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ミズワタの生長について(II) -河川における生長と水質変化について-(横浜市環境科学研究所報 第18号)
ミズワタは水質汚濁の進行した都市河川の川床にしばしば認められる白色~黄銅色の綿状の微生物集合体で糸状細菌 Sphaerotilus natans を優占種としている。このミズワタはよごれた水域の汚濁指標生物となっているが、その生長のメカニズム等に関しては不明な点も数多く残っている。そこで前報においては、液体培地中のS.natans... -
横浜市内におけるカワモズク(Batrachospermum moniliforme) の季節的な出現状況とその分布(横浜市環境科学研究所報 第18号)
Batrachospermum... -
都市での植生指標を用いたヒートアイランド現象解析のためのNVIモデル -人工衛星データによるモデル化-(横浜市環境科学研究所報 第18号)
都市の温度は年々上昇傾向にあり、このまま上昇し続けると都市環境の悪化とともに生態系などへの影響も懸念される。この現象はヒートアイランド現象と呼ばれ、人工衛星データによって得られる地上の温度情報はこのヒートアイランドの解析に適しているものと考えられる。そこでランドサットデータの解析より都市での温度分布には植生の影響が大きく関与していることがわかり、ランド... -
小学校プールおよび市営プールのヤゴを中心とした生物調査(横浜市環境科学研究所報 第17号)
横浜市では、自然と共生したまちづくりの実現に向けて様々な試みを行っている。その一つにトンボの生息環境づくりがあり、市内数十か所にトンボ池の建設を行ったため、多くのトンボが横浜に戻って来ている。トンボ池で発生したトンボの中には、人工的な環境にも生息することのできる種類も多く、特にシオカラトンボ、ギンヤンマ、などのトンボの成虫は、新しい生活環境を求めて移動... -
ミズワタ(Sphaerotilus natan) の生長について (1)液体培養中の生長と水質変化について(横浜市環境科学研究所報 第17号)
有機性汚濁の進行した都市河川ではミズワタが大発生して河床を覆っている場合が少なくない。このミズワタは降水などによる水量の増加や、こすりとられるなどの物理的作用により、簡単に剥離して懸濁性物質として河川水中を流下していく。そして剥離した場所では再びミズワタの増殖が始まり、3~5日で元のようなミズワタを主とする生物膜が生成される。このミズワタの挙動と有機性... -
トンボ・エコアップに関する中間的考察 -本牧市民公園の事例を中心に-(横浜市環境科学研究所報 第17号)
エコロジカル・ライフスタイルを実現するためにはエコロジカルな都市環境(エコシティ)づくりが必要である。その都市空間のエコロジカル化は新しい課題であり、そのための方法論(ネイチャーデザイン)と技術手法(エコアップ・テクノロジー)の研究開発が求められる。本報は、トンボを象徴とした池環境のエコアップ・テクノロジーの確立を目的に、本牧市民公園において試みたフィ... -
河川水の水質浄化法の研究(第2報)(横浜市環境科学研究所報 第17号)
抽水植物の一種であるキショウブを水耕法で植栽した人工水路により実際の河川水を使用して水質浄化実験を行ったところ、夏期~秋期10~24時間の滞留時間で溶存態全窒素を35~58%、溶存態全りんを60~89%除去することができ、従来河川等の水質浄化法として有効とされていた礫間浄化法に比べて安定で数倍の除去能力を有することが確認された。 -
横浜市北部に分布するヌカエビParatya compressa improvisa の生態に関する研究 -港北ニュータウンの地区3号公園とこども自然公園の...
