緑化支援のための金利優遇制度を活用して緑化された名古屋市内の住宅地(名古屋市)
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その他の新しい取り組み

最近、生物多様性を保全するための費用を、間接的に負担する新しい取り組みが注目され始めています。

ここでは、民有地の緑化や生物多様性に配慮した企業活動を支援する金融機関の取り組みを紹介します。

事例1:名古屋市の銀行による緑の金融協力

●開始時期:平成20(2008)年7月
●場所:名古屋市内

名古屋市では、平成2(1990)年から平成17(2005)年までの間に緑被地(※1)が1,643haも減少し、中でも市域の約3分の2を占める民有地の緑が著しく減少しています。そのため市では、民有地の緑化を進めるために、一定規模以上の敷地を有する建築物の新築等に対して緑化を義務付ける制度を平成20(2008)年4月に全国で初めて制定しました。

この制度の趣旨に賛同する市内の金融機関が、民有地での緑化を支援するため、平成20(2008)年7月から住宅ローンの金利を優遇する制度を設けています。この制度では、名古屋市が行う「NICE GREENなごや」(※2)という緑化に関する評価でのランクに応じて、各金融機関で優遇率を設定しています。これまでのところ利用件数は3件(平成22(2010)年8月20日現在)ですが、今後、民有地の緑化を推進する仕組みとして、利用が増えていくことが期待されます。

民有地での緑化の支援を目的とした名古屋市内の銀行による住宅ローンにおける金利優遇制度の図
事例2:地方銀行の生物多様性格付

●開始時期:平成21(2009)年11月
●場所:滋賀県のA銀行の営業エリア

滋賀県のA銀行では、持続可能な企業と地域社会を実現することを目的として、環境保全や持続的発展に役立つ生産・販売・サービスに関する基準を策定することによって、環境保全や地域社会の持続的な発展に貢献することなどを定めた「しがぎん琵琶湖原則(Principles for Lake Biwa)」を平成17(2005)年に策定しました。また、これに賛同した企業について、希望する企業を対象に、ISO14001の取得や環境会計の導入、温室効果ガスの削減等15項目にわたる環境全般の活動を評価するPLB格付(環境格付)を実施し、この格付評価に応じて融資金利を引き下げる「PLB資金(琵琶湖原則支援基金)」という融資商品の取り扱いを開始しました。

これに加え平成21(2009)年11月から、生物多様性の観点からの評価を加えた「PLB格付BD」という制度を設けました。「PLB格付BD」は、生物多様性への配慮が適切かどうかを、「経営方針」「推進・管理体制」「活動の実施」「普及啓発・活動の公表」の4分野8項目(下表)について100点満点5段階で評価し、50点以上の企業に対し年0.1%の金利を引き下げるものです。これに従来のPLB格付による優遇と合わせると、金利の引き下げ幅は最大で年0.6%になります。

PLB格付では、平成22(2010)年7月末現在で6,829件を格付し、融資累計は169億6,100万円に上っています。PLB格付BDについては制度が創設されてから間もないため、まだほとんど実績がありません。現在、A銀行では、取引先1,200件を対象として、PLB格付BDの評価基準に基づく評価を行い、その結果を取引先に提供することで、生物多様性保全の重要性や同制度についての普及啓発を行っています。

A銀行の生物多様性格付における評価指数の図

※1 樹林地、植樹地、草地、農地、河川・池等、植物の緑に被われた土地などの総称
※2 市内の建築物の敷地内などで整備される緑化施設の内容を、市が評価し、ランクを認定する制度。希望者が任意で受けるもので、緑化義務のない建築物でも既存の緑化施設でも受けることができる。敷地面積に対して緑化施設の面積の合計が基準緑化率以上の緑化施設について、1. 緑化面積、2. 高木植栽、3. 接道緑化、4. 既存樹木の保全、5. 屋上・壁面緑化、6. 維持管理努力を評価し、その総合点によりランク(80 点以上が☆☆☆、50 点以上80 点未満が☆☆、50 点未満が☆)が決まる。制度が創設された平成20(2008)年10 月1 日からの認定件数は283 件(平成22(2010)年8 月20 日現在)。

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