4.全国的にみた植生の保全状況

全国的な視点からわが国の植生の保全状況を把握するため、全国の植生と自然公園及び自然環境保全地域の係わりを解析した(以下U.4章で解説する内容は表T.3.7の第4回調査植生現況3次メッシュファイルを使用し解析)。なお、今回の解析は1km2 メッシュ単位で植生情報と自然公園・自然環境保全地域の情報を重ね合わせているため、広域的な状況を把握するうえではさしつかえないが、個々のメッシュでの対応をみると、両者について読みとった情報の範囲が完全には一致せず、場合によってはズレが生じていることもある点に留意する必要がある。

4.1 植生区分別にみた自然公園等の保全状況

図U.4.1に示すように、全国の自然植生のうち29.7%は自然公園及び自然環境保全地域に指定されている。

自然植生の保全状況を植生区分でみると、寒帯・高山帯自然植生と亜寒帯・亜高山帯自然植生を合わせた区分の49.6%が指定区域内にあり、全植生区分中もっとも指定地域の割合が高くなっている。

特に、寒帯・高山帯自然植生は、その分布域の89.5%が自然公園あるいは自然環境保全地域に含まれ、そのうち国立公園内には、寒帯・高山帯自然植生全体(1,158メッシュ)の64.9%(752メッシュ)が含まれている。

亜寒帯・亜高山帯自然植生は、その分布域の46.7%が自然公園あるいは自然環境保全地域に含まれ、そのうち国立公園は34.4%である。

ブナクラス域自然植生は、自然植生全体の63.5%を占め、面積的にもっとも広いが、指定されている割合は自然植生の中では22.1%と最も低く、ヤブツバキクラス域自然植生が28.1%と次いで低い。

特殊な立地に生育する固有な自然植生である河辺・湿原・塩沼地・砂丘植生は、指定割合が高く31.3%となっている。

自然植生の保全地域指定の割合は、高い方から寒帯・高山帯自然植生、亜寒帯・亜高山帯自然植生、河辺・湿原・塩沼地・砂丘植生、ヤブツバキクラス域自然植生、ブナクラス域自然植生の順になる。

また、図U.4.1から指定区域別に自然植生をみると、全ての区分で国立公園の割合が高く、国定公園、都道府県立自然公園と続く。しかし、河辺・湿原・塩沼地・砂丘植生は、都道府県立自然公園の構成比が国定公園を上回っている。

表U.4.1に全国の植生の保全状況を示す。また、自然公園及び自然環境保全地域の植生区分別のメッシュ数の構成比を図U.4.2に示す。

自然公園及び自然環境保全地域内に含まれる自然植生の構成比は29.7%を占め、さらに内訳は、自然公園に含まれている地域が28.9%、自然環境保全地域に含まれる地域が0.8%となっている。

自然公園別の自然植生の構成比では、国立公園(55.9%)、国定公園(36.2%)、都道府県立自然公園(18.9%)の順となっており、国立公園、国定公園における自然植生の割合が全国平均の19.1%を大きく上回るのに対して、都道府県立自然公園は全国平均とあまり差がない。

国立公園と国定公園の植生区分を比較すると、亜寒帯・亜高山帯以上の寒冷な地域の自然植生は国立公園の方が多くなっている。これは、国立公園の地域がより高海抜の山岳地帯を多く含んでいることによるものである。また、国定公園には琵琶湖国定公園など大湖沼を主な対象として指定されている公園が多いため、その他の区分の割合が11.4%と高くなっている。

都道府県立自然公園は、全国では国立公園に次ぐ面積となっているが、植生区分の構成は国土全体の植生区分の構成とあまり変わらない。

原生自然環境保全地域及び自然環境保全地域は、原生的自然環境の保全を目的として原生状態を保つ地域に限定して指定されており、そのことを反映して自然植生の割合は著しく高い(96.6%)。国指定の自然環境保全地域は自然植生が94.5%を占めている。一方、都道府県自然環境保全地域の自然植生の割合は37.5%(293メッシュ)であり、原生自然環境保全地域や自然環境保全地域に比較すると、代償植生の割合が32.5%(254メッシュ)と高く、自然植生と構成比が変わらない。

