1.調査結果の概要


1唐津:今回の調査地は、前回調査地である松浦潟の東方、玉島川河口に位置する小規模な干潟で地名を浜崎という。前回の調査地では底生生物の出現種数が少なかたったが、今回調査地は、真水と海水が混じるという環境に位置しているため底生生物、鳥類等が多いと考えられるためこの地点を選定した。

    なお、この地域の干潟は小規模のものしかいが、この干潟についても小規模のためゾーンを上部と下部にしか分けることができなかった。


2有明海:今回の調査地は前回と同じく有明海の代表的な干潟である大授搦を選定した。

    調査時期が冬季であったため、底生生物の出現種数はかなり少なかった。鳥類については、ちょうど渡りの時期であったためカモ類、シギ類等が多数確認された。


3伊万里:調査地は、有田川と伊万里川とが湾内で合流する辺りで、地名は里という。このポイントの底質は泥質であるため、同じ泥質である有明海の干潟と比較し、底生生物、鳥類がどのように変化するかを見るためこの調査地を選定した。


4佐賀県内の干潟の底生生物、鳥類の特徴

・東松浦半島沿岸における底生生物の種類は少なく、貝類ではアサリ、ハマグリ、カニ・エビ・ヤドカリ類ではカニ、アナジャコ、ヤドカリ等が見られる。鳥類では、松浦潟・浜崎にシギ・チドリ類を中心として飛来し、陸域ではあるが虹の松原にもこれらが若干飛来してくるようである。


・伊万里湾の奥部では底質が軟泥のため貝類においてはオキシジミ・ハイガイが、その沿岸ではヘナタリ・ウミニナ類が優先種となっている。カニ類ではチゴガニ、スナガニが多数生息している。また、トビハゼも多数生息している。

 鳥類は、シギ、チドリ、多数のカモ、カモメが飛来する。また、伊万里湾はカブトガニの生息地としても知られている。


・有明海の干潟は日本最大級の干潟である。底生生物においては、種類、数とも多く、また、有明海特有の生物も多い。

 貝類ではサルボウ、アゲマキ、ハイガイ、ウミタケが生息しているが、なかには養殖されているものも多い。

 カニ類ではシオマネキ、ヤマトオサガニ、アリアケガニ等が多数分布している。沿岸付近ではゴカイ類が多数見られた。

 また、希少種としてムツゴロウ、ワラスボが挙げられる。

 この地域は鳥類の飛来地として、その種類、数とも国内で有数の場所であるといわれている。特に、春秋は渡りの中継地として大・小型のシギが、冬にはハマシギ、カモ、カモメ類が集団で越冬する。また迷鳥もしばしば飛来しバードウオッチングのポイントにもなっている。

 なお、沿岸にはシチメンソウ等の塩生植物、河川の河口付近ではヨシ等の植生が見られる。

 

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