生物多様性センター
自然環境調査一覧
自然環境調査Web-GIS
いきものログ
生物多様性センターのご案内
生物多様性情報システム J-IBIS
各種情報
生物多様性とは

渡り鳥(日ソ)条約

渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその生息環境の保護に関する
日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の条約
(昭和六三・一二・二〇 条約七)


日本国政府及びソヴィエト社会主義共和国連邦政府は、鳥類が自然環境の重要な要素の一つであり、自然環境を豊かにするうえで欠くことのできない役割を果た
していること及び適切な管理によつてこの役割を増大することができることを考慮し、鳥類の多くの種が両国間を渡り、それぞれの国に季節的に生息しているこ
と及び鳥類のうちには絶滅するおそれのある種があることを考慮し、また、一定の鳥類の種の管理、保護及び絶滅の防止並びにその環境の管理及び保護のために
措置をとることについて協力することを希望して、次のとおり協定した

   第一条
1 この条約において、「渡り鳥」とは、次のものをいう。
 (a) 足輪その他の標識の使用により両国間における渡りについて確証のある鳥類の種
 (b) その亜種が両国にともに生息する鳥類の種及び亜種が存在しない種については両国にともに生息する鳥類の種(渡りをしないことが生物学的に明らかなものを除く。)これらの種及び亜種の確認は、標本、写真又はその他の信頼しうる証拠に基づいて行う。
2(a) 1の規定に従つて渡り鳥とされた種は、この条約の附表に掲げるとおりとする。
 (b) 両締約国の権限のある当局は、随時附表を検討し、必要があるときは、附表を改正するよう勧告する。
 (c) 附表は、当該勧告の受諾が外交上の公文の交換によつて確認された後三箇月で、改正されたものとみなされる。
     第二条
1 渡り鳥の捕獲及びその卵の採取は、禁止されるものとする。生死の別を問わず、不法に捕獲され若しくは採取された渡り鳥若しくは渡り鳥の卵又はそれらの加工品若しくは一部分の販売、購入及び交換も、また、禁止されるものとする。次の場合における捕獲及び採取については、各締約国の法令により、捕獲及び採取の禁止に対する例外を認めることができる。
 (a) 科学、教育若しくは繁殖のため又はこの条約の目的に反しないその他の特定の目的のため
 (b) 人命及び財産を保護するため
 (c) 2の規定に従つて設定される狩猟期間中
 (d) 養殖された鳥類の狩猟が行われる狩猟場に関して
2 各締約国は、それぞれ、渡り鳥の毎年の正常な再生産の維持を考慮に入れて、自国における渡り鳥の狩猟期間を決定することができる。
   第三条
1 両締約国は、絶滅のおそれのある鳥類の種又は亜種を保存するために特別の保護措置が望ましいことに同意する。
2 いずれか一方の締約国が絶滅のおそれのある鳥類の種又は亜種を決定し、その特別の保護措置をとつた場合には、当該一方の締約国は、他方の締約国に対してその決定(その後におけるその決定の取消しを含む。)を通報する。
3 各締約国は、2の規定によつて決定された鳥類の種若しくは亜種又はそれらの加工品の輸出又は輸入を規制する。
   第四条
1 両締約国は、渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類の研究に関する資料及び刊行物を交換する。
2 両締約国は、渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類の共同研究計画の作成並びにこれらの鳥類の保存を奨励する。
   第五条
 各締約国は、渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその生息環境の管理及び保護のために保護区その他の施設を設けるように努める。
   第六条
 各締約国は、第二条及び第三条の規定に基づいて保護される鳥類の生息環境を保全しかつ改善するため、適当な措置をとるように努める。各締約国は、特に、
 (a) これらの鳥類及びその環境に係る被害を防止するための方法を探求し、
 (b) これらの鳥類の保存にとつて有害であると認める動植物の輸入を規制するために必要な措置をとるように努め、及び、
 (c) 特異な自然環境を有する地域(島を含む。)の生態学的均衡を乱すおそれのある動植物のその地域への持込を規制するために必要な措置をとるように努める。
   第七条
 各締約国は、この条約の目的を達成するために必要な措置をとることに同意する。
   第八条
 両政府は、いずれか一方の政府の要請があつたときは、この条約の実施について協議する。
   第九条
1 この条約は、批准されなければならない。批准書は、できる限りすみやかに東京で交換されるものとする。この条約は、批准書の交換の日に効力を生じ、十五年間効力を存続する。
2 この条約は、前記の十五年の期間の満了の一年前までに、一方の締約国が他方の締約国に対し、この条約を終了させる意思を通告しない限り、前記の期間が満了した後も、一方の締約国が他方の締約国に対して終了の意思を通告した日から一年を経過するまで、効力を存続する。
 以上の証拠として、両政府の代表は、この条約に署名した。
 千九百七十三年十月十日にモスクワで、ひとしく正文である日本語及びロシア語により本書二通を作成した。
 日本国政府のために
   大平正芳
 ソヴィエト社会主義共和国連邦政府のために
   A・グロムイコ
附表 略
PAGETOP