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生物多様性民間参画シンポジウム in 東京の開催結果について

 環境省は、7月27日(月)に東京都内において、生物多様性の取組に関心のある事業者、NPO/NGO及び自治体の方々を主な対象とし、「生物多様性民間参画シンポジウム」を開催しました。
 国際自然保護連合日本委員会(IUCN-J)会長・筑波大学教授の吉田正人先生による講演のほか、環境省による生物多様性の民間参画の推進に向けた施策紹介、事業者・事業者団体による事例紹介を行いました。交流会では、登壇の事業者を含む9つのブースが出展され、参加者との情報交流が活発に行われました。
 その後のパネルディスカッションでは、国連生物多様性の10年日本委員会(UNDB-J)委員長代理・東京都市大学教授の涌井史郎先生をコーディネーターに迎え、生物多様性の民間参画についての意見交換を行いました。

開催概要

「生物多様性民間参画シンポジウム in 東京」開催概要は以下の通りです。

日時

平成27年7月27日(月)13:30~17:00

会場

損保会館 2F大会議室 (東京都千代田区神田淡路町2-9)

主催等

主催:環境省

共催:経団連自然保護協議会、日本商工会議所、国連生物多様性の10年日本委員会(UNDB-J)

出席者数

約200名

開催結果 1.開催挨拶

 主催側から環境省が、共催者を代表して経団連自然保護協議会から開会の挨拶がありました。

塚本 瑞天
(環境省 自然環境局長)
佐藤 正敏 氏
(経団連自然保護協議会会長)



2.生物多様性の民間参画をめぐる国際的な動向について

 吉田 正人 氏
(国際自然保護連合日本委員会(IUCN-J)会長/筑波大学教授)


 吉田先生からは、生物多様性から生じる生態系サービス(恵み)が人類の福祉へ結びつくこと等の基本的な考え方、生物多様性を含む自然資本を持続可能な形で利用し、目減りさせないための取組として、生態系サービスへの支払い(PES)や生物多様性オフセットなどを例にご説明いただきました。また、最近の国内外の動向として、にじゅうまるプロジェクトの愛知目標別の登録状況のご紹介、ISO14001の改訂に伴うトップマネジメントの強化に関する話題などをお話しいただきました。さらに、生物多様性条約において各国の生物資源の主権的権利が定められていることをお話いただいた上で、生物多様性条約における遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分(ABS)については、名古屋議定書を踏まえ、日本国内では遺伝資源の利用に対しての透明性を確保していくためにモニタリング等の制度の整備が必要であると述べられました。最後に民間企業へのアドバイスとして、CSRから本業への取組、製品のライフサイクルを含んだ取組など、この後の事例紹介やパネルディスカッションにもつながる示唆をいただきました。


3.施策紹介-生物多様性の民間参画の推進に向けて

 堀上 勝
(自然環境局 自然環境計画課 生物多様性施策推進室長)


 生物多様性に関する事業者の取組状況に関しては、着実に進展しており、生物多様性民間参画パートナーシップの会員のなかでは、生物多様性を経営理念に入れている会員の割合が増加している旨の紹介をしました。一方、愛知目標の達成状況に関して地球規模生物多様性概況第4版(GBO4)では、ほとんどの目標において進展はあったものの、このままでは目標達成が難しいとされており、さらなる取組の必要性や中小企業からのニーズの取り込みが必要であること等を述べました。これらに対する、取組の推進に向けた環境省の施策として、事業者団体向けの手引きの作成とこれを活用したモデル事業での実践について紹介しました。来年の生物多様性条約締約国会議(COP13)では主流化が主なテーマとなると考えられており、そこに向けてさらに取組を推し進めていく必要があると述べました。


4.事例紹介 (1) 味の素株式会社 「サプライチェーン管理を通じた持続可能な調達の取組み」
 杉本 信幸 氏
(味の素株式会社CSR部 専任部長)

 味の素グループでは、事業活動が「地球に正しい」プロセスであるべきという考えに基づき、社会的価値と経済的価値を同時に創出する取組(ASV:Ajinomoto Group Shared Value)をおしすすめていることをお話いただきました。サプライチェーン管理を通じた持続可能な調達に着目し、行動規範、購買の基本方針や行動指針、CSRガイドライン等の各種の指針を設定しており、農産物資源を循環させるバイオサイクルの取組や、パーム油や紙についての認証品の導入推進などの具体的取組をご紹介いただきました。



(2) 三井住友信託銀行 「自然資本評価型環境格付け融資の取組」
 金井 司 氏
 三井住友信託銀行 経営企画部 理事・CSR担当部長

 自然資本宣言とは、株や債券への投資に自然資本の考え方を取り入れるもので、サプライチェーンの確保は、信用リスクという視点から組み込まれることや、投資家の間にも、長期的な観点から自然資本を含むESG(環境、社会、ガバナンス)を踏まえた投資の考え方が重要であるという考えが広がってきていることを解説いただきました。企業価値にとって、財務情報、ESG、自然資本にかかわる企業リスクの回避が最も重要であり、特に自然資本にかかわる部分では、サプライチェーンに関わる調達リスクが重要であることをお話いただきました。三井住友信託銀行の自然資本評価型環境格付融資についてもご紹介いただいた他、プーマ社のサプライチェーンリスク管理の事例などもご紹介いただきました。