都市自然の中で生息する在来の生物種の把握を目的として、ヌカエビParatya compressa improvisa... -
丘陵地の源流部にみられる生態系の特徴(横浜市環境科学研究所報 第17号)
ほとんど水が流れていないような丘陵地の樹林内の源流部でも、環境に適応した多様な水生生物群集がみられた。魚類は生活空間が狭いところでも生息する底生性の種が分布し、水生動物群集は拾集性の採集食者や落葉を食べる破砕食者が優占し、落葉の多い底質環境に適応した群集が形成されていた。藻類の付着基質は水底に堆積した落葉であるために、基質としては安定性が悪く、藻類群集... -
都市域における林内雨・樹幹流(1) -樹木内外雨の成分組成と年間降下量(横浜市環境科学研究所報 第17号)
酸性雨・酸性降下物による森林への影響を調査するため、1991年3月~1992年4月までの約1年間、横浜市磯子区滝頭で、ヒノキを対象樹木として、樹木内外の降下物、樹幹流を採取し、森林汚濁の発生メカニズムの解明、森林土壌へのNO₃⁻, SO₄²⁻ 等の負荷量を調べた。また、他地域で実施された調査結果との比較も行った。その結果、次の事がわかった。(1)... -
帷子川で見られたボラ(Mugil cephalus) の病魚(横浜市環境科学研究所報 第16号)
横浜市内の帷子川の保土ヶ谷区役所の近くで、体表に白や紅色の斑点状のものが付着する気味の悪い病魚のボラが多数見られるという通報が1989年5月頃に市民から寄せられた。この病魚のボラについては、1989年4月11日に大岡川の南太田付近で確認し、1989年6月2日にも帷子川の保土ヶ谷区役所前で確認している。最近では、季節により市内の多くの水域でも見られている... -
横浜市内親水河川の各種細菌数について(横浜市環境科学研究所報 第16号)
大都市においては人口の増加に伴い都市開発が進められ河川のコンクリート張りによる改修や緑地の消失が行われている中で、都市に残された川は市民の心にうるおいを与える貴重な場所である。現在横浜市では市民が水辺に親しめるように親水公園や小川アメニティが建設されている。しかし、河川の水質に関しては下水道や工場排水施設の整備が進み改善されつつあるものの依然として清流... -
横浜市内河川の糸状細菌の分離と同定について(横浜市環境科学研究所報 第16号)
有機性汚濁の進行した都市河川においては冬期に糸状細菌(ミズワタ)が河床の全域を覆うほど大発生し、その一部はちぎれて懸濁性物質として河川水中を漂流する。このミズワタは水質汚濁指標生物として知られており、β-強腐水性~α-中腐水性の指標生物とされているが、市内河川で分離し同定した例は極めて少ない。そこで今回河川からの試料採取及び培地に工夫を加え、糸状細菌の... -
掘割川河口における水質変動特性 -感潮河川での潮位振動の影響-(横浜市環境科学研究所報 第16号)
光学的測定機を用い掘割川河口の表層水質を約2週間にわたって連続測定し、河川感潮部における水質変動特性を調べた。水質変動には主として潮位振動に伴う12時間周期成分と日周変動による24時間周期成分が認められ、12時間周期成分から潮汐作用による海水の移流が海域からの二次汚濁の負荷影響を感潮部にもたらしていることがわかった。感潮部における植物プランクトンの増殖... -
魚の死亡事故の原因究明についての検討(横浜市環境科学研究所報 第16号)
魚の死亡事故の原因究明手法について、筆者らの今までの事故時の体験と室内実験の結果などをもとに検討してまとめた。現場調査における酸欠、窒息、毒物などの死因推定法と生物学的手法、理化学手法による毒物検索について示した。 -
魚類へい死原因究明のための研究II -コイの溶存酸素低下と水温上昇時における血液性状の変化-(横浜市環境科学研究所報 第16号)
前報では、室内に設置した流水式の実験装置を用い溶存酸素の低下速度を変化させて魚体の生理状態を検討した。今回は、さらに水温変化を加えて死亡に至るまでの機序を明らかにするために行った。実験条件は、溶存酸素の低下速度を高めるのと同時に水温の上昇速度を変化させた、実験IV、実験V、実験VI、また水温だけを変化させた実験VIIの4区とした。... -
水質の回復が河川藻類群集に及ぼす影響(横浜市環境科学研究所報 第16号)
鳥山川と和泉川では自浄作用によりBOD濃度は低下するが、窒素、リン成分の減少は少なく、窒素成分に占めるアンモニア態窒素の割合が大きかった。このような自浄作用に伴う水質の変化が藻類群集に及ぼす影響は小さく、どの地点でも窒素従属栄養性の藻類が群集を代表していた。一方、下水処理水を維持用水として流している野火止用水では供給水の窒素除去を始めてからは、硝化の進... -
横浜市内水性細菌の核酸組成分析(グアニン-シトシン含量)を用いた分類(横浜市公害研究所報 第15号)
河川水中には河川環境に応じて多くの従属栄養細菌が生息しているが、その細菌の種類と環境に関する研究例は極めて少ない。この理由の一つには細菌の分類同定が困難かつ時間がかかるということが挙げられよう。そこで今回従来の方法の他に同定の一手法としてグアニン-シトシン(GC)含量に着目し実験を行ったのでここに報告する。 -
ο-ジクロロベンゼンのアカヒレ(Tanichthys albonubes)及びヌカエビ(Paratya compressa improvisa) に対する...
ο-ジクロロベンゼンはうじ殺し製剤中に多量に含まれており、平成元年10月には横浜市内で河川中(大岡川)に流入し、魚の死亡の原因となったものと推察されている。しかしο-ジクロロベンゼンの水生生物への影響に関しては、田中らによるグッピーを用いた検討例などがあるのみで、まだあまりよく知られていない。そこで今回水生生物としてアカヒレ(Tanichthys... -
水生植物と接触ばっ気法の組合せによる水質浄化法の検討(第3報)(横浜市公害研究所報 第15号)
接触ばっ気法と水生植物植栽水路(キショウブ、オランダガラシ)との組合せによる水質浄化実験を実際の池水を用いて行った結果、キショウブを植栽することにより透視度、SS、T-N及びT-Pについて年間を通して安定した処理効果が得られた。一方、オランダガラシの処理効果は実験開始当初良好であったが、その後低下した。また、接触ばっ気法の沈殿槽を改良したことによりSS...
