II. 干潟調査結果の解析

秋山 章男1

1. 目 的

 干潮時に露出する砂泥底である干潟は、本邦では潮位差の大きい太平洋岸で発達し、また、内海や内湾でより発達する。干潟は河川、陸上からの栄養の供給により維持されており、その高い生産性から重要な漁業生産の場であるばかりでなく、渡り鳥の採食、越冬の場でもある。しかし、都市に近いという立地から、埋め立ての対象として減少し続けているのが現状である。

 今後、干潟を保全していくための基礎情報を得るための第4回自然環境保全基礎調査の干潟分布調査,干潟改変状況調査、干潟生物調査に基づいて、本邦における干潟の分布現況と消滅状況および干潟に生息する生物の分布現況をまとめるとともに、干潟のタイプや面積と生物相との関係について検討した。また、本調査が各県に委託して実施されたという条件に鑑み、調査手法に関する問題点等についてもふれた。なお、現存干潟、消滅干潟の概要だけでなく、平行して実施された干潟生物調査結果の検討も加えた。

 

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