15.兵庫県
(1)分布及び消滅状況の概要
1現存干潟
兵庫県内に存在する干潟は、日本海側には形成されず、瀬戸内海側に偏っている。 それも、姫路市以西の県西部に多く、また、干潟の大部分が瀬戸内海国立公園内にある。
多くの干潟が、潮干狩や海水浴などに利用されているが、海岸の近くまで自動車の入れる場所では、ウインドサーフィンの利用がよく見られる。
また、国設鳥獣保護区の特別保護地区に指定されている甲子園浜では、バードウォッチングの場所としてよく利用されている。
干潟のタィプは、前浜干潟が多く、一部河口干潟が存在するが、河口付近に発達した干潟は、明確に区分できないものもある。
底質については、ほとんどの干潟が砂質である。
2消滅干潟
今回の調査で消滅が確認された干潟は4ヵ所あり、このうち1ヵ所は、公有水面の埋立てにより全部消滅している。
消滅干潟の所在地は、姫路市1ヵ所、赤穂市3ヵ所といずれも兵庫県西部の瀬戸内海本土側である。
また、消滅原因としては、工業地帯に隣接する干潟において、埋立による消滅が1ヵ所、港湾の浚渫による消滅が1ヵ所ある。残りの2ヵ所の消滅干潟はいずれも千種川河口付近にあり、河川からの砂の供給量の減少、潮流による砂の移動などにより、干出し部分の面積が減少してきたものと思われる。
なお、この2ヵ所の千潟については、干出し部分の周辺に、以前干潟であった水深の非常に浅い海域が存在する。
現存干潟・消滅干潟総括表
海 域 名 |
現存干潟 |
消滅干潟 |
||
調査区数 |
面積(ha) |
調査区数 |
面積(ha) |
|
兵 庫 |
0 |
0 |
0 |
0 |
播磨灘北 |
7 |
54 |
4 |
55 |
播磨灘南 |
0 |
0 |
0 |
0 |
大阪湾北 |
1 |
2 |
0 |
0 |
大阪湾南 |
2 |
11 |
0 |
0 |
紀伊水道西 |
1 |
2 |
0 |
0 |
紀伊水道東 |
0 |
0 |
0 |
0 |
合 計 |
11 |
69 |
4 |
55 |
(2)現存、消滅干潟一覧表
現存・消滅干潟一覧表
調査区 |
地図 |
海域名 |
市町村名 |
地 名 |
タイプ |
面 積(ha) |
|
現存干潟 |
消滅干潟 |
||||||
1 |
18・27 |
播磨灘北 |
姫 路 市 |
的 形 |
1 |
5 |
|
2 |
27 |
〃 |
〃 |
白 浜 |
1 |
9 |
|
3 |
27 |
〃 |
〃 |
網 干 |
1 |
|
8 |
4 |
27 |
〃 |
御 津 町 |
新 舞 子 |
1 |
14 |
|
5 |
35 |
〃 |
赤 穂 市 |
唐 船 |
1・2 |
6 |
39 |
6 |
35 |
〃 |
〃 |
千 鳥 |
2 |
5 |
7 |
7 |
35 |
〃 |
〃 |
〃 |
1 |
11 |
|
8 |
35 |
〃 |
〃 |
松 の 鼻 |
1 |
4 |
1 |
9 |
4 |
大阪湾北 |
西 宮 市 |
甲子園浜 |
1 |
2 |
|
10 |
21 |
大阪湾南 |
州 本 市 |
成 ヶ 島 |
1 |
7 |
|
11 |
21 |
〃 |
〃 |
〃 |
1 |
4 |
|
12 |
29 |
紀伊水道西 |
南 淡 町 |
大 園 島 |
1 |
2 |
|
計 |
|
|
|
|
計 |
69 |
55 |
前回調査区との対照表
(干潟分布・改変状況調査)
今 回 調 査 区 |
区分の変更 |
前回調査区 |
備考 |
||||
現存干潟 |
消滅干潟 |
||||||
番号 |
面積(ha) |
番号 |
面積(ha) |
番号 |
面積(ha) |
||
1 |
5 |
|
|
変更なし |
1 |
5 |
|
2 |
9 |
|
|
〃 |
2 |
9 |
|
|
|
3 |
8 |
〃 |
3 |
8 |
全 部 消 滅 |
4 |
14 |
|
|
〃 |
4 |
14 |
|
5 |
6 |
5 |
39 |
〃 |
5 |
45 |
|
6 |
5 |
6 |
7 |
〃 |
6 |
12 |
|
7 |
11 |
|
|
〃 |
7 |
11 |
|
8 |
4 |
8 |
1 |
〃 |
8 |
5 |
|
9 |
2 |
|
|
〃 |
15 |
2 |
|
10 |
7 |
|
|
〃 |
16 |
7 |
|
11 |
4 |
|
|
〃 |
17 |
4 |
|
12 |
2 |
|
|
〃 |
18 |
2 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
〈調査実施方法〉
干潟の分布、面積、消滅状況等について、第2回自然環境保全基礎調査の干潟・藻場・サンゴ礁調査の結果をもとに、県の海岸・港湾の管理担当者及び市町の担当者へのヒアリングにより、現状を把握した。
また、あわせて、港湾・漁港関係資料、公有水面埋立関係資料、地形図、海図等の各資料により、消滅区域、消滅面積、消滅時期を把握した。
さらに、代表的な干潟については、干潮時に現地調査を行い、現存干潟の範囲、面積を確認した。
この他、鳥類の飛来状況については、最近の調査文献が甲子園浜のものしかなかったため、野鳥の会等へのヒアリングにより把握した。
資料リスト
資 料 名 |
著 者 名 |
発 行 年 |
第2回自然環境保全基礎調査 |
兵庫県生活部自然課 |
1978年 |
第3回自然環境保全基礎調査 |
アジア航測株式会社 |
1984年 |
兵庫の漁港 |
兵庫県農林水産部漁港課 |
1989年 |
ひょうごの海岸 |
兵庫県土木部港湾課 |
1983年 |
平成元年度 環境白書 |
兵庫県保険環境部環境局 |
1990年 |
兵庫県の鳥類(兵庫県鳥獣生息分布調査報告書) |
兵庫県農林水産部林務課 |
1989年 |
神戸の植物 13号 |
藤本 義昭 |
1988年 |
ひめじの植物 III |
姫路市 |
1984年 |
平成2年 瀬戸内海潮汐表 |
海上保安庁水路部 監修 |
1989年 |
(3)現存、消滅干潟分布図
兵庫県 干 潟 分 布 図
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