19. 京都府

 

(1)  分布及び消滅状況の概要
 京都府沿岸で大量に生育し、大きな群落(藻場)を形成していたのは次の種である。大型種では、ホンダワラ目11種(アカモク、イソモク、ウミトラノオ、ヤナギモク、ナラサモ、ノコギリモク、マメタワラ、ヤツマタモク、ヨレモク、エゾノネジモク、ジョロモク)、コンブ目2種(クロメ、ワカメ)、顕花植物3種(スガモ、アマモ、コアマモ)である。また、小型種では、褐藻類(アミジグサ、ヘラヤハズ、シワヤハズ)、緑藻類(アナアオサ)、紅藻類(マクサ、ピリヒバ、ウス力ワカニノテ、無節サンゴモ類)などである。
 京都府沿岸の藻場は、その景観ならびに主要な構成種により丹後半島、宮津湾、舞鶴湾、栗田半島から大浦半島(舞鶴湾を除く)の4つに分けることができる。丹後半島は水深10m付近まで大きな海藻群落がみられている。ヤナギモク、クロメ、スガモがほぼ全域にみられ、それ以外にも、イソモク、ノコギリモク、ヤツマタモク、ヨレモク等の大きな藻場が形成されていた。宮津湾は砂地の場所が多く、アマモによる藻場が湾口近くでは水深3m付近まで、湾奥では1m付近までみられているが、近年減少ぎみである。また、前回の調査で認められた湾口付近のガラモ場は消滅していた。舞鶴湾は湾口部には水深4m付近まで、ヤナギモク、ウミトラノオ、アカモクなどによる藻場もみられるが、少し内部に入ると生育水深は浅くなる。より内部に入ると、アナアオサ、マクサなどが優占する。栗田半島ならびに大浦半島は福井県との県境近く以外は転石地帯が多く、そこには水深3mぐらいまでヨレモク、ナラサモ、イソモクなどによる藻場が形成されているが、その規模はあまり大きくない。しかもかなりの範囲で、無節サンゴモ類が優占する磯焼が生じている。また、垂直な岩盤からなる地帯では、水深6m付近までピリヒバ、ヘラヤハズ等と共にワカメが大きな群落を形成していた。


 

現存・消滅藻場総括表

海 域 名

現 存 藻 場 消 滅 藻 場
調査区数 面 積(ha) 調査区数 面 積(ha)
若 狭 湾29257322
     
合   計29257322

 

<調査実施方法>
 1990年7月に京都府全沿岸について、船上からの目視調査及び潜水調査を実施した。

 

 

(2)現存、消滅藻場一覧表

現存・消滅藻場一覧表

 

調査区
番 号
地図
番号
海 域 名 市町村名 地     名 タイプ
番 号
面 積(ha)
現存藻場 消滅藻場
 1 14 若 狭 湾 舞 鶴 市 田 井 地 先 2  9  
 2 14 松ケ下地先 2  2  
 3 14 小 橋 地 先 2  5  
 4 14 三 浜 地 先 5  8  
 5 14 舞 鶴 湾 口 2  5  
 6 14 宮 津 市 奈 具 地 先 2  7  
 7 14 無 双 地 先 2  4  
 8 14 黒 崎 地 先 2  5  
 9 20 田 井 地 先 2   7
10 20 宮 津 地 先 1  3  
11 20 橋 立 地 先 1  5  
12 20 日 置 地 先 1  24  
13 13 伊 根 町 伊 根 地 先 6  3  
14 13 鷲 崎 地 先 2  2  
15 13 新井崎地先 2  3  
16 13 本庄浦地先 2  3  
17 13 蒲 入 地 先 2  18  
18 19 丹 後 町 袖 志 地 先 2  6  
19 19 此 代 地 先 2  2  
20 19 筆 石 地 先 2  2  
21 19 間 入 地 先 2  4  
22 19 砂 方 地 先 2  8  
23 19 網 野 町 三 津 地 先 2  3  
24 19 浅茂川地先 2  1  
25 24 磯 地 先 2  2  
26 25 久美浜町 久美浜湾内 1 100  
27 25 旭 地 先 2  9  
28 14 舞 鶴 市 成生岬西地先 2  6  
29 14 博奕岬地先 2  4  
30 14 金ケ岬地先 2  4  
31 20 宮 津 市 宮 津 地 先 1   5
32 20 橋 立 地 先 1   10
          257 22

 

 

(3)現存、消滅藻場分布図

 

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