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渡り鳥(日豪)条約

渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境の保護に関する
日本国政府とオーストラリア政府との間の協定
(昭和五六・四・三〇 条約三)

注 昭六○外告六三改正現在

日本国政府及びオーストラリア政府は、鳥類が自然環境の重要な要素の一つであり、自然環境を豊かにする上で欠くことのできない役割を果たしていること及び
適切な管理によつてこの役割を増大することができることを考慮し、渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類の保護に関して特別の国際的関心が国際連合人間環境会
議等において表明されていることを認識し、渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類の保護に関する二国間及び多数国間協定の存在に留意し、鳥類の多くの種が日本
国とオーストラリアとの間を渡り、それぞれの国に季節的に生息していること、鳥類のうちには絶滅のおそれのある種があること、及びこれらの鳥類の保全のた
めには両政府間の協力が欠くことのできないものであることを考慮し、また、渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類の管理及び保護並びにその環境の管理及び保護
のために措置をとることについて協力することを希望して、次のとおり協定した。

   第一条
1 この協定において、「渡り鳥」とは、次のものをいう。
 (a) 足輪その他の標識の回収により両国間における渡りについて信頼し得る証拠のある鳥類の種
 (b) その亜種が両国にともに生息する鳥類の種及び亜種が存在しない種については両国にともに生息する鳥類の種(渡りをしないことが生物学的に明らかなものを除く。)これらの種及び亜種の確認は、標本、写真又はその他の信頼し得る証拠に基づいて行う。
2(a) 1の規定に従つて渡り鳥とされた種は、この協定の付表に掲げるとおりとする。
 (b) 両政府の権限のある当局は、随時付表を検討し、必要があるときは、それぞれの政府に対し、付表を改正するよう勧告する。
 (c) 付表は、両政府が当該勧告のそれぞれの受諾を外交上の公文の交換によつて確認した日の後三箇月で、改正されたものとみなされる。
   第二条
1 各政府は渡り鳥の捕獲及びその卵の採取を禁止するものとする。ただし、次の場合における捕獲及び採取については、それぞれの国の法令により、捕獲及び採取の禁止に対する例外を認めることができる。
 (a) 科学、教育若しくは繁殖のため又はこの協定の目的に反しないその他の特定の目的のため
 (b) 人命及び財産を保護するため
 (c) 3の規定に従つて設定される狩猟期間中
 (d) 自己の食糧若しくは衣料用として又は文化的目的のため特定の鳥類の狩猟又はその卵の採取を伝統的に行つている特定の地域の住民がそのような狩猟又は採取を行うことを許すため。ただし、それぞれの種の生息数が最適の数に維持され、かつ、それらの種の適切な保存が妨げられないことを条件とする。
2 各政府は、渡り鳥若しくはその卵(生死の別を問わないものとし、1の第二文の規定に従つて捕獲され又は採取されたものを除く。)又はそれらの加工品若しくは一部分の販売、購入及び交換を禁止するものとする。
3 各政府は、渡り鳥の毎年の正常な再生産の維持を考慮に入れて、 渡り鳥の狩猟期間を設定することができる。
   第三条
1 各政府は、絶滅のおそれのある鳥類の種又は亜種の保存のため、適当な場合には、特別の保護措置をとる。
2 いづれか一方の政府が絶滅のおそれのある鳥類の種又は亜種を決定し、その特別の保護措置をとつた場合には、当該一方の政府は、他方の政府に対してその決定(その後におけるその決定の取消しを含む。)を通報する。
3 各政府は、2の規定によつて決定された鳥類の種若しくは亜種又はそれらの加工品の輸出又は輸入を規制する。
   第四条
1 両政府は、渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類の研究に関する資料及び刊行物を交換する。
2 両政府は、渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類の共同研究計画の作成を奨励する。
3 両政府は、渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類の保存を奨励する。
   第五条
 各政府は、渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境の管理及び保護のために保護区その他の施設を設けるように努める。
   第六条
 各政府は、この協定に基づいて保護される鳥類の環境を保全しかつ改善するため、適当な措置をとるように努める。各政府は、特に、
 (a) これらの鳥類及びその環境に係る被害を防止するための方法を探求し、
 (b) これらの鳥類の保存にとつて有害であると認める動植物の輸入を規制するために必要な措置をとるように努め、及び、
 (c) 特異な環境を有する島の生態系を乱すおそれのある動植物のその島への持込みを規制するために必要な措置をとるように努める。
   第七条
 各政府は、この協定の目的を達成するために必要な措置をとることに同意する。
   第八条
 両政府は、いずれか一方の政府の要請があつたときは、この協定の実施について協議する。
   第九条
1 この協定は、批准されなければならない。批准書は、できる限り速やかにキャンベラで交換されるものとする。
2 この協定は、批准書の交換の日に効力を生ずる。この協定は、十五年間効力を有するものとし、その後は、この条に定めるところによつて終了する時まで効力を存続する。
3 いずれの一方の政府も、一年前に書面による予告を与えることにより、最初の十五年の期間の終わりに又はその後いつでもこの協定を終了させることができる。
 以上の証拠として、下名は、それぞれの政府から正当に委任を受けて、この協定に署名した。
 千九百七十四年二月六日に東京で、ひとしく正文である日本語及び英語により本書二通を作成した。
 日本国政府のために
   大平 正芳
 オーストラリア政府のために
   D・J・ホーン
付表 略
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