里地調査

生態系「里地」

生態系「里地・里山」

森林や水田、ため池といった様々な環境が入り交じった複雑な環境で、農業や林業など、人間の多様な働きかけにより自然が成り立っています。様々な環境がある里地里山には多様な生きものが生息するとともに、人間の生活・生産活動の場にもなっています。
ニホンジカやイノシシなどの中・大型哺乳類、アカガエル類の卵塊数、チョウ類などの調査をしています。

トピックス

調査項目と内容

現地調査主体:市民団体や個人

■調査者・専門家へのインタビュー

調査項目 調査内容 調査頻度 調査結果の概要
植物相 調査ルート上の植物の種名 毎月1回 在来植物の種数が漸減
鳥類 調査ルート上の種名と個体数 繁殖期、越冬期に各6回 ウグイスの記録個体数が減少傾向
中・大型哺乳類 種名と自動撮影カメラによる撮影頻度 春~秋にカメラを設置 タヌキの撮影個体数が増加傾向
水環境 水位と流量、水温、Hp、透視度 毎月1回~年4回 全国的な傾向はなし
カヤネズミ 調査区画内の巣の有無と環境条件 初夏と秋の年2回 生息面積及び利用可能草原面積の減少
カエル類 アカガエル類の卵塊数と環境条件 産卵期間中(冬)2週に1回程度 アカガエル類の産卵ピークの早期化
チョウ類 調査ルート上の種名と個体数 春~秋に月2回 南方系種チョウ類の分布北上傾向
ホタル類 成虫の個体数と環境条件 発生ピークまで7~10日に1回 ゲンジボタル・ヘイケボタルの記録個体数が減少傾向
植生図 相観植生図の作成 5年に1回 鳥類の種多様性と周辺森林面積やモザイク構造に相関
チョウ類調査
中・大型哺乳類の調査
カエル類の調査

■詳しくはマニュアル・動画マニュアルをご参照下さい。

分かってきたこと

減少する里地の生きもの

里地調査では、全国の調査サイトで得られた過去10年間の調査結果から、チョウ類調査でこれまでに記録された119種のうち、全国で比較的よく見られた87種について解析したところ、半数以上の種が減少傾向にあることがわかりました。さらに87種のうち約4割の種は、本調査サイトでの傾向に限ってみれば、10 年間で30%以上となるほど減少していました。

全国でよく見られるチョウ類87種の各種ごとの1年間の個体数増減率の内訳のグラフ

図. 全国でよく見られるチョウ類87種の各種ごとの1年間の個体数増減率の内訳

■その他分かってきたことは、分かってきたこと一覧をご参照下さい。

施策への活用

  • ・地域環境基本計画への活用(7市町村)
  • ・生物多様性地域戦略への活用(4市町村)
  • ・重要里地里山選定の検討
  • ・ラムサール条約湿地指定の検討(中池見湿地)
  • ・都道府県レッドデータブック(4都道府県)
  • ・保護地域への指定や順応的管理(3市町村)
  • ・オオタカ種の保存法指定種からの解除
  • ・外来種対策(アライグマ:6市町村)
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  • ■詳しくは施策への活用一覧をご参照下さい。

調査結果へのリンク