1 陸域に関する調査【地形地質・歴史的自然環境・景観ほか】

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自然景観資源調査

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昭和61〜62年度

B自然景観資源調査報告書(平成元年/都道府県別47冊)

B自然景観資源調査報告書(平成元年/全国版)

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1.調査の目的

自然環境保全上重要な要素である自然景観について、その現況(「何が」、「どこに」、「どのような状態」で存在しているか)を全国的視野で把握するため、視対象である自然景観の基盤(骨格)をなす地形、地質及び自然景観として認識される自然現象に着目して、それらの位置及び特性等を調査する目的で実施された。

 

2.調査の内容と方法

調査は環境庁から委託を受けた各都道府県において、地形学、地質学などの専門家が文献調査、ヒアリング調査並びに図上計測を主体に、また必要に応じて現地調査を加え実施された。

調査の対象となった自然景観はつぎのとおりである。

○視対象である自然景観の基盤をなす地形、地質及び自然景観として認識される自然現象であること

○通常、人間が視覚的に自然景観として認識できるスケールであること

○視覚に訴える特徴的なものであること

○人工的に造成されたものではないこと

○季節的な自然現象ではないこと

 

3.調査結果

(1)資源数とその分布状況

調査により抽出された自然景観資源数は全国で15,468件であった。最も多いのは滝(2,488ヵ所)であり、ついで火山(1,158ヵ所)、峡谷・渓谷(996ヵ所)、非火山性孤峯(993ヵ所)、湖沼(872ヵ所)、海食崖(734ヵ所)、砂浜・磯浜(632ヵ所)の順で、この7資源で全体のほぼ半数の50.9%を占めている。

資源の分布状況は、件数で見ると日本アルプスを抱える中部地方が全体の22.9%、ついで東北の21.4%、九州14.2%、関東10.5%の順に多い。

資源の種類別の分布状況を見ると、火山景観、山地景観とも中部地方に最も多く、石灰岩景観は中国地方に多く分布している。一方、水景の方は河川景観が中部、湖沼景観が東北、北海道地方に多く、海岸景観は九州地方が豊富となっている。

 

(2)資源の保護の現状

自然公園、自然環境保全地域、天然記念物等、何らかの保護制度下にある資源は全体の57.8%である。国立公園内には全体の23.2%、国定公園内には14.6%、都道府県立自然公園内には11.1%が分布しており、それらを合わせた自然公園全体には、全体の48.9%と半数近くが分布している。

 

■自然景観

景観は視覚によって「景観」として人間に認識される。

したがって本調査では、資源の眺望性(資源の見られ方、視点の種類)も調査された。

 

●資源の見られ方の区分

資源の見られ方は、樹木を標準対象として、距離による見え方の違いによって分類し、以下のように区分されている。

集計結果では、資源全体で、近景が43.7%ともっとも多く、次いで中景の34.0%、遠景22.4%となっている。

近 景

一本一本の樹木の葉、幹、あるいは枝ぶり等の特徴が視覚的に意味を持つ領域。距離にして300m以内で見られる。

中 景

一本一本の樹木の樹冠を見分けることができるが、枝ぶり等はもはやとらえることのできない領域。距離にして約300m〜4kmで見られる。

遠 景

一本一本の樹木の樹冠は、もはや見分けることはできず、大きな植生分布の変化や沢や谷が目につき、稜線などの地形のアウトラインが視覚対象になる領域。距離にして約4km以上で見られる。

 

●視点の種類

資源が眺望されるおもな視点は、以下のように区分されている。

集計結果では、広域・不特定な地点からのものが全体の32.4%、歩道からのものが26.0%と多くなっており、限定・車道と限定・展望地がそれぞれ10%を超え、そのほかは少ない。資源の見られ方と同様に、それぞれの資源の規模及び普遍性・希少性に応じた最適な視点に特定される傾向が窺える。

広域・不特定

広い範囲から見られ、特に視点の場は特定できない。

広域・著名展望地

広い範囲から見られるもので、かつ視点として評価の定着した展望地がある。

限定・車道

歩道・展望地から見られることもあるが、主として車道沿線から連続的な視点が得られる。

限定・歩道

歩道(登山道など)冶線から連続的な視点が得られる。

限定・展望地

視点は特定の展望地または歩道で現地に入る場合に限られる。

限定・船

船による以外、視点はない。

なし

閉鎖的空間に存在したり、到達性が悪く、見られていない。

 

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