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 近年、生物多様性条約の締約国会議においては「生物多様性と人の健康」について議論されています。環境省では、2016年3月に発表した「生物多様性及び生態系サービスの総合評価(JBO2:Japan Biodiversity Outlook 2)」において、『自然とのふれあいは健康の維持増進に有用であり、精神的・身体的に正の影響を与える』としております。一方で、今後の課題として『私たちの健康増進のため生態系サービスを賢く利用するため、生物多様性が私たちの健康に貢献することを分かりやすく国民に伝えるとともに、これに寄与しうる豊かな自然を確保するため、生物多様性を保全し、ふれあう機会を提供していくこと』が挙げられております。

  

 ここでは、生物多様性と健康に関する国内外の動向についてご紹介します。


健康分野における生物多様性の主流化に関する国際的な動き

 生物多様性条約第13回締約国会議(COP13)決定ⅩⅢ/6(※1)において、「生物多様性及び人間の健康にとっての利益となる健康的なライフスタイルと持続可能な消費及び生産の様式並びに付随する行動の変化に係る機会を特定し、推進すること」等が締約国に求められています。また、2018年11月に開催された生物多様性条約第14回締約国会議(COP14)と併せて開催された閣僚級会合では、健康分野が生物多様性の主流化が必要となるセクターの一つとして挙げられました。また、COP14決定ⅩⅣ/4(※2)では「健康分野における生物多様性の主流化に向けたインセンティブ付与」「生物多様性と健康の関連性についてレビュー等を行うこと」等が締約国に求められています。
 
  ※1COP13決定ⅩⅢ/6  
  ※2COP14決定ⅩⅣ/4 

生物多様性と健康に関する事業者の導入事例

 民間事業者が健康増進のために生態系サービスを活用する方法としては、福利厚生による森林保養プログラムの活用、自然環境豊かな地域でのリモートワークなどが考えられます。また、生態系の要素である植物をオフィス内に導入することで、様々な効果を得ようとする取組も進んでいます。  環境省では、生物多様性と健康の観点から、オフィス緑化に関する事業者の優良事例を把握する目的で以下の調査を行いました。

  
業務名

平成30年度職務環境における植物の導入による人々の福利・健康の向上及び生物多様性の主流化に関する調査業務

業務目的

事業者共通の課題である職務環境の改善において、生物多様性の重要な要素である植物が貢献している優良事例を示すことで、事業者における生物多様性の主流化を促進するため

調査期間

2019年1月21日~2月28日

調査主体

環境省 自然環境局自然環境計画課 生物多様性戦略推進室

調査機関

パソナ・パナソニックビジネスサービス株式会社

調査対象

職務環境に植物を導入している企業 17社

調査方法

留置法(紙媒体によるアンケート、※一部インタビューあり)

主な事例

植物を導入した企業では以下のような事例がありました。

 
  • 「企業イメージ向上」、「リクルート効果」などの企業価値が向上した事例
  • 「社内が明るくなった」、「風通しが良くなった」「緑をきっかけにコミュニケーションが増えた」などの職場の雰囲気が改善した事例
  • 「リラックス効果」、「リフレッシュ効果」、「ストレス軽減」などのメンタルへの寄与を感じた事例
  • 「集中力向上」などの労働生産性への寄与を感じた事例
副次的にまとめた結果から得られた主な示唆

今回の調査から以下の示唆が得られました。

 
  • オフィスで緑に触れ合うことで、日常での緑への興味関心が高まり、さらに接触頻度をあげていきたくなるという傾向がある
  • オフィスに緑を入れることへの総合満足度は高く、より量を増やしたい、設置場所を増やしたい、花も導入したいといったオフィスを自然環境に近づける要望が多かった。オフィス緑化が人々の生物多様性に対する興味関心に間接的にプラスの影響を与える可能性がある
  • 心理的効果を実感している方は多いが、生理的効果に関しての実感は低い傾向にあった。一方で、生理的効果に関しての情報が知りたいという声は多く、どういった樹種や植物の量などで効果が出るかなどの科学的な情報が求められている
今後の課題

今回の調査における課題を以下に列挙します。

 
  • 回答企業・回答者数は17社146名であり、考察を示すためにはサンプル数が足りていない。※本調査は優良事例の調査であるため、集計を主目的とはしていない
  • 優良事例の把握が目的であるため、緑を導入していない企業との比較がない。そのため、導入前・導入後の差がわからず、本調査の結果がオフィスに緑を入れたことによる緑への関心度合の変化を示したものであるか不明である。
  • 本調査は主観調査であるため、エビデンスとして利用できない。一般的なエビデンスづくりにおいては、心理的調査と生理的測定を実施しており、両方を照らし合わせることで矛盾を排除し、有意差のある有効なデータ(例えばストレス値)を算出している
平成30年度職務環境における植物の導入による人々の福利・健康の向上及び生物多様性の主流化に関する調査業務報告書



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