2 分布の概要
以下の内容は前回報告書にも掲載したが、参考資料として再度掲載する。
チョウ各種の分布はそれぞれ特異性があって、まったく同一というものはありえないが、大局的にはいくつかの分布型としてまとめることが可能である。
知見の整理のために、今回の調査結果および従前の蓄積資料と総合して、日本産のチョウの主な分布型をまとめると次のようになる。なお迷チョウはその性質上この考察から除外した。以下の分布図はすべて概念図である。
アカタテハ型(分布図1)
全国分布型。北海道全土より八重山諸島まで分布。
このタイプに属するものにナミアゲハ、カラスアゲハ、モンシロチョウ、モンキチョウ、ルリタテハなどがある。カラスアゲハは沖縄本島、八重山諸島において特化が著しく、これらをそれぞれ独立種とする説が有力であるが、大局的に見た場合にはこれらはカラスアゲハの代置種(または代置亜種)でこの分布型に含めてよいものと思われる。テングチョウは北海道内で南西部にその分布が限定される点にわずかの相違があるが、この型の一変形にすぎないと判断される。ヒメアカタテハ、アサギマダラ、ウスイロコノマチョウも外見的にはこの分布型に入るが、これは高温期における北方への一時的分散によるもので、内容的にはこの分布型とは異なる。これらの3種は暖地でのみ越冬可能、寒冷地では世代を継続できない。
スジグロシロチョウ型(分布図2)
北海道全土より九州本土まで、あるいはさらに種子島・屋久島まで分布するが、トカラ列島以南の南西諸島に欠如するもの。このタイプに嘱するものに、オナガアゲハ、ツマキチョウ、ウラギンヒョウモン、オオウラギンスジヒョウモン、クモガタヒョウモン、ミドリヒョウモン、メスグロヒョウモン、イチモンジチョウ、サカハチチョウ、ヒオドシチョウ、コムラサキ、ヒメウラナミジャノメ、ナミジャノメ、クロヒカゲ、コツバメ、トラフシジミ、ベニシジミ、ツバメシジミ、ミヤマセセリ、コチャバネセセリ、オオチャバネセセリなどがある。
キタマダラセセリはトカラ中之島にも産するが、それはこの型のわずかな変形と認められる。
ゴマダラチョウ型(分布図3)
北海道南西部より九州本土まで分布。北海道北東部および南西諸島に分布しない。
このタイプに属するものに、オオムラサキ、キマダラモドキ、ウラクロシジミ、ゴイシシジミ、ダイミョウセセリなどがある。
ヒメキマダラヒカゲ型(分布図4)
北海道全土より九州まで分布するが、南西日本の暖地では山地性あるいはやや山地性となるもの。南西諸島に分布しない。この分布型は分布図2のスジグロシロチョウ型と本質的には同じもので連続的であるが、日本南西部では山地性となるため、一見かなり異なった感じの分布図となるので、一応別型として抜き出してみた。従って両者の中間型の分布を示し、その所属の判定に困惑を感ずる種もいくらかある。
このタイプに属するものに、シータテハ、ヤマキマダラヒカゲ、ウラゴマダラシジミ、ウラキンシジミ、オナガシジミ、メスアカミドリシジミ、アイノミドリシジミ、エゾミドリシジミ、カラスシジミ、ミヤマカラスシジミ、ヒメキマダラセセリ、へリグロチャバネセセリなどがある。ウラクロシジミは北海道では渡島半島の南端部にその分布が限られるが、この分布型のわずかの変形と判断される。
コキマダラセセリ型(分布図5)
北海道全土より中国地方山地にわたって分布するが、四国・九州に分布しないもの。
このタイプに属するものに、オオヒカゲ(近畿地方で紀伊半島の基部まで分布が南下する点においてわずかに相違)、ジョウザンミドリシジミがある。
ウスバアゲハ型(分布図6)
前型に類似するが、四国山地にも分布を拡げている点で相違する。九州に分布しない。
このタイプに属するものはウスバアゲハの1種のみ。
チャマダラセセリ型(分布図7)
分布図6のウスバアゲハ型の一変形と思われるもの、その産地は局部的。
このタイプに属するものはチャマダラセセリの1種のみ。
ウラジャノメ型(分布図8)
分布図5のコキマダラセセリ型の一変形と思われるもの。その分布は北海道、東北地方南部~中部地方山地、中国地方山地に隔離分布。四国・九州に分布しない。
