戦略計画の長期目標(ビジョン)は、「自然と共生する」世界の実現が掲げられています。それは、「2050年までに、生物多様性が評価され、保全され、回復され、そして賢明に利用され、そのことによって生態系サービスが保持され、健全な地球が維持され、全ての人々に不可欠な恩恵が与えられる」世界です。
ここで示された「自然との共生」の概念は、2010年1月に日本から生物多様性条約事務局に提案したもので、我が国において古くから培われてきた自然共生の考え方や知恵が、広く世界各国の理解と共感を得たものといえます。
2020年までの短期目標(ミッション)は、生物多様性の損失を止めるために効果的かつ緊急な行動を実施することです。
これによって2020年までに回復力のある生態系と、そこから得られる恩恵が継続されることを確保し、そして、地球の生命の多様性を確保し、人類の福利(人間のゆたかな暮らし)と貧困解消に貢献します。
このためには、(1)生物多様性への圧力(損失原因)の軽減・生態系の回復・生物資源の持続可能な利用 (2)遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分 (3)適切な資金・能力の促進 (4)生物多様性の課題と価値が広く認知され、行動につながること(主流化) (5)効果的な政策の実施、予防的アプローチと科学に基づく意思決定、を必要としています。
目標1 | 人々が生物多様性の価値と行動を認識する |
---|---|
目標2 | 生物多様性の価値が国と地方の計画などに統合され、適切な場合に国家勘定、報告制度に組み込まれる |
目標3 | 生物多様性に有害な補助金を含む奨励措置が廃止、又は改革され、正の奨励措置が策定・適用される |
目標4 | すべての関係者が持続可能な生産・消費のための計画を実施する |
目標5 | 森林を含む自然生息地の損失が少なくとも半減、可能な場合にはゼロに近づき、劣化・分断が顕著に減少する |
目標6 | 水産資源が持続的に漁獲される |
目標7 | 農業・養殖業・林業が持続可能に管理される |
目標8 | 汚染が有害でない水準まで抑えられる |
目標9 | 侵略的外来種が制御され、根絶される |
目標10 | サンゴ礁等気候変動や海洋酸性化に影響を受ける脆弱な生態系への悪影響を最小化する |
目標11 | 陸域の17%、海域の10%が保護地域等により保全される |
目標12 | 絶滅危惧種の絶滅・減少が防止される |
目標13 | 作物・家畜の遺伝子の多様性が維持され、損失が最小化される |
目標14 | 自然の恵みが提供され、回復・保全される |
目標15 | 劣化した生態系の少なくとも15%以上の回復を通じ気候変動の緩和と適応に貢献する |
目標16 | ABSに関する名古屋議定書が施行、運用される |
目標17 | 締約国が効果的で参加型の国家戦略を策定し、実施する |
目標18 | 伝統的知識が尊重され、主流化される |
目標19 | 生物多様性に関連する知識・科学技術が改善される |
目標20 | 戦略計画の効果的な実施のための資金資源が現在のレベルから顕著に増加する |