平成20年度採択事業の概要

No. 事業名 協議会名 事務局 事業実施期間
1 知床世界自然遺産地域における生物多様性保全事業  知床・海と森の生物多様性保全協議会 北海道斜里町 H20 ~ H22
2 ラムサール条約湿地「蕪栗沼・周辺水田」生物多様性保全事業  マガンの里づくり研究会 宮城県大崎市 H20 ~ H22
3 ムサシトミヨ保護事業  ムサシトミヨ保全推進協議会 埼玉県熊谷市 H20 ~ H21
4 夷隅川流域における生物多様性保全再生事業  夷隅川流域生物多様性保全協議会 千葉県 H20 ~ H22
5 いしかわの里山の生物多様性保全再生事業  石川の里山生物多様性保全再生事業推進協議会 石川県 H20 ~ H22
6 かが里山イヌワシの森再生事業  かがイヌワシの森再生協議会 石川県加賀市 H20 ~ H21
7 中池見における湿生希少野生動植物の保全管理ならびに賢明な利活用推進事業  中池見湿地生物多様性保全協議会 福井県敦賀市 H20 ~ H21
8 千曲市生物多様性保全事業  千曲市生物多様性保全協議会 長野県千曲市 H20 ~ H22
9 富士見町アツモリソウの里環境保全事業  富士見町アツモリソウ再生会議 長野県富士見町 H20 ~ H22
10 東三河生物多様性保全事業  東三河自然環境ネット 愛知県 H20 ~ H22
11 名古屋ため池生き物いきいき計画事業  名古屋ため池生物多様性保全協議会 愛知県名古屋市 H20 ~ H22
12 東近江市ニホンジカ保護管理事業  東近江市野生動物保護管理対策協議会 滋賀県東近江市 H20 ~ H22
13 たかしま生物多様性保全推進支援事業  たかしま獣害対策協議会 滋賀県高島市 H20 ~ H22
14 ニッポンバラタナゴの保護を通じた八尾市の生物多様性保全事業  環境アニメイティッドやお 大阪府八尾市 H20 ~ H21
15 ため池生物多様性保全計画  いなみ野ため池ミュージアム運営協議会 兵庫県 H20 ~ H21
16 豊岡コウノトリ生息地保全対策事業  コウノトリ生息地保全協議会 兵庫県豊岡市 H20 ~ H22
17 アルゼンチンアリ防除モデル事業  アルゼンチンアリ対策広域行政協議会 広島県 H20 ~ H22
18 屋久島生物多様性保全再生事業  屋久島生物多様性保全協議会 鹿児島県屋久島町 H20 ~ H22
19 南大東島生物多様性保全再生事業  南大東島生物多様性保全協議会 沖縄県南大東村 H20 ~ H22

 

1 知床世界自然遺産地域における生物多様性保全事業

  • 海棲哺乳類(トド)の調査

協議会名

知床・海と森の生物多様性保全協議会 【北海道斜里町】

構成員

(財)知床財団、岐阜大学、東京農業大学、オジロワシモニタリング調査グループ、知床クジラの会、NPO法人北の海の動物センター、斜里町、羅臼町

事業実施期間

平成20年度~平成22年度

事業の概要および成果

世界自然遺産地域の知床では、生物多様性の保全を進める上で課題となっている海棲哺乳類、猛禽類、ヒグマ、エゾジカ等の野生鳥獣の生息状況の知見が不足していた。
このため、それらの野生鳥獣のモニタリングを実施し、今後の管理策及び保全策に反映させるとともに、生態に配慮した観察手法やルールの構築を目指した。
本事業によりゴマフアザラシの食性分析、観光船事業者によるイルカ・クジラ等海棲哺乳類の目視情報のとりまとめ・生息状況調査、オジロワシの繁殖状況モニタリング、エゾシカ個体群に関する調査、ヒグマの生態に関する調査等の基礎データの収集をすることができた。

