現在、急速に進展している遺伝子組換え技術は、農業、医療、工業などの私たちの暮らしを支える様々な研究・産業分野で活用されており、さらに、世界的な食糧問題や地球規模の環境問題の解決にも貢献する可能性を秘めています。しかし、その一方で、遺伝子組換え技術を活用する際には、「生物多様性」への影響や食品・飼料・医薬品としての安全性などについて十分な考慮が必要であると考えられています。このサイトでは、遺伝子組換え生物の利用にあたって、生物多様性への影響が生じないか事前にチェックするしくみについて紹介します。

*地球上には、様々な環境に適応して進化した3,000万種ともいわれる多様な生きものがいます。森林、里地里山、河川など様々な自然があり、いろいろな生きものがつながりあって存在しています。また、同じ種でも異なる遺伝子を持つことにより、形や模様、生態などに多様な個性があります。このようなたくさんの生きものの「個性」と「つながり」のことを、「生物の多様性」といいます。

遺伝子組換え生物とは

 ある生物から目的とする遺伝子を取り出し、改良しようとする生物に導入する技術のことを「遺伝子組換え技術」といい、この技術を用いて新しい性質を組み入れられた生物のことを「遺伝子組換え生物」と呼びます。
 従来の品種改良も、人の手によって遺伝子の構成を変化させていることに変わりはありませんが、遺伝子組換え技術には、「種を超えて」「短期間で」「目的とする性質を確実に」導入可能といった特徴があります。

*遺伝子は、さまざまなタンパク質を作るための設計図となり、生物の形や模様、生態などを決めています。通常、DNA(一部のウイルスではRNA)と呼ばれる物質からなります。