生物多様性センター

藻場分布図の概要

日本沿岸の海流

 海流は、海域の定常的な大きな流れで、海の表面の風や海水の水温の違いによって生じ、栄養分の運搬や水温を通じて藻場の形成に大きくかかわっています。また、海藻藻場の構成種では胞子、アマモ場とスガモ場の構成種では種子の運搬にも関係します。日本近海の海流の主なものは下図のようにまとめられています。

図 日本近海の海流図。
図 日本近海の海流図。
森朗の「楽しい気象学入門」 -第7回- 波の性質を参考に作成。

 まず、南西諸島、九州、四国、関東地方までは広く暖流である黒潮(日本海流)の影響下にあります。また、同じく暖流である対馬海流が九州から本州の日本海側、北海道沿岸を北上しています。この対馬海流は、北海道の宗谷暖流、陸奥湾から太平洋沿岸に回り込む津軽暖流に分派しています。北海道の南部太平洋側は、千島列島方面から寒流である親潮(千島海流)の影響を強く受けています。これらの海流の強さや実際の流れの場は年ごとにさまざまな要因によって変化し、海域ごとの水温や栄養塩の変化に結びついています。なお、黒潮は世界でも最も強い海流ですが、近年は黒潮が沖合に蛇行することが知られており、水産業等に影響を与えています。