2 ラムサール条約湿地「蕪栗沼・周辺水田」生物多様性保全事業

  • 湿地の陸地化により繁茂した灌木の伐採

協議会名

マガンの里づくり研究会 【宮城県大崎市】

構成員

宮城教育大学、日本雁を保護する会、NPO法人蕪栗ぬまっこくらぶ、NPO法人田んぼ、大崎商工会、(株)たじり穂波公社、田尻グリーン・ツーリズム委員会、伸萠ふゆみずたんぼ生産組合、土地改良区、栗原市、登米市、宮城県、大崎市

事業実施期間

平成20年度~平成22年度

事業の概要および成果

ラムサール条約湿地である宮城県大崎市の「蕪栗沼・周辺水田」は東北地方の代表的な湿地景観が維持され、マガンをはじめとする渡り鳥が毎年10万羽以上飛来している。
しかし、近年河川整備や人の生活様式の変化に伴い土砂やヨシ等の植物遺骸の堆積が進み、陸地化が進んでいる。
そこで、灌木の伐採や湿地内にかつてあった河道を復元することで、陸地化の防止と悪化した水質の改善を図った。
その結果、メダカ等の緩やかな流れを好む魚類やエビ類が利用する姿が確認され、沼内の開放水面の面積も広がった。
また、灌木の伐採、ヨシの刈り取り搬出によって、陸地化の緩和が図られ、タコノアシ(準絶滅危惧)などの氾濫原を好む植物が増加するなど湿地植物が再生した。

3 ムサシトミヨ保護事業

  • ムサシトミヨの生息環境保全のための草刈

協議会名

ムサシトミヨ保全推進協議会 【埼玉県熊谷市】

構成員

埼玉県、熊谷市、熊谷市ムサシトミヨをまもる会、地元自治会、埼玉中央漁業協同組合、(財)埼玉県生態系保護協会

事業実施期間

平成20年度~平成21年度

事業の概要および成果

ムサシトミヨが生息する元荒川最上部は天然の水源を持たず、地下水の汲み上げによる水源に依存している。また、周辺地域からは生活雑排水が河川の途中から流入するため、その下流域では富栄養化による水草の繁茂によって生息数及び生息域が拡大しない状況にあった。
生息地において、地下水の汲み上げを安定的に確保する対策や、水草の除去・堆積汚泥の浚渫等の生息環境の美化及び学習会・イベント等による普及啓発を行い、ムサシトミヨの生息環境の保全と生息域・生息数の拡大を図った。

4 夷隅川流域における生物多様性保全再生事業

  • 里山の整備

協議会名

夷隅川流域生物多様性保全協議会 【千葉県】

構成員

畦道倶楽部、夷隅川自然教室、夷隅郡市自然を守る会、いすみ市、いすみ夢鯨の会、太東埼燈台クラブ、千葉県、ビーチクリーンアップ岬実行委員会

事業実施期間

平成20年度~平成22年度

事業の概要および成果

房総半島の夷隅川流域では、耕作放棄地の拡大や里山の荒廃、流竹木が散乱する河口付近の砂浜など、流域それぞれの地点で生物多様性に関する課題があることから、流域全体を一つの単位とみなし、里山や谷津田の整備や海岸清掃などの取組の他、シンポジウムを開催し協議会の取組を地域に紹介するなどの普及啓発活動を実施。
また、耕作放棄地の水田への再生、里山再生のための間伐・竹林の伐採、海辺の観察会・海岸清掃・生物調査等を展開して、夷隅川流域の一体的な生物多様性保全活動に取り組むとともに、いすみの生き物データベースを制作。

5 いしかわの里山の生物多様性保全再生事業

  • 里山保全活動(モウソウチクの伐採)

協議会名

石川の里山生物多様性保全再生事業推進協議会 【石川県】

構成員

石川県、金沢市、珠洲市、輪島市、金沢大学、国連大学高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティングユニット、金沢森林組合、環八会、いしかわ里山保全活動リーダー会、金沢市四十万校下赤十字奉仕団、金沢ふるさと愛山会、能登にトキとコウノトリを呼ぶ会、NPO法人能登半島おらっちゃの里山里海、輪島市ビオトープ研究会、石川県民退職者連合

