調査結果4

ツバメ類は

どんな場所に

どんな巣を作るの?

 ツバメ類は建物のような人工的な建造物によく巣を作りますが、細かく見ていくと種によって巣作りに選ぶ場所や位置に違いがあるでしょうか。

建造物の種類

1 ツバメ

 ツバメでは、巣の作られていた場所は、一戸建ての住宅と一戸建ての商店がもっとも多く、それぞれ約3分の1を占めていました。実際の町にある住宅と商店の戸数をくらべれば、商店の方が少ないことは明らかですから、商店をより好んで巣を作っているとみてよいでしょう。一方、橋などを利用した例は非常に少数でした。また、グラフには示してありませんが、牛舎に営巣した例が1%あり、これは他の種には見られない営巣場所でした。

玄関先のツバメの巣

牛小屋の巣

   (写真/栃木県・渡瀬由香さん)

   (写真/新潟県・金子主計さん)

 

2 コシアカツバメ

 ツバメとくらべると、大きな建物が好まれており、学校や集合住宅での営巣が多く記録されました。これは、コシアカツバメの巣の形に関係していると思われ、コシアカツバメのトックリ型の巣は天井の広い水平面がある方が作りやすいために、コンクリートの大きな建物が選ばれていると考えられます。

コシアカツバメのコロニー

橋桁のコシアカツバメの巣

  (写真/和歌山県・原勉さん)

   (写真/大阪府・高畠耕一郎さん)

 

3 イワツバメ

 コシアカツバメと同様に、建物では学校やビルのように大きなコンクリート製の建物が多く使われていました。また、ツバメとコシアカツバメとの大きな違いは、橋に営巣していた割合が高いことで、全体の半数弱が橋を利用していました。その中ではとくにコンクリート橋がよく使われていました。

魚市場の巣 トンネルの中の巣

(写真/茨城県・幡谷勝義さん)

(写真/北海道・富川徹さん)

 

4 リュウキュウツバメ

 リュウキュウツバメは、わずかに4例しか報告がなかったので、傾向をつかむにはいたりませんでしたが、報告のあった中では学校が3例、その他の建物が1例でした。

 

5 ヒメアマツバメ

 「その他の建物」に含まれているビル・駅・官公庁や、橋・学校で多くの巣が見つかりました。これは、コシアカツバメとイワツバメの巣を利用した例が多かったので、それらの種の好む営巣場所の傾向がそのまま現れたと考えられます。

町役場に作られたヒメアマツバメの巣

(写真/和歌山県・白水博さん)

 

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