地 図
番 号

調査区
番 号

市 町 村 名

地    名

      

調査年度

1991

20

21

木更津市

畔戸地先干潟

都道府県名

千葉県


 

 

 

 

 東京湾唯一の自然景観を残す干潟である。塩性の湿地、潮汐クリーク、砂地、砂泥地、砂地と環境の多様性に富み、淡水から海水への緩やかな塩分勾配ももつ。干潮時には、沖合い1.2kmにわたり広大な干潟が露出する。干潟を覆う海水は過栄養の東京湾水の影響を受けるが、好気的条件と底生生物の浄化作用により良好な状態が維持されている。干潟中部からコアマモが分布し、湾奥部の干潟と様相を異にしている。当該干潟北部は東京湾横断道路の千葉県側接岸地であるが、現在のところ環境の攪乱は認められない。











 環境の多様さに対して、底生生物相も多様である。後背湿地にはベンケイガニ、アシハラガニ、淡水の影響の強い水路にはゴカイ、イトゴカイが、高潮線付近の漂着物下にはハマトビムシが多数認められた。中部では砂地にコメツキガニ、泥地にはチゴガニとニホンスナモグリが、コアマモ帯にはアサリ稚貝、ホソウミニナ、オフェリアゴカイ、タマシキゴカイが分布した。低潮線付近では種多用性は増大し、二枚貝のアサリ、シオフキ、バカガイ、マテガイ、甲殻類のマメコブシガニ、ケフサイソガニ、ヤドカリ類、ヨコエビ類が度々採集された。イソギンチャクも分布し、少ないながらも腹足類のイボキサゴも出現した。







 4月、8月、11月にシギ・チドリ調査を行なったが、ダイシャクシギ、オオソリハシシギ、オグロシギの大型シギも認められた。1000羽を越えるハマシギが観察され、本種は越冬しているようである。ハマシギは満潮時には干潟を去り、河口を経由して、後背水田に移動分散した。ダイゼン、キョウジョシギ、シロチドリ、メダイチドリは前浜部に多く、湿地にはキアシシギ、ムナグロが散見された。ハマシギ、シロチドリはコメツキガニをよく採食し、また、秋にはゴカイを採食するのが観察された。干潟面積や底生生物の多様性の割には、シギ、チドリの個体数は多くなかった。







 当該干潟は予定されている東京湾横断道路に近接していおり、工事の影響が懸念される。ここは湾奥の干潟では観察されない多くの底生生物が生息し、規模、景観、生物の多様性、保存状態からみても全国で有数の干潟であることが改めて痛感された。近年では自然観察の場として有効に利用されている。





 
 
 
5



1


 

 

 


調

 所属 東邦大学

 氏名 秋山 章男

調査

方法

○1 現地調査 1991年8月10日
 2 資料調査
 3 ヒアリング



 


 

 

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