も良く、安定した測定結果を得ることができた。水質汚濁の魚類の鰓呼吸に与える影響を知る方法として有効であることがわかった。
