2011年から2020年までの10年間は、国連の定めた「国連生物多様性の10年」です。
2010年10月に名古屋で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で採択された、生物多様性保全のための新たな世界目標である「愛知目標」の達成に貢献するため、国際社会のあらゆるセクターが連携して生物多様性の問題に取り組むこととされています。
「国連生物多様性の10年」の中間年である2015年に向けた取組として、2月に各セクターのヒアリング、ワークショップ、キックオフフォーラムが開催されました。
各セクターへのヒアリングとワークショップで明確になった成果と課題、今後の方向性を踏まえ、キックオフフォーラムを開催しました。フォーラムには各セクターの関係者を始めとした幅広い参加者が集い、基調講演、パネルディスカッションを経てワークショップ形式で参加者同士のディスカッションも行われました。「国連生物多様性の10年」の中間年に向け、熱い想いが会場にあふれ、キックオフにふさわしいフォーラムとなりました!
<開催概要>
■日 時:2月20日(金) 13:30-17:30
■場 所:経団連ホール南(東京都千代田区大手町1‐3‐2)
■主 催:環境省、「生物多様性と子どもの森」キャンペーン実行委員会
■共 催:経団連自然保護協議会、国連生物多様性の10年日本委員会、 (公社)国土緑化推進機構、美しい森林づくり全国推進会議
2014年10月に、韓国のピョンチャンで開催された生物多様性条約第12回締約国会議(COP12)が開催されました。COP12での「愛知目標」中間評価など、主流化の動向について国際自然保護連合日本委員会事務局長の道家哲平氏より報告されました。
事例として、主流化の取組にひとつであり、環境省・農林水産省、国土交通省が主唱し、国連生物多様性の10年日本委員会が呼びかけているグリーンウェイブについての報告が行われました。グリーンウェイブとは、生物多様性条約事務局(カナダ)が全世界に参加を呼び掛けているもので、国連の定める「生物多様性の日(5月22日)」の朝10時(現地時間)に、それぞれの学校や地域で植樹などを行うことにより、その行動が地球上を東から西へと波のように広がっていく「緑の波(グリーンウェイブ)」をつくろうとする活動です。日本では植樹だけでなく、森林や樹木等とのふれあいを通じ、生物多様性の理解や普及啓発につながるグループ・団体活動の実施を呼びかけています。
自治体、企業、市民団体で取り組まれているグリーンウェイブについて事例紹介が行われました。千葉県柏市の「カシニワ・フェスタ2015〜多様な主体との連携で行うグリーンウェイブ」、積水化成品工業株式会社の「積水化成品グループで行う『グリーンウェイブ』」、NPO法人子どもの森づくりネットワークの「『グリーンウェイブ』を活かしたメディアへのPR」が事例として報告されました。
一般財団法人・柏市みどりの基金 細江まゆみ様より「カシニワ・フェスタ2015」事例紹介
「生物多様性アクション大賞」審査委員賞受賞
積水化成品工業株式会社 管理本部総務部
柳瀬公明総務グループ主事より
「積水化成品グループで行う『グリーンウェイブ』」
事例紹介
NPO法人子どもの森づくり推進ネットワーク
清水英二代表理事より「『グリーンウェイブ』を
活かしたメディアへのPR」事例紹介
「生物多様性アクション大賞」特別賞受賞
続いてサポートコンテンツとして、グリーンウェイブの理解促進のために「生物多様性と子どもの森」実行委員会が制作した小冊子「一本の木の物語」、活動推進のための「フォレスト・サポーターズ」スヌーピーシール、「みどりとふれあうフェスティバル」開催告知、そして今年度よりミス日本に新設された「ミス日本みどりの女神」が紹介されました。初代「ミス日本みどりの女神」に選出された佐野加奈さんが登壇し、みどりの女神としての自然への想いが語られました!
一般社団全国森林レクリエーション協会柳原高文
研究員より「一本の木の物語」紹介
公益社団法人国土緑化推進機構
佐古田睦美参与より、スヌーピーシールなど
コンテンツの紹介
2015年度「ミス日本みどりの女神」に選出された
東京農業大学3年生 佐野加奈さん
第3部では、総合討論として各セクターのパネリストが登壇し、これまでのヒアリング・ワークショップを通した成果と課題、今後の取組についての報告と、ワークショップ形式での参加者によるディスカッションが行われました。
まず、各セクターパネリストが、ヒアリング・ワークショップでの議論を「取組の成果」「課題」「強み」「今後の取組」についてまとめ、報告しました。
各セクターの報告の後、涌井史郎UNDB-J委員長代理から「生物多様性への取組は、世界的に見て日本が先導役となっている。ターゲットである2020年はどんな世界であるべきか共通認識を持ち、そこに向かってどのように行動していくかが問われている」とのコメントを頂きました。
ビジネスセクターパネリストとして登壇した
経団連自然保護協議会 岩間芳仁事務局長
市民団体セクターパネリストとして登壇した
国連生物多様性の10年市民ネットワーク
虔十の会 坂田昌子代表
教育展示施設セクターパネリストとして登壇した
公益社団法人日本植物園協会 皆川有美事務局長
ユースセクターパネリストとして登壇した生物多様性
わかものネットワーク 松井宏宇代表
自治体パネリストとして登壇した愛知県自然環境課
前田善明課長補佐
コメンテーターを務めたUNDB-J涌井史郎
委員長代理
続いて、参加者によるワークショップ形式でのディスカッションが行われました。3〜6人のグループを作り、パネルディスカッションの報告を踏まえて、今後の連携施策をディスカッションしました。各グループ1枚の付箋に連携施策を記入するワークを行いました。グループはたまたま座った席が近い人同士で作られたため、初対面の方も多くいましたが、同じテーマでディスカッションを行うことで想いや方向性を共有できたようです。終了後には名刺交換を行う光景があちこちで見られました。
グループを作って連携施策についてディスカッション。様々なアイデアを1枚の付箋にまとめます
各グループのアイデアが発表されました。コーディネーターの鋭いツッコミも!
ワークショップと同様、フォーラムにおいても「他のセクターとコミュニケーションできる場がもっと欲しい」との声が多く聞かれました。2020年の愛知目標達成に向けて、取組の方向性が明確になり、さらに他セクターと交流する重要な機会として、有意義な中間年キックオフフォーラムとなりました。