地方公共団体

自然には地域ごとに個性があります。それぞれの地域の特性に応じた生物多様性の保全活動と持続可能な利用を推進する役割が地方公共団体には期待されています。

①地方公共団体間の連携

生物多様性の保全を進める上では、地域間での連携も重要です。わが国では生物多様性の保全等を目的とした複数の地方公共団体からなる連携プラットフォームがすでに構築されており、情報の共有や共同事業の実施など、各種取組が進められています。

  • 生物多様性自治体ネットワーク
  • 地方公共団体が相互に生物多様性の保全や持続可能な利用に関する取組や成果について情報発信を行うとともに、「国連生物多様性の10年日本委員会」の構成員として他のセクターとの連携・協働を図り、愛知目標の達成に貢献することを目的に設置された、地方公共団体間のネットワークです。185自治体(令和3年2月時点)により構成されています。

  • ICLEI:イクレイ(一般社団法人イクレイ日本)
  • イクレイは持続可能な社会の実現を目指す2,500以上の地方公共団体で構成された国際ネットワークです。気候変動枠組条約(UNFCCC)、生物多様性条約(CBD)および砂漠化対処条約(UNCCD)のオブザーバーとして認定されており、国内では日本事務局として一般社団法人イクレイ日本が、会員団自治体の国内外の取組を支援する活動を実施しています。

②生物多様性地域戦略

生物多様性基本法では、都道府県及び市町村は生物多様性地域戦略の策定に努めることとされています。地方公共団体が生物多様性地域戦略を策定する際に参考となる基本的な情報を紹介します。

③地方公共団体の取組事例

生物多様性保全に向けた仕組みづくり等に関する地方公共団体による先進事例や特色ある取組例を紹介します。

  • 礼文島リボンプロジェクト
  • 礼文の花をモチーフにしたリボンバッジを作成し、礼文島いきものつながりプロジェクト(礼文島生物多様性地域戦略)の趣旨に賛同する観光客の皆さんに活動支援の証としてリボンバッジを購入していただき、その収益金を自然公園の補修や高山植物の保護・増殖をはじめ、趣旨に沿って活動を行う様々な団体の支援に充てる取組です。

  • 朱鷺と暮らす郷づくり認証制度
  • 野生復帰したトキが定着できるような環境整備、それに基づく独自農法を制度化したものです。農薬や化学肥料の削減、畦畔等への除草剤の使用禁止、年2回生きもの調査の実施などの基準による「生きものを育む農法」によって佐渡で栽培された米に対し、市が認証を行うものです。

  • いしかわ里山振興ファンド
  • 石川県と地元の6金融機関が創設した120億円の基金の運用益等を活用して、多様な主体の参画による里山保全活動の推進や里山里海の資源を活用した生業の創出、スローツーリズムの推進等の取組を支援しています。

  • あいち・なごやベストプラクティス
  • 愛知県内において、生物多様性条約第10回締約国会議(2010, 於名古屋市)以降に実施された生物多様性保全の取組の優良事例を選定し、紹介しています。実施主体は市民団体、企業、教育機関、行政機関など幅広く、また143事例が一挙掲載されています。

  • しが生物多様性取組認証制度
  • 生物多様性の保全と自然資源の持続的な利用に取り組む事業者を認証し、その企業名等を公表する制度です。認証マークを使用した企業のPRや取組内容の発信により、県内の生物多様性および生態系サービスへの意識を向上し、社会経済活動に波及することを目指すものです。


④国際的な動向

生物多様性保全に対する地方自治体への期待は、2008年のCOP9での市長会議、2010年のCOP10での国際自治体会議を経て高まり、COP10での「都市と地方自治体の生物多様性に関する行動計画(2011-2020)」の承認につながりました。国際自治体会議はその後もCOPに併せて開催されており、特に「生物多様性の主流化」や「資源動員」への地方自治体の貢献が注目されています。
ポスト2020生物多様性枠組の検討においても、地方自治体の役割は重視されており、世界の自治体の声を集めてCOP15に提案しようとする取組「エジンバラ・プロセス」がスコットランド政府や世界の自治体組織の協力により進められています。なお、日本国内においては、51(令和3年2月時点)の地方公共団体が、エジンバラ宣言への署名を行っています。


⑤地方公共団体等への国の支援

生物多様性保全推進支援事業

環境省では、地域ごとに異なる特徴を持つ生物多様性を地域の自然的・社会的条件に応じて保全し、生物多様性を活かした魅力ある地域づくりを進めていくため、地域における生物多様性の保全再生のための活動に対し、必要となる経費の一部を国が交付しています(生物多様性保全推進支援事業)。
また、法律に基づく計画等の策定及び生物多様性の保全に関する先進的・効果的な取組の実証を委託事業として平成26年度まで実施し、地域の生物多様性の保全活動を支援しました(地域生物多様性保全活動支援事業)。

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