以上、指定区域ごとの自然植生の割合をみると、原生自然環境保全地域、自然環境保全地域、国立公園、都道府県自然環境保全地域、国定公園、都道府県立自然公園の順になる。

図U.4.2でみたように、わが国の自然植生に対する指定地域のうち、多くの割合を占める国立公園、国定公園について、地種区分別の植生区分ごとの構成比を示したのが表U.4.2表U.4.3及び図U.4.3である。

森林施業の取扱いが、原則禁伐あるいは単木択伐のみ許容、とされている国立公園及び国定公園の特別保護地区及び第1種特別地域の割合を合わせると、寒帯・高山帯自然植生(90.6%)、河辺・湿原・塩沼地・砂丘植生(48.4%)、亜寒帯・亜高山帯自然植生(34.9%)の順に高く、ブナクラス域自然植生(25.5%)、ヤブツバキクラス域自然植生(25.8%)では、4分の1が指定されているのみである。回復力の困難な植生ほど広い範囲の保全指定が行われているといえる。

4.2 植生自然度別にみた自然公園等の保全状況

自然公園及び自然環境保全地域の植生自然度の構成比を表U.4.4及び図U.4.4に示す。

指定地域全体で、自然植生(植生自然度10・9)の構成比が高く(37.9%)、全国の構成比(19.1%)と比較すると約2倍にあたる。中でも植生自然度9の自然林の割合が34.8%ともっとも高い。

自然公園別の森林植生(植生自然度9・8・7・6)の割合をみると、国立公園82.1%、国定公園78.2%、都道府県立自然公園81.1%で、いづれも80%前後となっており全国平均の67.1%を上回っている。

森林植生のうち自然林(植生自然度9)の割合をみると、国立公園51.4%、国定公園33.5%、都道府県立自然公園17.2%とかなり差があり、後者ほど自然林の割合が低下する一方、二次林(植生自然度8・7)及び植林地(植生自然度6)の割合が高くなっている。国立公園では二次林が15.9%、植林地が14.8%に対して、国定公園では二次林が21.9%、植林地が22.8%であり、国定公園では二次林や植林地の構成比が高くはなっているものの、自然林の構成比よりは低い。一方、都道府県立自然公園では二次林が30.7%、植林地が33.2%と自然林の構成比より大きくなっている。

このほか、自然公園では、植生自然度10の自然草原や自然裸地の占める割合も高い。これらは自然公園全体に占める割合は自然林に比べて小さいが、図U.4.5に示すように、自然草原や自然裸地のうち自然公園等に指定された地域の割合はそれぞれ43.0%、35.9%と自然林の28.9%に比べて高くなっている。これは、寒帯・高山帯や砂丘、火山火口周辺といったような、植物の生育環境が厳しい地域も、自然公園内に多く含まれていることを示している。

また、原生自然環境保全地域及び自然環境保全地域は、ほぼ全域が自然草原(植生自然度10)あるいは自然林(植生自然度9)の自然植生で占められており、指定区域内に農耕地(植生自然度3・2)や市街地・造成地等(植生自然度1)を含む自然公園との差が表れている。

ただし、都道府県自然環境保全地域では、森林植生の割合は85.3%と高いが、自然林(植生自然度9)が32.6%、二次林(植生自然度8・7)が29.9%、植林地(植生自然度6)が22.8%と自然林の割合が低くなっている。

表U.4.5及び表U.4.6に、国立公園、国定公園における地種区分ごとの植生自然度別構成比を示す。

植生自然度10の自然草原と植生自然度9の自然林の地種別指定割合をみると、自然草原は国立公園と国定公園をあわせて、特別保護地区(39.7%)、第2種特別地域(17.1%)、第1種特別地域(16.2%)の順に多く、普通地域(6.8%)の占める割合は小さい。

一方、自然林は第3種特別地域(20.3%)、第2種特別地域(17.8%)、地種区分のない特別地域(16.7%)の順となり、森林施業の制限の厳しい特別保護地区(15.9%)と第1種特別地域(15.9%)がこれに続くが、この両者を合わせても自然林全体の31.8%にすぎない。

