土佐湾のサンゴ群生の概要

 高知県下の造礁サンゴの生育は、第2回調査時と改変が著しい。以前の造礁サンゴの群生地は、県西南部の大月町、宿毛湾及び沖の島等であったが、オニヒトデの被害がひどく主要な群生地は、ほぼ絶滅している。その後に、これらの地域は、非サンゴ類のウミトサカやキサンゴ類が良く生育している。なお、死サンゴの周辺部に造礁サンゴの回復がところによってはみられる。現在、オニヒトデは、土佐湾では極めて少ない。県西南部沿岸域でオニヒトデの被害を受けなかったところは、造礁サンゴの発達が著しく、大月町岡崎の浜、大月町柏島、土佐清水市大浜は、水深3〜15mまでの範囲に2.5〜7.0haと広大な卓状のミドリイシサンゴが、かなり高い被度で群生している。これらの造礁サンゴ域は、枝サンゴや葉状サンゴは少ない。

 なお、大月町沿岸のサンゴ群生地には、ヒメシロレイシガイダマシ(貝類)の出現が著しく、その被害が、ほとんどの群生地で出ている。しかし、土佐清水市の大浜のサンゴ群生地まで拡大していない。

 今回の調査で、土佐湾中央部の須崎市横浪半島、香美郡夜須町手結に卓状サンゴの群生地が多くみられた。これらの群生地は、以前は散在している程度であったが、10年間大きな台風の襲来がなかったことにより、発達したものと思われる。この水域は、主に卓状サンゴであるが、枝サンゴ、葉状サンゴ類も多く、手結のサンゴ群生地では30種以上の種類が確認されている。

 室戸岬周辺にも、卓状サンゴの被度の高い群生地が認められた。特に、室戸市室津のサンゴ群生地は、5.0haであった。室戸岬周辺部のサンゴ群生にもヒメシロレイシガイダマシは、出現しているが、被害はそれほどでもない。

 土佐湾のサンゴの群生は、オニヒトデの被害がおさまり、台風による被害も少なく、各地で発達している傾向がみられる。波浪等の影響を考えると、土佐湾中央部の卓状サンゴ群生の発達が期待される。

 

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