調査結果 1

27 オガサワラゼミ

【分布と生態】 小笠原諸島に限って分布し、5〜12月にかけて長期間の発生をする中型のセミ。小笠原固有種ということで昭和45年に国の天然記念物に指定されました。本種は、南西諸島に生息するクロイワツクツクにきわめて似ていることから、南西諸島から植物を移入したとき、人為的に運ばれてすみ着いてしまったセミであるという説もあります。

【今回の調査結果】 母島から1個のぬけがらが寄せられました。

28 エゾチッチゼミ

【分布と生態】 北海道の東部に分布し、8〜9月に発生する小型のセミ。海岸近くから山地にかけて見られ、エゾマツ、ミズナラなど、いろいろな林に生息します。

【今回の調査結果】 北海道から7個のぬけがらが寄せられました。本種のぬけがらは、今回の調査の前まではメス1個しか見つかっていませんでしたので、一挙にオスを含む7個が見つかったことは大きな成果です。分布域としては、従来から知られている範囲からの記録でしたが、記録自体が少ないセミですので、これからの分布を調べる時の重要な参考になります。なお、今回の調査と同じ年(1995年)に、芽室町で多数のぬけがらが見つかり、林正美氏によって報告されています。

 

見分けがむずかしかった種類

 ミンミンゼミアブラゼミのぬけがらは、色や形がよく似ていて、区別するためには触角をよく見る必要があります。しかし、触覚は折れやすいため、扱いが雑だと2節目までしか残らず、見分けが難しくなります。2節目までで見分けるポイントは、毛の数や2節目の形です。ミンミンゼミの2節目は先端も根元もほぼ同じ直径の円筒形をしていますが、アブラゼミではやや先端の方が太くなっています。また、ヒグラシとツクツクボウシも間違いが多かった種類です。区別のポイントは、体を横から見ると、ヒグラシは猫背で、ツクツクボウシは背筋をピンと伸ばしています。また、光沢の有無も重要な区別点で、ヒグラシは全身に光沢があります。

ミンミンゼミ

アブラゼミ

ヒグラシ

ツクツクボウシ

ミンミンゼミとアブラゼミ

ヒグラシとツクツクボウシ

 

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