4−3 海域環境調査

 

1.調査の目的と方法

(1)目的

近年汚濁が進んだ我が国の沿岸域の現状を生物の生息状況を通して把握するため、プランクトン、底生生物、付着生物等について調査したものである。

(2)調査の内容と方法

我が国の海岸線からおおむね5kmの範囲の海域(内海・内湾に関するものはすべて)におけるプランクトン、底生生物、付着生物、大腸菌、赤潮に関して1973年〜1977年の間における既存調査データを収集し整理した。

収集したデータは、それぞれ「プランクトンデータ表」、「底生生物データ表」、「付着生物データ表」、「大腸菌データ表」、「赤潮発生状況表」にとりまとめ都道府県別報告書とするとともに、20万分の1地勢図にプランクトン、底生生物、付着生物の採集位置を表示した「採集地点位置図」、底生生物のうち、シズクガイ、チヨノハナガイ、ヨツバネスピオ、Capitella capitata、ムラサキイガイの分布域及び無生物域を表示した海域特定生物の分布図、大腸菌の測定値を表示した「大腸菌測定点図」、赤潮の発生状況を表示した「赤潮発生海域図」を作成した。

(3)情報処理の内容と方法

収集されたデータの処理に当たってはまずデータの質の点検が行われた。その結果、プランクトン、底生生物、付着生物については調査方法の異なるデータが多く、全国的な集計に適さないと判断された。残りの大腸菌と赤潮に関するデータのうち、富栄養化の指標となる赤潮について全国的な状況をとりまとめることとし、「赤潮発生状況表」よりデータをコード化し磁気テープに収納するとともに、「赤潮発生海域図」より発生海域を第3次地域メッシュで読取り、併せて磁気テープに収納した。この磁気テープを利用して、全国的な赤潮発生状況の集計を行った。

 

2.赤潮の発生状況

 1973年4月〜1978年3月の5か年間で、日本全国で赤潮が発生した件数は2168件、その総継続日数は15,165日で1件当り平均継続日数は7日である。

 都道府県別にみると、発生件数及び継続日数が多いものは、宮城県、千葉県、神奈川県、静岡県、愛知県、三重県、大阪府、兵庫県、和歌山県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、長崎県、大分県、である(資料編)。

 いずれも、市街地・工業地他を陸域に多くもつ都道府県ということで共通している。

 海域別にみると、発生件数及び継続日数が多いものは、わずかの例を除いて瀬戸内海及び内湾に限られている(資料編、図4−3)。

 発生した赤潮の種類では、珪藻類、ノクチルカ、渦鞭毛藻類のものが際立って発生件数が多い。

 

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