生物多様性に迫る危機

日本の生物多様性は4つの危機にさらされています。過去にも自然現象などの影響により大量絶滅が起きていますが、現在は第6の大量絶滅と呼ばれています。人間活動による影響が主な要因で、地球上の種の絶滅のスピードは自然状態の約100~1,000倍にも達し、たくさんの生きものたちが危機に瀕しています。

日本の生物多様性の危機

第1の危機

開発や乱獲による種の減少・絶滅、生息・生育地の減少

鑑賞や商業利用のための乱獲・過剰な採取や埋め立てなどの開発によって生息環境を悪化・破壊するなど、人間活動が自然に与える影響は多大です。

  • 絶滅が危惧されるヒメサユリ(新潟 田代平)

    絶滅が危惧されるヒメサユリ
    (新潟 田代平)

  • 絶滅が危惧されるヤンバルクイナ(沖縄)

    絶滅が危惧されるヤンバルクイナ
    (沖縄)

第2の危機

里地里山などの手入れ不足による自然の質の低下

二次林や採草地が利用されなくなったことで生態系のバランスが崩れ、里地里山の動植物が絶滅の危機にさらされています。また、シカやイノシシなどの個体数増加も地域の生態系に大きな影響を与えています。

  • エゾジカの食害(北海道 知床半島)

    エゾジカの食害
    (北海道 知床半島)

  • 荒れた竹林

    荒れた竹林

第3の危機

外来種などの持ち込みによる生態系のかく乱

外来種が在来種を捕食したり、生息場所を奪ったり、交雑して遺伝的な攪乱をもたらしたりしています。また、化学物質の中には動植物への毒性をもつものがあり、それらが生態系に影響を与えています。

  • 外来種のオオクチバス

    外来種のオオクチバス

  • 外来種のグリーンアノール(小笠原)

    外来種のグリーンアノール
    (小笠原)

  • 外来種のアライグマ

    外来種のアライグマ

第4の危機

地球環境の変化による危機

地球温暖化は国境を越えた大きな課題です。平均気温が1.5~2.5度上がると、氷が溶け出す時期が早まったり、高山帯が縮小されたり、海面温度が上昇したりすることによって、動植物の20~30%は絶滅のリスクが高まるといわれています。

  • サンゴの白化現象(パラオ)

    サンゴの白化現象
    (パラオ)

  • 高山帯に生息するライチョウ(富山 立山室堂)

    高山帯に生息するライチョウ
    (富山 立山室堂)

絶滅のおそれのある日本の野生生物

  • エゾノハナシノブ(北海道 積丹半島)

    エゾノハナシノブ
    (北海道 積丹半島)

  • ツシマヤマネコ(長崎 対馬島)

    ツシマヤマネコ
    (長崎 対馬島)

上記の4つの危機を受けて、日本の野生動植物の約3割が絶滅の危機に瀕しています。

絶滅危惧種 3,597種

「いのち」と「暮らし」を支える生物多様性を私たちは、自らの手で危機的な状況に陥らせています。すべてのかけがえのないいのちを守り、その恵みを受け続けていけるように、今、行動することが必要なのです。

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