発刊によせて
朝比奈 正二郎
第4回自然環境保全基礎調査動植物分布調査(昆虫類)に於いては、これまでの実績を考慮して、比較的知見の集積されたと思われる分類群をとり上げて、その群の全種類について全国的な分布図を作成し、それを基礎として今後の保全目的の達成に資そうとしたものである。
対象昆虫群:とり上げられた昆虫群は、これまでに比較的分布の知見が集積されたもののうち以下のとおりである。
トンボ類 |
調査対象種(亜種を含む)は203種(飛来偶産種6種を含む)であり、全種の情報が得られた。この中には新記録も含まれる。 |
チョウ類 |
調査対象種(亜種を含む)は295種であり、そのうちの259種の情報が得られた。 |
ガ類 |
特定の3科とレッドデータブック掲載種の119種(亜種を含む)を調査対象種としており、そのうち101種の情報が得られた。 |
セミ類 |
調査対象種(亜種を含む)は32種であり、全種の情報が得られた。 |
甲虫類 |
特定の3科のハンミョウ科、クワガタムシ科、ハナカミキリ類を調査対象とした。ハンミョウ科では調査対象種22種(亜種を含む)のうち21種の情報が得られた。クワガタムシ科では調査対象種37種(亜種を含む)のうち、36種の情報が得られた。ハナカミキリ類は、調査対象種(亜種を含む)160種のうち、156種の情報が得られた。 |
完成度:第3回報告の資料を基礎として完成に努力したわけであるが、現状ではチョウ類及びセミ類については所期の目的に達しているレベルにあるように思われる。トンボ類・ガ類はそれらに次ぐレベルにあると思われるが、更に今後の努力を加えるべきであろう。甲虫類の3群については、更に今後の充実を期待する。申虫類のうち、ハナカミキリ類は今回新しくとり上げたものである。
今般第4回報告書の完刊に当たり、長期に亘って資料の整備に当られた各部門の専任分掌者並びに資料提供に当って協力を惜しまれなかった全国各地の昆虫類研究家各位に深甚な感謝の意を表すものである。