要約 |
本調査は、自然環境保全上重要な要素である自然景観について、その現況(「何が」、「どこに」、「どのような状態」で存在しているか)を 全国的視野で把握する為、視対象である自然景観の基盤(骨格)を成す地形、地質及び自然景観として認識される自然現象に着目し て、それらの位置及び特性等を調査する目的で実施された。
調査は環境省から委託を受けた各都道府県において、地形学、地質学などの専門家が文献調査、ヒアリング調査並びに図上計測を主体に、 また必要に応じて現地調査を加え実施された。
調査の対象となった自然景観は次の通りである。
○視対象である自然景観の基盤を成す地形、地質及び自然景観として認識される自然現象である事
○通常、人間が視覚的に自然景観として認識できるスケールである事
○視覚に訴える特徴的なものである事
○人工的に造成された物ではない事
○季節的な自然現象ではない事
調査により抽出された自然景観資源数は全国で15,468件であった。最も多いのは滝(2,488ヵ所)であり、次いで火山(1,158ヵ所)、 峡谷・渓谷( 996ヵ所)、非火山性孤峯(993ヵ所)、湖沼(872ヵ所)、海食崖(734ヵ所)、砂浜・磯浜(632ヵ所)の順で、この 7資源で全体のほぼ半数の50.9%を占めていた。
資源の分布状況は、件数で見ると日本アルプスを抱える中部地方が全体の22.9%、次いで東北の21.4%、九州14.2%、関東10.5%の 順に多かった。
資源の種類別の分布状況を見ると、火山景観、山地景観とも中部地方に最も多く、石灰岩景観は中国地方に多く分布していた。一方、 水景の方は河川景観が中部、湖沼景観が東北、北海道地方に多く、海岸景観は九州地方が豊富となっていた。
自然公園、自然環境保全地域、天然記念物等、何らかの保護制度下にある資源は全体の57.8%であった。国立公園内には全体の23.2%、 国定公園内には14.6%、都道府県立自然公園内には11.1%が分布しており、それらを合わせた自然公園全体には、全体の48.9%と半数 近くが分布していた。 |