地球規模生物多様性概況第4版

愛知目標の中間評価を行うために地球規模生物多様性概況第4版(Global Biodiversity Outlook 4th edition GBO4)がつくられました。はじめに、に続き、全体総括(背景、進展の総括と次に取るべき行動、前進に向けて、愛知ターゲットダッシュボード)、第1章 導入、第2章 進捗評価、第3章総我が国の研究機関・パートナーの協力の上で作成されました。研究者からの分析にとどまらず、日本を含め64カ国(2014年7月段階)が第5次国別報告書を通じて愛知目標の実施に関する情報を提供しており、日本は、資金面でも内容面でも大きな貢献を行い、日本語版も作成しています。

主要な成果 キーメッセージ

COP10以降重大な進展がなされ、愛知目標のいくつかの要素について、特に愛知目標11の全陸上面積の17%を保護地域にすることについては、現状達成の見込みとされる。しかし、あらゆる目標について進展はあるが、目標達成には不十分であり、追加的な行動が目標達成には欠かせない。

愛知目標の20の目標の進捗状況 愛知目標の20の目標の進捗状況が、56の要素で評価され、達成には不十分、または進展なし・後退していると評価された要素は86%にも及びます。これを受け、更なる行動推進のための「優先行動リスト」がまとめられました。リストには2020年までに必要な行動として、「企業・市民・行政の間でのパートナーシップの強化」や「生計や防災・減災等に関係する生態系サービスの提供上重要な生態系の特定と保全・再生」などが盛り込まれました。

複数の指標を総合的に見ると生物多様性に関する現在の傾向や圧力は2020年まで上昇を続け、生物多様性の状態の劣化は続くと見られる。生物多様性への取組みは劇的に増加しているが、対策と状態変化のタイムラグのみならず、既存の取組みでもまだ生物多様性の損失をとめるためには不十分であることを示している。

GBO4では、20の愛知目標に対し55の指標をもとに、可能な範囲で将来予測(2020年まで)を行った上で、達成が可能かについて評価が行われました。尚、実際には各国の事例についても評価の対象になっています。

戦略目標Aでは、持続可能な消費と生産に向けた対策の進展が見られているにもかかわらず、エコロジカルフットプリントやウォーターフットプリントなどの生態系に与える負荷の指標は悪化傾向が続いています。

戦略目標Bでは、森林や漁業資源の持続可能性を証明する認証品数の拡大傾向がある一方、漁業需要、窒素利用、外来種拡大などは2020年まで続くと見られ、生息地の状況を示す7つの指標全てで減少・悪化傾向が見られます。

戦略目標Cでは、生きている地球指数とレッドリスト指数を中心に評価されましたが、現在まで減少傾向が続き、2020年までも続くことが予測されます。保護地域の面積、保護地域の効果的管理、重要生息地の保護カバー率などは進展がありました。

戦略目標Dでは、まだ十分な指標が確立されていませんが、受粉機能を持つ生物(昆虫など)の減少傾向がみられます。生態系や生態系が生み出すサービス(自然の恵み)は2020年まで減少を続けることが予測されています。

戦略目標Eでは、知識や保全活動・開発援助への資金額の拡大など多くの対策・取組みに関して増加傾向があり、2020年までその傾向が続くと見られています。

愛知目標は単独で達成するものではなく、戦略目標A(生物多様性の損失の根本原因への対処 )や、生物多様性国家戦略の立案(目標17)、資源動員(目標20)など他の目標達成に強く影響を与える目標が存在する 。

愛知目標の達成は、ポスト2015開発アジェンダなど幅広い地球規模の優先課題、すなわち、飢餓や貧困層の減少、衛生改善、エネルギー食料、水の持続可能な供給に貢献するものである。

開発目標や摂氏2度の上昇に抑えるという気候変動の目標、砂漠化の劣化への対処などと共に「人と自然の共生する社会」という2050年ビジョンを達成する道は存在するが、土地・水・利用の効率化や消費のあり方、食料システムの大幅な転換の検討など私たちの社会変革が必要となる。

主要な成果 まとめ

GBO4では、愛知目標の達成には、政策から社会経済的な奨励措置、利害関係者の参加やモニタリングなどの包括的な行動と、政府や社会全体でパートナーシップを深め、達成への支援と、自らの行動の規模を広げていくことが必要と結論付けました。このような評価をうけ、COP12では、優先行動なども活用しつつ、全愛知目標達成のための必要な施策を展開することを強く求めました。

GBO4と日本の取組み

GBO4やその根拠となる技術書には日本の取組みが数多く紹介されています。
例えば、愛知目標1(生物多様性の価値と行動の認識)では、国連生物多様性の10年日本委員会を設置し、企業・自治体・市民団体・教育展示施設・第1次産業関連団体が参画して、生物多様性の取組みを広めていること、「生物多様性My行動宣言」を展開し、生物多様性の重要性を知ってもらうのみならず、そのための暮らしの視点から行動を呼びかけていることなどが注目されています。

愛知目標17(参加型で効果的な国家戦略の立案と実施)では、生物多様性国家戦略2012-2020の立案にあたって、地方説明会やパブリックコメントなどを通じて、企業・自治体・市民の参画を進めた事例が注目されました。

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