高山帯調査

生態系「高山帯」

生態系「高山帯」

低温や積雪、強風といった厳しい自然環境によりハイマツなどの低木林や、お花畑と呼ばれる雪田草原、風衝草原など特徴的な植生を有します。高山に生育する植物やチョウ、ライチョウなど氷期からの生き残りを含む固有種が多く存在しています。
気温や地温の測定、自動撮影カメラによる高山植物の花が咲く時期の観測、植物やチョウ類、マルハナバチ類などの調査をしています。

トピックス

調査項目と内容

現地調査主体:研究者、市民団体や個人

■調査者・専門家へのインタビュー

調査項目 調査内容 調査頻度 調査結果の概要
物理環境 気温・地温・地表面温度 毎年 有効積算温度と開花時期の一致
植生 群落構成種の種類及び被度等 5年に1度 群落構成、種の増減及び植被率の変化
ハイマツ年枝伸長量 1年間で伸長した枝の長さ等 5年に1度 伸長量と気温との相関
開花フェノロジー インターバルカメラ及び目視による高山植物の開花時期及び開花量等 毎年(夏季)
  • 気候変動による開花フェノロジーの変化(145種の開花データが得られている)
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  • 同年同種におけるサイトやプロットによっての開花時期の違い
チョウ類 高山チョウの種類及び個体数等 毎年
  • 指標種を含む主な確認種の組成
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  • 指標種の発生時期
地表徘徊性甲虫 甲虫の種類及び個体数等 1~3年に1度 各調査地点の主組成の特徴
マルハナバチ類 外来種(セイヨウオオマルハナバチ)を含むハナバチの種類等 毎年
  • 特定外来生物であるセイヨウオオマルハナバチの確認
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  • 訪花植物種と訪化頻度
植生調査

■詳しくはマニュアル・動画マニュアルをご参照下さい。

分かってきたこと

ハイマツの枝の年伸長量が増加する傾向

北海道と本州の計8カ所における、ハイマツの年伸長量のデータから、年変動はあるものの、全ての調査地で増加傾向になっていることがわかりました。また、調査地間の年伸長量の変動を比べたところ、全国的に同じような変動をしていたことがわかりました。

ハイマツの年枝伸長量の経年変化のグラフ

図. ハイマツの年枝伸長量の経年変化

枝の大きさによる違いによる影響を避けるために、縦軸の値には、各枝について各年の年枝伸長量を標準化した値(各年の年枝伸長量から、解析の対象とした過去20年間の平均値を引き、標準偏差で割った値)を用いています。

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■その他分かってきたことは、分かってきたこと一覧をご参照下さい。

施策への活用

  • ・気候変動影響評価報告書及び気候変動意見具申
  • ・生物多様性地域戦略への活用(1市町村)
  • ・生物多様性分野における気候変動への適応策検討(大雪山)
  • ・高山植物保護のためのシカ防護柵の設置(北アルプス)
  • ・山岳生態系保全への生態系監視手法の検討(大雪山)
  • ・都道府県レッドリスト及びレッドデータブック(1都道府県、1市町村)
  • ・都道府県生態系被害防止外来種リストへの知見活用(1都道府県)
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  • ■詳しくは施策への活用一覧をご参照下さい。

調査結果へのリンク