自然植生以外の保全状況をみてみると、指定地域の割合は、植生自然度8・7の二次林で、国立公園が3.8%、国定公園が3.4%、指定地域全体が14.1%である。また、植生自然度6の植林地で国立公園が3.4%、国定公園が3.4%、指定地域全体が13.9%であり、二次林で国立公園の割合がやや高いが、二次林と植林地でそれほど大きな差はない。一方、植生自然度5・4の二次草原では、国立公園が7.4%、国定公園が4.2%、指定地域全体が16.9%であり、他の植生に比べ、国立公園の割合が高い。

4.3 代表的な植生の保全状況

代表的な植生としてとりあげた植生のうち、ブナ林及び照葉樹林に対する自然公園及び自然環境保全地域指定割合をみる。

1 ブナ林の保全状況

ブナ自然林は、全国で14,314メッシュあり、もっとも広く分布する自然植生の一つである。ブナ林の保全状況を図U.4.6に示す。

その自然公園等による指定割合は、39.7%とブナクラス域自然植生の指定割合(22.1%)より高くなっている。自然公園別にブナ自然林の指定割合をみると、国立公園(16.8%)、国定公園(11.0%)、都道府県立自然公園(10.1%)の順となっている。

また、太平洋側のブナ林と日本海側のブナ林の指定割合を比較すると、太平洋側のブナ林は62.4%と高く、日本海側のブナ林の37.2%を大きく上回る。これは、日本海側のブナ林が12,878メッシュあるのに対し、太平洋側のブナ林は1,436メッシュで山地帯の上部に分布がせばめられた結果、自然公園等の指定される割合が高くなっているためと考えられる。

また、ブナやミズナラで構成される比較的自然林に近いブナ二次林の保全状況をみると、その指定割合は20.0%となる。

ブナ自然林の国立公園、国定公園の地種区分別の構成比(表U.4.7及び図U.4.8)では、第3回調査時に比較し、特別保護地区(7.0%→7.5%)と第1種特別地域(13.7%→14.7%)の割合が増加したのに対し、第3種特別地域(35.1%→34.8%)、第2種特別地域(23.5%→22.8%)、普通地域(14.5%→14.0%)は減少し、保護規制が強化されている。この傾向は太平洋側ブナ林で顕著にみられ、第2種特別地域以上の保護地域は28.3%から30.2%へ増加している。

しかし、国立・国定公園内のブナ自然林3,945メッシュに対して、第2種特別地域と第3種特別地域に指定された日本海側のブナ林は1,977メッシュであるが、第2種特別地域は25.4%→25.1%、第3種特別地域36.9%→36.4%と減少傾向を示している。

2 照葉樹林の保全状況

照葉樹林の保全状況を図U.4.7に示す。

照葉樹の自然林の割合指定は、ヤブツバキクラス域自然植生の指定割合(28.1%)とほぼ同じ27.7%となっている。

照葉樹林のうち、海岸風衝低木林の指定割合がもっとも高く、48.8%となっており、内陸側に分布するカシ林が33.5%となっている。照葉樹林でもっとも広い分布をしているシイ林・タブ林の指定割合は18.3%と照葉樹の自然林の中でもっとも低い。

参考に二次林のシイ・カシ萌芽林を示すと、シイ林・タブ林とほぼ同様の17.5%が指定を受けている。

自然公園別に照葉樹林の指定割合をみると、国立公園(12.5%)、都道府県立自然公園(7.7%)、国定公園(6.9%)の順となり、都道府県立自然公園が国定公園を上まわっている。

また、照葉樹林の国立公園、国定公園の地種別構成(表U.4.7及び図U.4.8)をみると、第3回調査時と比較し、第2種特別地域(39.1%→41.2%)、第3種特別地域(15.9%→16.4%)が増加したのに対し、特別保護地区(9.0%→9.0%)と第1種特別地域(11.4%→11.2%)の割合は、20.4%→20.2%と大きくは変わらず、ブナ林と異なった傾向がみられる。

4.4 国立公園・国定公園別の植生の保全状況

わが国の植生が非常に多様であることを反映して、すぐれた自然風景地として指定された国立公園、国定公園は、植生状況も多様なものとなっている。ここでは公園別の植生の現況や特徴を把握した。

