モニタリングサイト1000では、2003年の事業開始から20年以上が経過し、多くのことが明らかになってきました。その中の一部をご紹介いたします。
2026年3月時点
| 生態系 |
調査内容 |
分かってきたこと |
| 高山帯 |
高山帯調査 |
- 前年夏の気温上昇に伴い、ハイマツの生長量が増加
- 大雪山で外来種のセイヨウオオマルハナバチを確認
- 富士山森林限界付近、南アルプス(北岳)では、凍結日数が減少傾向
- 高山植物群落の開花期の早期化と開花期間の短縮により、花粉媒介昆虫の活動時期と開花時期のずれが発生
- 雪田と風衝地の両方に生育するミヤマキンバイ、ミネズオウ、シラネニンジン、イワウメの4種は、地表面の温度が高い年ほど早く開花
- 白山の地表徘徊性甲虫類は、高山性種の種数と個体数が減少傾向、低標高地性の種が新たに確認
- ニホンジカやサルの姿、採食痕を確認
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森林・草原 |
森林・草原調査 |
- 樹木・地表徘徊性甲虫・鳥類がより温暖な地域の群集構成に変化
- 樹木の地上部現存量(総重量)が増加、十分に成熟した森林でも樹木が生長し炭素の蓄積が継続
- ニホンジカの増加により林床植生の衰退等が確認されたサイトでは、樹木の成長が速い一方、更新速度は鈍化
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| 陸生鳥類調査 |
- 冷温帯林の鳥類の繁殖時期(さえずり時期、巣立ち時期)は、春の気温と高相関、一部の種は繁殖時期の早期化が予測
- 外来種フイリマングースの防除が進んだ南西諸島のサイトでは、ヤンバルクイナの個体数が回復傾向
- 外来種ソウシチョウ、ガビチョウの分布拡大
- ニホンジカの増加により林床植生の衰退等が確認されたサイトでは、ウグイス、コルリ等の藪を利用する鳥類が減少
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| 里地 |
里地調査 |
- 里地里山でよく見られる身近な種のうち、鳥類の15%(スズメやセグロセキレイなど)、チョウ類の33%(イチモンジセセリ、ジャノメチョウなど)の種の記録個体数が急速に減少
- 南方系チョウ類(ナガサキアゲハ等)の増加及び分布北上傾向
- アカガエル類の産卵ピークが早期化
- ニホンジカの生息が確認されるサイトの割合が増加
- アライグマが生息するサイトでは、アライグマが自動撮影カメラに映る回数が8年で倍増
- ヤマアカガエルの産卵数が減少した埼玉県のサイトで、アライグマを捕獲によりヤマアガカエルの産卵数が回復
- 外来種防除・駆除活動を行っているサイト割合が増加(アンケート調査)
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| 陸水域 |
湖沼調査
湿原調査
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- 緊急対策外来種(ナガエツルノゲイトウやブラックバス等)、重点対策外来種(オオカナダモやタイリクバラタナゴ等)、国内外来種(琵琶湖・淀川水系原産のゲンゴロウブナやハス等)の生息状況
- 国内希少野生動植物種の再記録(塘路湖におけるカラフトグワイ、約30年ぶり)
- 物理環境調査により、統計的に有意な温度上昇を確認
- ニホンジカによる植生のかく乱
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| ガンカモ類調査 |
- ガン類やハクチョウ類の大型の種、マガモ属のカモ類及びトモエガモが増加傾向
- ヒドリガモ等のMareca属やキンクロハジロ等のAythya属では、複数の種で減少傾向
- 亜種オオヒシクイは国内の気候変動により、越冬パターンが変化
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| 砂浜 |
ウミガメ類調査 |
- 性決定などウミガメ類の卵の発生に影響を及ぼす砂中温度の経年変化
- 愛知県田原市のサイトでは、砂中温度が1年あたり0.0224℃のペースで上昇傾向にあると推定、子ガメの性比(メスの割合)は、1947 年には18%、2021 年には55%であると推定
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沿岸域 |
磯調査
干潟調査
アマモ場調査
藻場調査 |
- 固着性生物の種数と多様度指数の経年変化
- 天草サイトにおける岩温度の月最大値の上昇傾向
- 底生動物の群集構造の把握
- 干潟における有機物含量の減少
- アマモ場と藻場における植生の衰退・消失
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| シギ・チドリ類調査 |
- 全調査期間(春期・秋期・冬期)における、国内に渡来するシギ・チドリ類の最大個体数の減少傾向(2000年頃と比較すると約半減)
- 全調査期間で減少傾向にある種は、オオソリハシシギ、シロチドリ、タマシギ等の9種で、ミヤコドリのみ全調査期間で急激な増加傾向
- 大授搦サイト(佐賀県)は全調査期間で増加傾向
- 様々な湿地環境に生息する種の減少傾向
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| サンゴ礁 |
サンゴ礁調査 |
- 水温ロガーを設置している49地点のうち41地点で海水温が上昇傾向
- 2007年、2016~2017年、2022年に夏季の高水温による大規模な白化が記録された
- 2003~2017年よりも2013~2022年の方が、高白化率地点が多く、サンゴ礁域(トカラ列島~西表島周辺、小笠原諸島)でその傾向が顕著
- 南方でしか見られなかった種類の分布の北上
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| 小島嶼 |
海鳥調査 |
- 分布が広く個体数が多いと思われていたオオセグロカモメやウミネコの減少傾向
- 外来種対策の効果
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| 各生態系共通 |
- 調査サイトにおける生物相・生物量・分布の傾向、物理環境の傾向
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