事業実施期間

平成20年度~平成22年度

事業の概要および成果

石川県内の金沢市近郊の丘陵地と珠洲市等のため池群は絶滅危惧種等が生育・生息する生物多様性が豊かな重要な里山だが、過疎化・高齢化により荒廃しつつあるため、ギフチョウやキンランの生息・生育地となっている金沢市の丘陵地において森林や竹林の整備を行うとともに、希少水生昆虫などが生息する能都地区のため池群において、ビオトープの整備や外来種の防除などを実施。
金沢地区では、雑木林・竹林での保全活動により、ギフチョウの成虫・卵塊・食草を確認。
また、奥能登地区では、休耕田を水田として再生した結果、ゲンゴロウが3種から5種に増加したことを確認。

6 かが里山イヌワシの森再生事業

  • イヌワシの生息状況調査

協議会名

かがイヌワシの森再生協議会 【石川県加賀市】

構成員

石川県、(財)石川県林業公社、日本イヌワシ研究会、山岳大型猛禽類研究会、(有)北陸鳥類調査研究所、小松市、加賀市

事業実施期間

平成20年度~平成21年度

事業の概要および成果

石川・福井県境の南加賀地域では、過去にイヌワシの生息が確認されたが、近年、確認されていないため、生息状況調査等を実施。また、将来的にイヌワシを含む大型猛禽類が定着および繁殖可能な環境となるよう、営巣地や狩り場適地 を選定し、森林整備を実施。環境教育の場としても利用できるよう、人と動物が共存できる多様な環境を整備。
生息状況調査ではイヌワシが確認できず、本地域においては消滅したと考えられるが、狩場試験地の整備により、再びイヌワシが生息できるような森林施業に役立つ情報を収集。

7 中池見における湿生希少野生動植物の保全管理ならびに賢明な利活用推進事業

  • 水路補修作業

協議会名

中池見湿地生物多様性保全協議会 【福井県敦賀市】

構成員

NPO法人中池見ねっと、敦賀市

事業実施期間

平成20年度~平成21年度

事業の概要および成果

福井県敦賀市の中池見湿地は、水田耕作と結びついたデンジソウやミズアオイなどの水生植物が生育しているが、外来植物の繁茂や手入れ不足などによる問題が発生。
このため、田起こし、江ざらいによる水田生態系の保全のほか、外来植物の除去や木道・水路の補修などを実施することにより湿原環境の保全を図るとともに、生物相のモニタリングや里地里山を活用した環境学習の支援などを実施。
外来種の除草作業により、デンジソウ等の生育範囲の減少を防ぐとともに、環境学習等の支援や企画展示により、市民への理解が深まったことで、生物多様性保全に関するネットワークの拠点となることを確認。

8 千曲市生物多様性保全事業

  • 千曲市内姨捨棚田の保全活動とデンジソウ

協議会名

千曲市生物多様性保全協議会 【長野県千曲市】

構成員

千曲市版レッドデータブック作成委員会・調査員、千曲市環境市民会議、名月会、姨捨区、名月の里観光推進協議会、倉科の自然を守る会、川西地区振興連絡協議会、千曲市里山トレッキング、みどりを守る会、千曲市

事業実施期間

平成20年度~平成22年度

事業の概要および成果

野県千曲市にはデンジソウ、ベニバナヤマシャクヤクなどが生育する棚田や里山があるが、外来植物の繁茂や手入れ不足などにより生育が脅かされている。
このため、外来植物の除去や間伐、下草刈りなどを実施。
市民が主体となって希少動植物を調査し、市内絶滅危惧種310種を掲載した千曲市版レッドデータブックを作成して、市民に対する普及啓発を実施。
また、棚田地区のビオトープを希少種保全園として整備し、デンジソウ・ミズオオバコ・ノジトラノオ等の希少種の保全を企画。

