1 陸域に関する調査【地形地質・歴史的自然環境・景観ほか】

●1−7

すぐれた自然調査

(植物、野生動物、地形・地質・自然現象、歴史的自然環境)

@

昭和48年度

@1/20万すぐれた自然図(昭和51年/都道府県別53面)

A

 

B

 

C

 

 

1.調査の目的

植物、野生動物、地形・地質・自然現象、歴史的自然環境、海中自然環境(3-2参照)の5つの項目について、全国を対象として稀少性、固有性、特異性という視点から、すぐれた自然がどこにどのような状態で残されているかを把握する目的で実施された。

本調査は、自然環境保全法に基づく第1回の全国調査として実施されたものであり、守るべき自然、復元・育成・整備すべき自然は何かということを明らかにし、全国的な観点に立った自然保護行政を推進するための基礎資料の整備を目指すものであった。

 

2.調査の内容と方法

各都道府県ごとに組織された専門学識経験者からなる専門委員会によって、既存資料の収集、学術性等の評価を行い、「すぐれた自然」を選定した。項目ごとの内容はつぎのとおり。

 

<植物>

@貴重な種及びA貴重な群落に分けて調査した。@については「日本特産または地方特産」、「稀産種」、「世界または日本における南限または北限」、「その他重要な種」について調査され、Aについては「各種の群落がまとまっている地域、典型的な垂直分布をなし、貴重と認められるもの」、「自然性、稀少性の高いもの」、「その他重要なもの」が調査された。

 

<野生動物>

@日本特産種、A稀産種、B世界または日本において南限または北限種、Cその他重要な個体群である哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、淡水魚類、昆虫類の生息地(繁殖地を含む)、渡来地(鳥類)をプロットし、生息状況等について調査した。

 

<地形・地質・自然現象>

環境庁が示した事例のうちから、@典型的なもの、A稀少なもの、B学術的に貴重なもの、Cその他重要なもの、を調査した。

 

<歴史的自然環境>

遺跡、歴史的建造物等の歴史的文化財や、過去の生活生産様式と密接に結びつき、これらと一体をなす歴史的風土としての自然環境を形成しているもの(例えば、歴史的文化財と一体となった自然林等)のすぐれた自然環境を調査した。

 

3.調査結果

各都道府県からの報告件数は、@植物群落2,297件、A野生動物6,096件、B地形・地質・自然現象6,296件、C歴史的自然環境3,131件に及んだ。

 

■基準地域メッシュ

自然環境保全基礎調査では、動植物分布調査の全種調査や環境指標種調査の原データとして、またその他の調査頂目においても多くの調査でその結果の集計・解析に当たり「基準地域メッシュ(3次メッシュ)」が用いられている。

これは、「標準地域メッシュ・システム(昭48.7.12行政管理庁告示第143号「統計に用いる標準地域メッシュ及び標準地域メッシュコード)」に基づくもので、一定の経線、緯線で地域を網の目状に区画する方法である。

第1次地域区画は、経度差1度、緯度差40分で区画された範囲を指す。第2次地域区画は第1次地域区画を縦横8等分したもので、第3次地域区画は第2次地域区画を縦横10等分したものである。

一般にこの第3次地域区画のことを「基準地域メッシュ」あるいは「3次メッシユ」と呼ぶ。集計・解析等にあたっては、対象とするデータの性質などのよりこれをまとめたり(5倍地域メッシュ等)、さらに細区分する場合もある。

 

■メッシュの単位と大きさ

メッシュの単位

範囲と大きさ

第1次地域区画(1次メッシュ)

経度差1度、緯度差40分

1/20万地勢図の図郭*割の範囲に該当

約80×80km**

第2次地域区画(2次メッシュ)

経度差7分30秒、緯度差5分

1/2.5万地形図の図郭割の範囲に該当

約10×10km

第3次地域区画

(3次メッシュ、基準地域メッシュ)

経度差45秒、緯度差30秒

各1/2.5万地形図の図郭割の縦横10等分の範囲に該当

約1×1km

5倍地域メッシュ

経度差3分45秒、緯度差2分30秒

各1/2.5万地形図の図郭割の縦横4等分の範囲に該当

約5×5km

*

地図に示された範囲の外周線

**

それぞれのメッシユの東西方向の長さは緯度にによって異なり、北海道と比較して沖縄では約1.3倍の長さになっている。

 

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