8.東京都
(1)分布及び消滅状況の概要
1現存干潟
東京都内湾は漁業権の放棄後、干潟・浅場が次々に埋め立てられ、現在残っている東京都内湾に存在する干潟は、今回調査した葛西海浜公園の人工なぎさと、それに続く三枚洲および羽田洲しかない。
葛西公園には「東なぎさ」と「西なぎさ」の2箇所の人工造成された干潟があるが、今回は通常立ち入りが禁止されている「東なぎさ」と「西なぎさ」で調査をおこなった。 上記以外の東京都内湾海域は、大部分が護岸で囲まれているため干潟はない。
江戸川区臨海町6丁目地先に造成された人工的ななぎさは、東なぎさと西なぎさの2箇所造成されている。 このうち西なぎさは葛西海浜公園から葛西渚橋を通って入域可能で都民等のリクリエーションの場として利用されている。
一方、今回調査を行った東なぎさは立入禁止区域となっている。
東なぎさは、半円形の人工護岸の前面に、なぎさ長約770mの幅を有する人工干潟で、今調査時の干出面積は約16haである。
人工造成された砂浜であるため、潮上帯の幅は狭い。 潮上帯の砂浜域には木片、プラスチック片、飲料缶片等のゴミが散在している。 さらに、護岸石積上にもプラスチック等のゴミが散在している。 しかし、潮間帯にはみられなかった。 調査は、夏以降毎大潮時に計画したが、台風や低気圧の相次ぐ襲来による降雨のため調査の実施が大幅に遅れた。
この天候不良で、大雨が続き江戸川、荒川からの出水がみられ、雨水にたびたび覆われたため生物の採集量、出現種類数に影響したものと推定される。
第2回調査でみられた、軟体類、甲殻類は殆どみられなかった。
海草類は全く認められなかった。
干潟の調査ではスコップで掘り起こした採集点では、ヘドロはみられなかった。
現存干潟・消滅干潟総括表
海 域 名 |
現存干潟 |
消滅干潟 |
||
調査区数 |
面積(ha) |
調査区数 |
面積(ha) |
|
東 京 湾 |
1 |
16 |
7 |
280 |
|
|
|
|
|
計 |
1 |
16 |
7 |
280 |
〈調査実施方法〉
干潟生物調査の現地調査は、1991年10月24日に調査船を傭船し、東なぎさに調査員が上陸して行った。 人工造成された護岸を基点とし、線に直角に調査測線を沖側に設定し、高潮線から低潮線にかけ10m間隔で測点を設置した。 各測点では、コードラートにより50×50cmの枠を決め、枠内の砂をスコップで30cm堀り取り、約2mmの飾いにかけて、目につく大きさの生物を採集した。
(2)現存、消滅干潟一覧表
現存・消滅干潟一覧表
調査区 |
地図 |
海域名 |
市町村名 |
地 名 |
タイプ |
面 積(ha) |
|
現存干潟 |
消滅干潟 |
||||||
1 |
2 |
東京湾 |
江戸川区 |
三 枚 州 1 |
1 |
|
5 |
2 |
〃 |
〃 |
〃 |
三 枚 州 2 |
1・2 |
|
87 |
3 |
〃 |
〃 |
〃 |
高 州 |
1,4 |
16 |
24 |
4 |
〃 |
〃 |
大田区 |
森ヶ崎地先 |
2 |
|
27 |
5 |
〃 |
〃 |
〃 |
城 南 大 橋 |
2 |
|
4 |
6 |
〃 |
〃 |
〃 |
羽 田 州 1 |
2 |
|
35 |
7 |
〃 |
〃 |
〃 |
羽 田 州 2 |
1・2 |
|
98 |
計 |
|
|
|
|
|
16 |
280 |
前回調査区との対照表
(干潟分布・改変状況調査)
今 回 調 査 区 |
区分の変更 |
前回調査区 |
備考 |
||||
現存干潟 |
消滅干潟 |
||||||
番号 |
面積(ha) |
番号 |
面積(ha) |
番号 |
面積(ha) |
||
|
|
1 |
5 |
変更なし |
2 |
5 |
全て消滅域に移行 |
|
|
2 |
87 |
〃 |
4 |
87 |
〃 |
3 |
16 |
3 |
24 |
〃 |
5 |
40 |
一部消滅 |
|
|
4 |
27 |
〃 |
10 |
27 |
全て消滅域に移行 |
|
|
5 |
4 |
〃 |
12 |
4 |
〃 |
|
|
6 |
35 |
〃 |
13 |
35 |
〃 |
|
|
7 |
98 |
〃 |
14 |
98 |
〃 |
(3)現存、消滅干潟分布図
東京都 干 潟 分 布 図
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東 京−1 |