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○平成30年度遺伝子組換え生物による影響監視調査の概要
平成30年度遺伝子組換え生物による影響監視調査(PDF)
平成30年度自然環境下におけるナタネ類等の生育状況調査及び遺伝子分析のための種子等のサンプリング(PDF)

概要

【調査目的】
 「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(以下、「カルタヘナ法」という。)第34 条において、「国は、遺伝子組換え生物等及びその使用等により生ずる生物多様性影響に関する科学的知見の充実を図るため、これらに関する情報の収集、整理及び分析並びに研究の推進その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない」とされている。環境省では、セイヨウナタネ Brassicanapus に除草剤耐性が付与された遺伝子組換えセイヨウナタネ(以下、「除草剤耐性ナタネ」という。)の生育等に関するデータの収集を平成15 年度以来継続的に行っている。現在、我が国で使用等されている除草剤耐性ナタネについては、その使用等に当たっては、カルタヘナ法に基づき、「食用又は飼料用に供するための使用、栽培、加工、保管、運搬及び廃棄並びにこれらに付随する行為」について生物多様性影響が生じるおそれがないものと評価され、承認されている。その際、輸送中に種子がこぼれ落ちることによる影響も含め評価がなされているが、実際にこぼれ落ちた種子により生物多様性影響が生ずるおそれがないことを確認するため、本調査により除草剤耐性ナタネの生育状況の把握を行っている。

【これまでの調査内容】
 平成15〜20 年度の調査では、除草剤耐性ナタネを含むセイヨウナタネの主要輸入港である国内の12 港湾(鹿島、千葉、横浜、清水、名古屋、四日市、堺泉北、神戸、宇野、水島、北九州及び博多並びにそれらの周辺地域を含む。)を対象としているが、そのうち、鹿島、千葉、清水、名古屋、四日市、神戸、水島及び博多の8地域の港湾並びにその後背地にある輸送経路と考えられる主要道路沿いで除草剤耐性ナタネの生育が確認された。当時の調査では、鹿島、四日市、博多の3地域には、こぼれ落ち由来と考えられるセイヨウナタネが比較的多く生育していたことや、鹿島地域では採取試料内における除草剤耐性ナタネの割合が非常に少なかった一方で、四日市及び博多の両地域では除草剤耐性ナタネの割合が比較的多かったことが確認されている。また、四日市地域では輸送経路と考えられる主要道路の橋梁付近の河川敷において、除草剤耐性ナタネと非遺伝子組換え個体や異なる除草剤耐性を有する個体との交配が生じていることを示唆する種子や、除草剤耐性を持ったセイヨウナタネと在来ナタネ(B. rapa:栽培由来の外来種)の交配が生じていることを示唆する種子が確認された。このようなことから、平成21年度からは、こぼれ落ち由来と考えられるセイヨウナタネが比較的多く生育している鹿島、四日市及び博多の3つの地域において調査を実施している。平成22 年度までは、鹿島地域と博多地域については主要道路沿いにおいて調査を行うとともに、四日市地域については、除草剤耐性ナタネの生育が確認されていた主要道路沿いの3河川敷周辺において、橋梁の上下流の河川敷に調査範囲を広げ、除草剤耐性ナタネの分布と近縁種(在来ナタネ、カラシナ(B. juncea))への遺伝子流動の状況を重点的に調査したが、平成23 年度からは、いずれの地域においても主として主要道沿いの河川敷周辺に注目して調査を行っている。

【今年度の調査結果】
 鹿島、四日市及び博多の3つの地域の主として主要道沿いの河川敷周辺において、セイヨウナタネと交雑可能な近縁種として、在来ナタネとカラシナ、ハマダイコン(Raphanus sativus var.raphanistroides)、ノハラガラシ(Sinapis arvensis)に加え、ハリゲナタネ(B. tournefortii)からも、試料として、母植物組織(葉)及び種子(一部は母植物組織のみ)の採取を行った。
 今年度の調査では、鹿島地域ではセイヨウナタネの生育が確認されなかったため、四日市、博多の2地域の合計331 群落から採取された母植物組織(860 試料)に対して、免疫クロマトグラフ法により2種類の除草剤耐性タンパク質(CP4 EPSPS 及びPAT)の分析を行った。その結果、四日市地域の試料から、それらの除草剤耐性タンパク質が検出された(293 群落(782 試料)のうち41 群落(76 試料)。母植物試料より検出)が、博多地域では検出されなかった(38 群落(78 試料))。なお、平成23〜30 年度では、鹿島地域では平成27 年度のみに、博多地域では平成23〜24 年度、平成26〜27 年度及び平成29 年度に、四日市地域では毎年除草剤耐性タンパク質が検出されている。
 四日市地域の河川敷における調査では、外見からは在来ナタネかセイヨウナタネかが不明確であった母植物5群落(5試料)の組織でフローサイトメトリー及びDNA マーカー解析を行ったほか、外見から在来ナタネと思われる試料から除草剤耐性タンパク質(PAT)が検出された母植物1群落(1試料)の組織でDNA マーカー解析を行い、それぞれ種の同定を試みたが、今年度は雑種と推定される個体は確認されなかった。なお、平成24〜25 年度及び平成29 年度には、雑種と思われる個体は確認されなかったが、平成21〜23 年度及び26〜28 年度には雑種と思われる個体の生育が確認されている。また、除草剤耐性タンパク質が検出されなかった母植物由来の種子及びその実生から除草剤耐性タンパク質(PAT)が検出された試料が2群落(2試料)で、PAT タンパク質のみが検出された母植物由来の種子及びその実生から、またはその実生のみから2種類の除草剤耐性タンパク質が検出された試料が2群落(2試料)で確認された。この結果から、この母植物が生育していた場所で異なる除草剤耐性を持った遺伝子組換え植物間の交配が生じたことが過去の結果と同様に示唆された。確認された除草剤耐性ナタネの生育地点は、昨年度までと同様に主要道路が河川と交差する橋梁の近辺に集中していた。
 また、四日市地域で2群落(5試料)のカラシナの生育が確認されたが、いずれの試料でも除草剤耐性タンパク質は確認されなかった。なお、博多地域では平成24〜25 年度及び27〜29 年度に、四日市地域では平成26〜29 年度に、道路沿いにおけるカラシナの生育が確認されたが、いずれの試料でも除草剤耐性タンパク質は確認されなかった。
 以上の調査結果をこれまでの調査結果と合わせて評価した結果、除草剤耐性ナタネ等の分布に加え、除草剤耐性ナタネとセイヨウナタネの交配や、除草剤耐性ナタネ間での交配、近縁種への遺伝子流動等が確認されてきたが、これらはいずれも輸送経路と考えられる主要道路沿線で確認されているものであり、拡大の傾向は確認されなかった。