9 富士見町アツモリソウの里環境保全事業

  • 富士見町アツモリソウ再生会議

協議会名

富士見町アツモリソウ再生会議 【長野県富士見町】

構成員

中山植物園、入笠ボランティア協会、長野県希少野生動植物監視員、長野県富士見高校、ニチレイグループ、富士見町

事業実施期間

平成20年度~平成22年度

事業の概要および成果

長野県富士見町に生育するアツモリソウ及びホテイアツモリは、盗掘や大型哺乳類による食害、植生の遷移により野生個体が減少している。
このため、監視活動の実施や食害防止柵の設置などにより生育環境の保全を図るとともに、無菌播種による増殖技術の開発を進め、かつて自生していた場所に培養苗を実験的に植栽するなど系統保存にも取組む。
自生地周辺の監視活動が周知され、盗掘の予防につながる。シカによる採食・踏み付け防止のための防護柵の設置により、自生地が保護され、野生株も僅かに増加。生息域外でのアツモリソウの無菌培養増殖技術がほぼ確立。環境教育事業により、保護活動の担い手が育成されている。

10 東三河生物多様性保全事業

  • 里山の保全活動

協議会名

東三河自然環境ネット 【愛知県】

構成員

豊橋うみがめクラブ、東三河懇話会、NPO法人東三河自然観察会、NPO法人穂の国森づくりの会、愛知大学、愛知県、豊橋市

事業実施期間

平成20年度~平成22年度

事業の概要および成果

愛知県東三河地域の豊川上・中流部では、人口減少及び高齢化による人の働きかけが減少し、里山の荒廃がみられる。
このため、生物多様性の保全・再生を図るため、豊川上流部において里山保全のための森林整備等及び中下流部において河畔林の課題調査を実施するとともに、保全活動の担い手育成のため「穂の国エコカレッジ」を開催。

11 名古屋ため池生き物いきいき計画事業

  • 名古屋市昭和区隼人池での池干しの様子

協議会名

名古屋ため池生物多様性保全協議会 【愛知県名古屋市】

構成員

八事学区連絡協議会、隼人池を美しくする会、名古屋ため池調査実行委員会、なごやの森づくりパートナーシップ連絡会、なごや環境大学実行委員会、名古屋市

事業実施期間

平成20年度~平成22年度

事業の概要および成果

外来種の侵入や水質悪化により本来の生態系が失われつつある名古屋市の東部丘陵地を中心に多く存在するため池について、生物多様性の保全・再生を目的として、主要なため池において、専門家やなごやため池市民調査員による動植物の調査を実施するとともに、池干しによるブラックバスなどの外来種の防除などを実施。生物調査により外来生物を確認した上で池干しを行い、外来生物を除去するとともに、セイヨウスイレンの除去試験を実施するなど、幅広く外来生物に対する対策に取り組み、生物多様性の保全・再生を促進。

12 東近江市ニホンジカ保護管理事業

  • 調査のためGPSを装着したニホンジカ

協議会名

東近江市野生動物保護管理対策協議会 【滋賀県東近江市】

構成員

東近江市、滋賀県、滋賀県立大学、(株)野生動物保護管理事務所、農協(3団体)、農業共済組合(3団体)、森林組合(2団体)、漁協(3団体)、猟友会(6団体)、自治会(10団体)、鳥獣保護員、里山保全団体、自然環境保全団体

事業実施期間

平成20年度~平成22年度

事業の概要および成果

東近江市では、ニホンジカの生息数が増加し農林業や自然植生に多大な被害が生じていた。
このためGPS発信機を装着した個体の時間毎の行動域調査を行った。農地に依存している個体は昼夜で400mしか移動していないこと、山間では送電線の線下を利用していること等が分かった。自然植生影響調査では食圧による植生変化だけでなく、エサ資源の分布も調査し、これらの結果を踏まえて個体数調整の場所と方法を工夫することにより捕獲数を倍増させることができた。
また、生息域の平地への拡散を防ぐため、隠れ場所や移動経路となっている里山を緩衝帯として整備するとともに、山地を横断する移動制限柵を設置し、生息域の拡散を防ぐことができた。