(3) イオン株式会社 「イオンの取組~持続可能な社会の実現をめざして~」
 金丸 治子 氏
 イオン株式会社 グループ環境・社会貢献部 部長

 イオン(株)では、商品を管理するだけでなく、商品の原材料までを考慮し、持続可能な調達に関する取組を行っていく必要があると考えていることをご紹介いただきました。サステナビリティ基本方針の4つの重点課題の一つに生物多様性の保全があることや、イオン生物多様性方針にある行動指針から、イオンの植樹活動や、森づくりの活動の他、FSC認証商品の取り扱いの拡大や、FSC認証木材を使用した店舗の出店についてお話いただきました。さらに、天然魚のMSC認証商品と養殖魚のASC認証商品の取り扱い拡大に力をいれていることや、農産物についてもトレーサビリティを把握した農作物を提供し、オーガニック商品や地域との連携による商品を取り扱うなどの取組を進めていることをお話いただきました。




(4) 株式会社東芝 「工場だからこそできる生物多様性保全活動」
 藤枝 一也 氏
 株式会社東芝 環境推進室 主務

 (株)東芝では、工場用地における生態系ネットワークの構築やギフチョウなど80種類程度の希少種(地域希少種、絶滅危惧種)の維持・保全など、国内66拠点で取組が行われていることをご紹介いただきました。これらの取組はどのような業種や企業でも実施できるものであり、工場の敷地内はセキュリティがなされているため、オープンスペースよりも動植物を保護するスペースとして有効であり、害獣などによる被害も軽減できるという工場で取り組むことの意義の他に、従業員への教育や環境担当者の士気向上など様々なメリットをお話いただきました。また、大日本印刷グループと連携した生物多様性保全の取組をご紹介いただき、これらの取組の過程において、社内外の関係者に対しての説明やコミュニケーションが必須であり、主流化にも貢献している旨、お話いただきました。




(5) 電機・電子4団体 「電機・電子業界 教育・啓発ツール(LSB)の開発と行動指針の策定」
 勝田 淳二 氏
 電機・電子4団体(ソニー株式会社 品質/環境センター 環境マネジメント部 環境推進課環境情報担当係長)

電機・電子4団体で組織している生物多様性WGでの活動についてお話いただきました。業界としてボトムアップをはかるための取組の一つとして、LSB(Let’s Study 生物多様性)を開発した経緯についてご説明いただきました。LSBでは、企業組織内の説明や、何から始めればいいかのヒントなどのノウハウが集約されていることをお話いただきました。また、事業者からの要望を受けて作成した「電機・電子業界における生物多様性の保全にかかわる行動指針」では愛知目標との紐づけがされており、事業者にとっての道しるべとなっていることをご紹介いただきました。





5.交流会

 交流会では、事例紹介で登壇された事業者を含む9つのブースが出展され、それぞれの取組を紹介しました。各ブースでは、取組に対しての質問や意見など、参加者との情報交流が活発に行われました。



交流会の様子



6.パネルディスカッション
 

 パネルディスカッションでは、コーディネーターに国連生物多様性の10年日本委員会(UNDB-J)委員長代理・東京都市大学教授の涌井先生をお迎えし、前半の講演・事例紹介の内容の振り返りを交えながら、パネリストである事業者各社から、生物多様性への取組によって得られるメリットや回避できるリスク、実施する中で直面した課題や参考にすべき対応策等についてご意見をいただきました。

 取組により得られる評判や環境ブランドの向上がメリットであり、取組の推進のインセンティブになるとの発言がありました。また、世界的な消費者や投資家、NGOの動向を踏まえると調達段階等で生物多様性に関する問題があれば批判を受ける可能性が高いことから、生物多様性への取組を進めてリスクを回避する必要がある、との指摘がありました。また、工場緑地での事例が紹介され、生物多様性への取組が企業活動を円滑にするための地域住民とのコミュニケーションツールとして有効になるとの意見がありました。

 課題や対応策については、生物多様性に配慮した消費行動を促すためには消費者に商品の背景や価値を伝えることが必要で、特に途上国では初期段階から環境配慮型商品の理解が進んでいけば長期的にはメリットとなることや、企業活動の基盤である大気・水・土地などの自然資本の状況を評価することの必要性が指摘されました。また、各事業者が取組を進めるにあたっては、業界全体で議論が盛り上がることで自社内の意思決定が進み取組が進めやすくなること、まずは実践しながら関係者のサポートを得ることが重要などの発言がありました。

 今回のシンポジウムでは、事業者による生物多様性への取組の状況、背景、課題や対応策などの事例が共有されました。それを踏まえ、今後取組を多くの事業者に広げていくには、まずは企業理念なかに生物多様性を位置づけてもらうこと、サプライチェーンをさかのぼり原材料調達の段階からの関わりを考えてもらうことなどの重要性についても確認されました。また、行政やメディアなどによって取組が評価・支援される仕組みが重要であること、業界全体での盛り上がりや他社との協働が有効であること、行政が方向性を示すことも有効であることなどが認識されました。最後に生物多様性への取組については、事業者により進め方は様々ではあるものの、対話を通じて認識の共有化の努力をしていくことが重要であることが確認されました。

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