第7章 解析単位の設定

 

 前章まで、日本の自然の状況を動植物を中心に述べてきた。そのなかで、日本列島は人為的な改変が進み、本来の良好で多様な自然環境を残す地域は減少しつつあることがわかった。本章では、こうした良好な自然・多様な自然を残している地域はどこにあるのかを抽出するために、地域を把握する単位を設定した。今回の解析では地形に基づく地域区分と、2次メッシュを解析単位とすることとした。あわせて、自然公園(国立公園、国定公園)と都道府県単位での集計を行った。

 

●地形地域区分

 自然環境保全基礎調査をはじめ、日本の自然に関する情報の多くは3次メッシュを単位として整備されている。従って、コンピュータ−による情報処理を通じて地域の自然を表す場合には、3次メッシュを最小の単位とすることができる。しかし、日本全体の自然を対象としてマクロな分析を行う場合には地域の把握単位としては小さすぎる面があり、また数が多く(日本全体で約38万個)、適当ではない。そのため、より大きな地域単位を設定することが必要である。

 このような大きな単位としては、5倍メッシュや、2次メッシュのように機械的にメッシュを大きくした単位や市町村のような行政単位、また、流域や地形地域区分のような自然地形による単位が考えられる。

 本解析では、まず、具体的な地域として把握しやすく、自然のまとまりとして意味のある単位として、地形に基づく地域区分を採用した。ここでは、土地分類図(地形分類図)(1968、経済企画庁)における地形地域区分を基とし、土地分類図に掲載されていない沖縄、小笠原については島嶼群ごとに括り、それを単位とした。最小の単位として483区分をはじめに設定し、それを統合して305区分とし、解析に用いた。統合は、同一の山地に囲まれた小盆地や小平野を含める等、地域の一体性を重視して行った(表7.1.1)。この結果、区分ごとのメッシュ数の分布は表7.1.2に示したとおりで、最大は四国山地の約12,000メッシュとなった。主な区分の位置は図7.1.1に示した。

●2次メッシュ

 地形地域区分は表7.1.2にみるように面積が区分ごとに大きく異なり、具体的な地域の把握には優れているが、相互に比較を行うためには面積に対する比率をとるなどの加工を行う必要がある。また、大規模な区分では区分内に多様な自然を含むため、より細かな地域の特定にはやや不十分な面がある。そのため、それらを補完する意味をも含め、全国でほぼ同じ大きさを持つ単位である2次メッシュ(約10km×10km)を用いることとした。2次メッシュを用いた集計・表示はすでにいくつか示した(3章参照)。

 

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