13 たかしま生物多様性保全推進支援事業

  • 捕獲したニホンジカの調査

協議会名

たかしま獣害対策協議会 【滋賀県高島市】

構成員

滋賀県、高島市、たかしま有機農法研究会、環境を守るいまづの会、JA西びわこ、(株)野生動物保護管理事務所

事業実施期間

平成20年度~平成22年度

事業の概要および成果

高島市では中央の箱館山を中心にニホンジカの個体数が増加傾向にあり、農林業や地域の生態系などに深刻な被害が生じていた。このため、GPSを用いたニホンジカの動向調査、下層植生などの食害調査、農林業への被害状況調査等を実施し、その結果に基づきニホンジカの個体数調整を実施した。その結果、農作物被害額に年々減少傾向が見られ、森林の下層植生にも回復傾向が見られた。本調査結果を活用して、有効な防護柵の設置や効率的な捕獲の実施など、今後さらなる対策の推進が期待される。

14 ニッポンバラタナゴの保護を通じた八尾市の生物多様性保全事業

  • ニッポンバラタナゴの生息環境の保全活動

協議会名

環境アニメイティッドやお 【大阪府八尾市】

構成員

NPO法人ニッポンバラタナゴ高安研究会、大阪経済法科大学、大阪森林インストラクター会 阪奈会、NPO法人グラウンドワーク八尾、八尾市内市民団体、八尾市内企業、八尾市

事業実施期間

平成20年度~平成21年度

事業の概要および成果

大阪府八尾市高安地域には、400あまりのため池が点在しており、ニッポンバラタナゴをはじめ希少な生物が生息しているが、外来種の移入や里山放置による荒廃で各小河川の水量が不安定になるなど生息環境が悪化している。
このため、ため池改修や汚泥の浚渫、外来種の防除を実施するとともに、流域の高安山の森林整備や、環境フェスティバルの開催などの普及啓発を実施する。
ため池源流域において、間伐、倒木の整理等森林整備を実施。ニッポンバラタナゴの効果的な繁殖促進に資するため、ニッポンバラタナゴの個体数及び生息生物の調査を実施。ため池の池干等を実施し、大久保地区清水池ではドブガイ数百個体、ニッポンバラタナゴ3,000尾が繁殖できる環境を整備。

15 ため池生物多様性保全計画

  • 引き網による魚の囲い込み

協議会名

いなみ野ため池ミュージアム運営協議会 【兵庫県】

構成員

東播磨地域のため池保全団体、神戸新聞社、ラジオ関西、農協、兵庫県土地改良事業団体連合会、兵庫水辺ネットワーク、播磨ウェットランドリサーチ、兵庫地理学協会、NPO地域再生研究センター、21世紀研究所、いなみ野パールプロジェクト推進実行委員会、水辺に学ぶプロジェクト、土地改良区、兵庫大学、兵庫県、明石市、加古川市、高砂市、稲美町、播磨町ほか78団体

事業実施期間

平成20年度~平成21年度

事業の概要および成果

オオクチバスなど特定外来生物の侵入により本来のため池生態系が失われつつある兵庫県東播磨地域のため池群のうち53箇所のため池について、池干しにより外来生物の防除を行い健全なため池生態系の回復を図るとともに、ため池の生物調査や普及啓発を実施。本事業において池干しを計55回実施し、オオクチバスやブルーギル等の外来生物駆除、水質調査による二枚貝の生息分析に加え、小中高校等を対象とした学習会を54回、約6,500人を対象に実施する等、普及啓発事業も行うなど、生態系回復のための事業を幅広く展開。

