概要 |
今後の無居住地化に伴い、管理の担い手が不足することが予測される里地里山地域を示した地図。 |
考え方 |
我が国では、人口減少及び少子高齢化が進展しており、「国土の長期展望 中間とりまとめ」(国土交通省 国土審議会 長期展望委員会)では、2050年までに現在の居住地域の約2割が無居住地化すると予測されている。これらの地域における二次林や農地などでは担い手が失われ、これまで継続的に行われてきた維持管理が困難となり、放棄される可能性がある。この結果、二次林や農地などといった里地里山環境そのものが失われるとともに、そこに生育・生育する多くの動植物への影響が懸念される。 そこで本地図では、環境省が植生図から作成した里地里山3次メッシュのうち、今後無居住地化すると予測されている地域(地図12)を抽出した。 |
データ及び加工方法 |
現存植生図において、農耕地(植生自然度2・3)、二次草原(植生自然度4・5)、二次林(植生自然度7と、植生自然度8のうち、シイ・カシ萌芽林を抽出)の合計面積が45%以上を占めており、かつ、上記3つの植生区分のうち、少なくとも2つの植生区分を含む3次メッシュを里地里山メッシュとして抽出した。 これらの里地里山3次メッシュについて、地図12において2050年の予測人口が0となる(2005年時点で既に無居住地となっている地域は除く)地域を抽出し、今後「無居住地化が予測される里地里山」として示した。 【データ引用元】
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地図により表現される生物多様性の状況 |
里地里山メッシュのうち、およそ21%が2050年には無居住地化すると予測されている。特に北海道東部、東北地方太平洋側、中国地方では無居住地化する地域が極めて多い。また、東北地方の日本海側から北陸・甲信越地方の山間部、房総半島南部、近畿地方北部、四国山地、九州山地においても無居住地化する地域が見られる。こうした地域では、無居住地化することで農地や林地などでは管理放棄が進み、里地里山環境そのものが失われるとともに、そこに生育・生息する多くの動植物への影響が懸念される。このため、当該地域の社会的自然的条件等も踏まえ、今後の維持管理の方向性を検討するとともに、必要に応じて、都市住民や企業等との連携や経済的手法を活用した維持管理体制の整備などの対策を検討していくことが必要である。 都市部周辺では、無居住地化する里地里山はほとんどないが、全体的には人口は減少に向かうと予測されている。全体的に無居住地化が予測される里地里山と比べ、人的資源を得やすい社会条件であることから、都市住民を巻き込んだ維持管理体制が比較的整備しやすいと考えられる。 なお、今後、無居住地化するすべての地域において、新たな維持管理体制を構築し、現在の状態を維持していくことは極めて難しく、現実的ではない。そこで、場合によっては、植生自然度8のような自然林に近い二次林などの自然度が比較的高い地域については、積極的に自然植生への誘導を図ることも選択肢の1つとなりうる。例えば、北海道、青森県、新潟県、富山県、岐阜県の山地沿いや、房総半島南部、紀伊半島南部、四国南部、九州の一部などには植生自然度8(自然林に近い二次林)の地域が広がっており(参考地図の緑色)、こうした地域では上記のような選択肢も俎上に載せ、今後の維持管理の方向性を検討していくことが考えられる。 |
データの ダウンロード |
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データの出典 |
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データに関する注意事項等 |
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