地 図
番 号

調査区
番 号

市 町 村 名

地    名

      

調査年度

1991

8

7

長生村

一宮川河口

都道府県名

千葉県


 

 

 

 

 一宮川河口西側の波乗り道路に面して、九十九里海岸唯一の河口干潟が広がる。基底は砂泥質からなり、高潮線寄りは砂地、低潮線及びクリーク沿いは泥地となる。水質は上流からの過栄養水の影響で、干潮時には濁り水が覆うが、満潮時には外洋水が流入し清澄となる。干潟上流側に約1haのヨシ原は河川工事で表土を取られ、干潟化した。東側の一部100mを除き、河口部は護岸で囲まれる。北に向かって細長いラグーンが延び、冬期にアオノリ養殖が行なわれている。砂浜を除き、河口、ラグーン全体が鳥獣保護区に指定されている。











 代表的な底生生物としてゴカイ、イトゴカイなどの多毛類とともに、コメツキガニ、チゴガニ、ヤマトオサガニなどのカニ類が挙げられる。上部にはヒメハマトビムシ、中部砂地にはコメツキガニ、ムロミスナウミナナフシが、下部にはヤマトオサガニを中心として量は少ないがイソシジミ、オオノガイが分布する。多毛類は上部から下部にかけて広く分布する。春期にはアサリが定着するが、越夏することは少ない。分布量の多さや季節的、経年的変動の少なさからみて、当該干潟の代表種は多毛類のゴカイ、イトゴカイの2種とみなせる。







 九十九里浜ではもっとも鳥が多い。ミユビシギはここで越冬し、外洋砂浜で採食、当該干潟をねぐらと、補足的な餌場として利用している。ハマシギは干潟に採食する代表種で、越冬する。渡り期にはオオソリハシシギ、チュウシャクシギ、ダイシャクシギの大型種をはじめ、ソリハシシギ、キョウジョシギ、トウネンなどがよく飛来する。チドリ類ではシロチドリは周年、メダイチドリ、ダイゼンは渡り期によく観察される。外洋砂浜部は多くのシギ・チドリにとってのねぐら、及び補足的な餌場として利用されている。数千を越すアカエリカイツブリの飛来記録もあり、ミヤコドリ、セイタカシギ、アメリカウズラシギも飛来する。







 当該干潟周辺はミユビシギの日本唯一の越冬地であるとともに渡りの中継、集積地である可能性が高く、また、冬期には砂浜部でなわばり形成する(現在研究中)。年間を通して砂泥の堆積が進み、干潟が拡大しつつある。現在、流量確保のための本流沿いの浚池工事が行なわれている。





 
 
 
5



1


 

 

 


調

 所属 東邦大学

 氏名 秋山 章男

調査

方法

○1 現地調査 1991年8月22日
 2 資料調査
 3 ヒアリング



 


 

 

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