(1)植生区分別にみた保全状況

国立公園・国定公園別の植生区分を図U.4.9及び図U.4.10に示す。また、各国立公園、国定公園の地種区分別植生区分別出現頻度をデータ編6データ編7に示す。

植生区分の構成比から典型的な植生分布を呈している公園を類型化すると表U.4.8のように特徴づけることができる。

植生区分から類型化すると、公園を特徴づける植生によって自然の再生力や必要な管理方法が異なることが想定される。

また、都道府県立自然公園別にみた植生区分の構成比を図U.4.11に示す。

(2)植生自然度別にみた保全状況

国立公園・国定公園別に植生自然度をみると図U.4.12及び図U.4.13のようになる。

植生自然度10・9の自然植生の占める割合の高い国立公園には知床(95.8%)、大雪山(90.4%)、中部山岳(90.2%)、南アルプス(89.4%)、釧路湿原(88.9%)、白山(82.7%)、西表(80.3%)があり、それらの公園は80%以上が植生自然度10・9で占められている。

一方、植生自然度10・9の自然植生の割合が低い公園は、雲仙天草(6.2%)、阿蘇くじゅう(11.4%)、山陰海岸(13.8%)、西海(14.5%)、大山隠岐(14.6%)、伊勢志摩(14.8%)、瀬戸内海(15.3%)、富士箱根伊豆(17.7%)など西日本の公園に多い。

国定公園で植生自然度10・9の自然植生の占める割合が高い公園は、日高山脈襟裳(97.9%)をはじめとし、新設された暑寒別天売焼尻(97.0%)の他ニセコ積丹小樽海岸(88.4%)、越後三山只見(83.7%)、奄美群島(79.4%)、栗駒(77.6%)の各公園で70%以上を占める。

国立公園・国定公園の自然植生以外の植生は、植生自然度8・7の二次林と植生自然度6の植林地が全般的に多いが、草原景観が公園の景観要素となっている阿蘇くじゅう国立公園や秋吉台国定公園のように植生自然度5・4の二次草原が多く、20%以上を占めている公園もある。

4.5 自然公園等の植生保全状況の推移

第3回調査時と第4回調査時との間に植生改変のあったメッシュを集計すると表U.4.9のようになる。改変の対象には、公園等の指定区域見直しによる範囲の変更や植生図の表示内容の修正も含まれているため、一部では、実際に森林伐採や造成等の改変を受けていないところも含まれている。

データ編8には各国立公園と国定公園の改変地メッシュ数の頻度図と自然環境保全地域ごとに地種区分別植生改変地メッシュ数と構成比をとりまとめた結果を示す。ただし、都道府県立自然公園と都道府県自然環境保全地域はデータ数が少ないため、都道府県ごとにとりまとめた集計結果を示す。

変化メッシュ数のもっとも多いのは、都道府県立自然公園で166メッシュ、次いで国立公園(114メッシュ)、国定公園(42メッシュ)が多い。自然環境保全地域は指定範囲が狭いため変化が少なく、統計的に解析はしにくい。

公園別には上信越高原国立公園の変化メッシュ数が25、日光国立公園の変化メッシュ数が23であり、この2つの国立公園の変化メッシュ数は大きい。他に5メッシュ以上変化したのは、陸中海岸、磐梯朝日、吉野熊野、瀬戸内海、阿蘇くじゅう、大雪山、雲仙天草の7つの国立公園である。国定公園では、耶馬日田英彦山の4メッシュが最大である。都道府県立自然公園では外山早坂高原(岩手県)と船形連峰(宮城県)の2つが10メッシュの変化があり最大である。都道府県立自然公園を都道府県別に集計すると、岩手県の25メッシュと新潟の21メッシュの変化が大きい。

自然環境保全地域の変化は少なく、原生自然環境保全地域では、3次メッシュでの変化はなく、自然環境保全地域では稲尾岳で1メッシュの変化のみである。

都道府県が指定する指定地域での変化は自然環境保全地域が11メッシュ、自然公園は166メッシュとなり、国の指定地域より変化量は多い。

指定地域全体では、0.61%のメッシュで植生変化がみられ、指定地域外のメッシュ変化率1.36%と比べて2分の1以下となっている。

保全指定地域における植生区分別の出現メッシュ数(表U.4.1)を第3回調査時の出現メッシュ数と比較してその増減をみてみる。国立公園では、ブナクラス域自然植生とヤブツバキクラス域代償植生がそれぞれ27メッシュと22メッシュ減少している。一方、国定公園では、亜寒帯・亜高山帯とブナクラス域自然植生がそれぞれ136メッシュと312メッシュ増加しており、都道府県立自然公園ではそれぞれ136メッシュと311メッシュ減少している。これは暑寒別天売焼尻が道立自然公園から国定公園に格上げになったことによるものである。また、都道府県立自然公園では、ヤブツバキクラス域代償植生の78メッシュの増加と、植林地・耕作地植生の71メッシュの減少も大きい。