16 豊岡コウノトリ生息地保全対策事業

  • 耕作放棄された水田をコウノトリ採餌湿地として整備

協議会名

コウノトリ生息地保全協議会 【兵庫県豊岡市】

構成員

NPO法人コウノトリ市民研究所、コウノトリ環境経済コンソーシアム、コウノトリ湿地ネット、豊岡市

事業実施期間

平成20年度~平成22年度

事業の概要および成果

兵庫県豊岡市において放鳥したコウノトリの野生復帰を進めるためには、地域の生物多様性を保全するとともにコウノトリの採餌環境の整備が必要である。
このため、耕作放棄された水田を整備するなど、採餌に適した湿地環境の再生活動や検討を行うほか、ラムサール条約湿地への登録に向けた住民勉強会など、普及啓発事業の実施した。
本事業では、厳冬期におけるコウノトリの行動・採餌環境を調べることにより、重要な湧水環境・水路などの採餌環境・指標となる餌生物が明確になったほか、宮城県大崎市・新潟県佐渡市とこども向けのイベントの実施・先進地への視察等を実施し、生物多様性の保全に向けた機運を醸成することができた。

17 アルゼンチンアリ防除モデル事業

  • アルゼンチンアリ

協議会名

アルゼンチンアリ対策広域行政協議会 【広島県】

構成員

広島県、山口県、廿日市市、大竹市、岩国市、柳井市

事業実施期間

平成20年度~平成22年度

事業の概要および成果

広島県廿日市市・大竹市、山口県岩国市・柳井市、宇部市等において生息が確認されており、在来アリの駆逐や住民への生活被害を引き起こす特定外来生物のアルゼンチンアリについて、環境への負荷がより少ない手法による根絶又は分布域の縮小を目的とし、効果的な防除手法の検討のための防除試験を実施するとともに住民参加による防除や普及啓発活動を実施。具体的には、住民向けのアルゼンチンアリ防除試験説明会及び対処法についての講演会を開催。防除試験及び試験後のモニタリング等により高い防除効果が得られることが判明し、実施結果を基に町内会等で計画的に防除を行うためのマニュアルを作成。

18 屋久島生物多様性保全再生事業

  • ヤクタネゴヨウの自生地調査

協議会名

屋久島生物多様性保全協議会 【鹿児島県屋久島町】

構成員

屋久島まるごと保全協会[YOCA]、屋久島・ヤクタネゴヨウ調査隊、屋久島町、(財)屋久島環境文化財団

事業実施期間

平成20年度~平成22年度

事業の概要および成果

平成5年に日本で初めて世界自然遺産に登録された屋久島は、海岸部の亜熱帯から山頂部の冷温帯までの植生の垂直分布が残存し、固有種を含む1500種の植物相がみられ、「洋上のアルプス」とも称される多種多様な生命を育む島である。この屋久島において、屋久島版レッドデータ植物リストの作成と海域・河川域の生物相調査を行うとともに、住民参加の観察会や報告会、環境教育の実施等により、町の生物多様性地域戦略策定やオープンフィールドミュージアムの実現にも寄与する取組を実施。シカ防護柵の設置、屋久島版レッドデータブック(植物編)のレッドデータリストの作成、生物多様性の普及啓発に寄与するシンポジウム等を開催した。

19 南大東島生物多様性保全再生事業

  • ダイトウオオコウモリ

協議会名

南大東島生物多様性保全協議会 【沖縄県南大東村】

構成員

南大東村、NPO法人南大東Dongosabows、南大東島島内有志、南大東村立小中学校

事業実施期間

平成20年度~平成22年度

事業の概要および成果

沖縄県の南大東島は、大陸から地理的に隔離されているために、ダイトウオオコウモリをはじめとする固有かつ希少な動植物が多数生息しているが、大規模な農地開発などにより生息地が縮小・分断化されている。
このため、『オオコウモリの森』と題して、南大東島の在来植物を活かした植林を行うとともに、島民を対象にした自然観察会や、島民参加による希少生物のモニタリングなどを行い、地域の人たちによる自然環境の保全・再生を実施。
ダイトウオオコウモリのモニタリングを実施し、フクギの実に多くの個体が集まることを確認。外来種であるギンネムに対し、薬剤注入による駆除試験を行い、ギンネムを枯死させ、自然植生を回復させるのに効果的であることを実証。フクギ、ダイトウビロウの植栽を実施。

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