このタイプに属するものはウラジャノメの1種のみ。
ツマジロウラジャノメ型(分布図9)
北海道の日高山脈、東北地方北部より中部地方山地、紀伊半島大台原周辺山地、四国山地の4力所に隔離分布。中国地方山地、九州に分布しない。ツマジロウラジャノメはウラジャノメより山地性ではないと思われるので、この分布型は異常。このタイプに属するものはツマジロウラジャノメの1種のみ。
ハヤシミドリシジミ型(分布図10)
分布図4のヒメキマダラヒカゲ型の一変形と思われるもの。四国に分布せず、近畿地方とその周辺に広い分布の空白がある。
このタイプに属するもの、あるいはこれに近いものにヒメシロチョウ、ウラミスジシジミ、ウスイロオナガシジミ、ウラジロミドリシジミ、ゴマシジミ、ヒメシジミ、スジグロチャバネセセリなどがある。スジグロチャバネセセリは愛媛県下の離島(鹿島)に生息するが、これは例外的なもので取り敢えずこの分布型に含めた。
クジャクチョウ型(分布図11)
北海道全土より東北地方山地から本州中部地方にかけて連続的な分布を示すもの。
このタイプに属するものはギンボシヒョウモン、エルタテハ、キベリタテハ、ベニヒカゲなど。
オオミスジの分布はこれに近いが、北海道の分布は南西部に限定される。
ヒメギフチョウ型(分布図12)
上記のクジャクチョウ型に類似。北海道では北東部、本州では東北地方北~中部、関東地方赤城山塊~中部地方山地の3地域に隔離分布をするもの。
このタイプに属するものはヒメギフチョウの1種のみ。
フタスジチョウ型(分布図13)
上記のヒメギフチョウ型に類似するが、北海道では全土に、本州では東北地方の一部(岩手県北部と岩手県に接する秋田県の東部山地)と関東山地~本州中部山地の2力所に隔離分布をするもの。
このタイプに属するものはフタスジチョウの1種のみ。本州内の分布形式はヤマキチョウに類似。
オオゴマシジミ型(分布図14)
北海道南西部と東北地方山地~関東地方山地~中部地方山地の二つの地域に分布するもの。
このタイプに属するものはオオゴマシジミの1種のみ。
コヒオドシ型(分布図15)
北海道と本州中部山地(あるいは中部山地~関東北部山地)に遠く離れて隔離分布するもの。
このタイプに含まれるものに、コヒョウモン、オオイチモンジ、アサマシジミがある。いずれも北海道では南西部の渡島半島に分布しない点でわずかの差がある。クモマベニヒカゲは北海道でも高山帯(大雪山系、利尻島高地)に限られるが、基本的には同一分布型。
エゾシロチョウ型(分布図16)
北海道特産、全土に分布。本州以南に分布しない。
このタイプに含まれるものに、エゾヒメシロチョウ、アカマダラがある。
これにきわめて類似の分布型をもつものにカバイロシジミ(北海道全土、青森県の津軽半島・下北半島の北部に分布)があり、このタイプの一変型と思われる。
ヒメウスバアゲハ型(分布図17)
北海道特産、長万部~黒松内線以南の渡島半島に欠如。
このタイプに含まれるものに、カラフトヒョウモン、ホソバヒョウモン、シロオビヒメヒカゲ、リンゴシジミ、ジョウザンシジミ、カラフトルリシジミ、カラフトタカネキマダラセセリなどがある。
生息地の極限されるヒメチャマダラセセリ、高山性のため中央高山帯に孤立的分布を示すキイロウスバアゲハ(ウスバキチョウ)、アサヒヒョウモン、ダイセツタカネヒカゲはこの分布型の極端なものである。
クロシジミ型(分布図18)
本州、四国、九州に広く分布。北海道および種子・屋久島以南の南西諸島に分布しない。
このタイプに属するものにオオウラギンヒョウモン、ナミヒカゲ、ミヤマチャバネセセリなどがある。ナミヒカゲは九州の西部と中南部に分布しない不思議な分布型を示すがその理由は不明。
スジボソヤマキチョウ型(分布図19)
本州、四国、九州に分布。上記のクロシジミ型と基本的には同じであるが、南西日本の暖地では高地帯に局部的分布を示すもの。ヒメキマダラヒカゲ型(分布図4)とは北海道に分布しない点でのみ異なる。
このタイプに属するものはスジボソヤマキチョウの1種。
クロヒカゲモドキ型(分布図20)