自然環境保全地域では、ブナクラス域自然植生が136メッシュも増加しているが、白神山地が新たに自然環境保全地域に指定されたためである。

同様に保全指定地域における植生自然度別の出現メッシュ数(表U.4.4)を第3回調査時の出現メッシュ数と比較してその増減をみてみる。国立公園では植生自然度9の自然林が31メッシュ減少、二次林のうち植生自然度8の二次林が15メッシュ、植生自然度7の二次林が21メッシュ減少している。一方、植生自然度4の二次草原が21メッシュ増加している。

国定公園では、植生自然度10の自然草原と植生自然度9の自然林がそれぞれ29メッシュと423メッシュ増加しているのに対し、都道府県立自然公園では、それぞれ29メッシュと418メッシュ減少している。これは暑寒別天売焼尻の道立自然公園から国定公園への格上げによる影響である。他に都道府県立自然公園では、植生自然度7の二次林と植生自然度6の植林地と植生自然度4の背の低い二次草原がそれぞれ65メッシュ、48メッシュ、30メッシュ増加し、植生自然度8の自然林に近い二次林、植生自然度3の樹園地、植生自然度2の水田・畑、植生自然度1の市街地・造成地等がそれぞれ31メッシュ、54メッシュ、64メッシュ、36メッシュ減少している。

第4回調査時の国立公園、国定公園で第3回調査と第4回調査の間に群落に変化のあったメッシュについて植生自然度の推移を表にまとめると表U.4.10及び表U.4.11のようになる。

ここであげた群落の変化には実際に植生の改変があったのではなく、調査精度の向上やその後の新たな知見により植生凡例を概念上変更したものも含まれている。したがって、実際に起こったとは考えにくい植生自然度の推移が含まれていることにも注意する必要がある。

国立公園では、植生自然度9の自然林の変化が40メッシュと多いが、このうち57.5%が植生自然度6の植林地(14メッシュ)あるいは伐採跡地等の植生自然度4の背の低い二次草原(9メッシュ)となっている。森林としての回復が困難とみられる植生自然度2の農耕地(2メッシュ)や開放水域(4メッシュ)への変化は15.0%である。

次いで植生自然度8・7に含まれる二次林の変化は、植生自然度6の植林地(12メッシュ)あるいは植生自然度5・4の二次草原(7メッシュ)に変化した箇所が54.3%に対し、植生自然度2・1(6メッシュ)あるいは開放水域(4メッシュ)となった箇所が28.6%となり、自然林より植生自然度の低下したところが多くなる。

植生自然度6の植林地の変化は、植林地(3メッシュ)あるいは二次草原(植生自然度(5・4)(10メッシュ)への変化と農耕地(植生自然度3・2)(9メッシュ)、市街地・造成地等(植生自然度1)(3メッシュ)及び開放水域(1メッシュ)への変化のそれぞれが44.8%となっている。二次林以上に植生自然度が低下したところが多くなっている。

国定公園では、植生自然度8・7の二次林からの変化が全体の47.6%(20メッシュ)と多く、このうち15.0%(3メッシュ)は市街地・造成地等(植生自然度1)などの土地利用転換が行われている。また、樹林地(植生自然度6)へは40.0%(8メッシュ)、背の低い二次草原(植生自然度4)へは45%(9メッシュ)変化している。植生自然度9の自然林からの変化は全体の23.8%(10メッシュ)みられたが、農耕地(植生自然度2)などへの転換は10.0%(1メッシュ)であり、樹林地(植生自然度6)(5メッシュ)や背の低い二次草原(植生自然度4)(3メッシュ)への変化が多い。

植生自然度6の植林地からの変化は全体の26.2%(11メッシュ)みられたが、このうち63.6%(7メッシュ)が二次草原(植生自然度5・4)に27.3%(3メッシュ)が市街地・造成地等(植生自然度1)に変化している。

 

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