第1章 解析の目的 

 

 「自然環境保全基礎調査総合解析報告書」は「総括編」と「解析編」の2分冊からなる。「総括編」は第3回自然環境保全基礎調査の概要を述べたものであり、「解析編」は本書である。

 本書に含まれる内容は、自然環境保全基礎調査結果、及び関連する情報を総合的に利用し、日本の自然環境、特に生物的自然とそれを支える環境要因について、日本列島レベルであるいは、地形地域区分等の解析単位を用いて、その相互の関連を分析し、総覧した結果である。

 「自然環境保全基礎調査総合解析業務」全体のフローを図1.1に示した。本書の内容は図中太線枠内に相当する。

 解析の目的は大きく2つおいた。第1は、全国的な観点から保全すべき自然が、マクロにみてどのような地域にあるのかを明らかにすること。この過程では、保全すべき自然の質、量が当然ながら問題となるが、自然に対する多様なニーズを考慮し、特定の視点に偏ることなく判断基準を広くとった。判断基準の視点としては、代表性、典型性、自然性、多様性、希少性、等をとりあげた。

 第2は、身近な自然の状態がどうなっているのか。近年の急速な都市の膨張のために、 都市住民の身の回りの自然はその姿を著しく変えつつある。その状況を明らかにするため、代表的な都市及びその周辺地域を抽出し、現在の自然の残存状況とそれをもたらした要因について解析を行った。

 

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