本州、四国、九州に分布。上記のスジボソヤマキチョウ型(分布図19)に似ているが、東北地方に異常な広い分布の空白地帯があり、岩手県下にその分布が極限されるので分離してみた。
東北地方の分布はヤマキチョウ型に似る。
クロミドリシジミ型(分布図21)
本州、九州に局部的分布。四国に分布しない。
このタイプに属するものはクロミドリシジミ1種のみ。
オオルリシジミ型(分布図22)
本州、九州に局所的分布。四国に分布しない。
上記のクロミドリシジミ型(分布図21)に似ているが、中国地方に分布しないこと、その他本州の分布状況に差がみられるのでとりあえず1型としてとりあげてみた。
このタイプに属するものはオオルリシジミの1種のみ。
クロツバメシジミ型(分布図23)
本州、四国、九州に分布するが、分布図で明らかなように、本州中部と中国地方瀬戸内海沿岸部~四国北部海岸地域~九州北~中部~壱岐~対馬の二つの地域に隔離分布。
このタイプに属するものはクロツバメシジミの1種のみ。
アサマイチモンジ型(分布図24)
本州特産種。青森県より山口県まで分布し、とくに高地性のものでもないのに、北海道、四国、九州に分布しない。同じスイカズラ科植物を食草とするイチモンジチョウが北海道から四国、九州に分布することを考えると、誠に不思議な分布型である。
このタイプに属するものはアサマイチモンジが代表的なもの。本州内で局所的な分布を示すキマダラルリツバメ、ホシチャバネセセリ(この種は対馬に産する点で特異であるが一応これに含めておく)はこの変形であろう。
ヒョウモンモドキ型(分布図25)
本州特産。中部地方と中国地方に隔離分布。
このタイプに属するものにヒメヒカゲがある。ヒョウモンモドキ、ヒメヒカゲはともに草原性チョウである点に共通点がある。
ヤマキチョウ型(分布図26)
本州特産。中部地方と東北地方の一部(岩手県北部とそれに隣接する青森県の南東部)に隔離分布をするもの。
このタイプに属するものはヤマキチョウの1種のみ。
東北地方における分布型はクロヒカゲモドキに酷似する。
チョウセンアカシジミ型(分布図27)
本州、東北地方の特産。東北地方の二地域、岩手県と山形県(それに接する新潟県の北東端部)に隔離分布。
このタイプに属するものはチョウセンアカシジミの1種のみ。
コヒョウモンモドキ型(分布図28)
本州特産。中部地方山地、あるいは中部地方山地から関東地方の山地にかけて分布。
このタイプに属するものはアサマシジミ、アカセセリ、それにクモマツマキチョウ、ミヤマモンキチョウ、タカネキマダラセセリなどの高山チョウも含まれる。
このタイプに近似のものに関東よりさらに東北地方南部にまで分布をひろげるミヤマシジミがある。
ギフチョウ型(分布図29)
本州特産。山口県より太平洋側では関東地方西部山地、日本海側では秋田県南西端がその分布の北限。
このタイプに属するものはギフチョウの1種のみ。
ヒロオビミドリシジミ型(分布図30)
本州中国地方の特産。このタイプに属するものは朝鮮半島~中国東北部に分布する。
このタイプに属するものはほかにウスイロヒョウモンモドキがある。
他の昆虫にも類似の例がある。
ツシマウラボシシジミ型(分布図31)
日本では対馬の特産種。近隣の朝鮮半島、中国に分布しない。島嶼遺存型の1例。国外分布は台湾山地、アッサム山地、マレイ半島山地。
このタイプに属するものはチョウではツシマウラボシシジミの1種のみであるが、他の昆虫には類似の例がある。
タイワンモンシロチョウ型(分布図32)
日本では対馬の特産種であるが、上記のツシマウラボシシジミ型(分布図31)と異なり、朝鮮半島より南下して対馬に到達したもの。八重山諸島でしばしば発見されるタイワンモンシロチョウは台湾からの迷チョウによる一時的発生。
アカボシゴマダラ型(分布図33)
日本では奄美大島の特産。近年、徳之島でも採集されるが、もともと土着のものか、人為的な放チョウによるものかは不明。島嶼遺存型の1例。国外では朝鮮半島、済州島、中国、台湾に分布。
このタイプに属するものはチョウではこの1例のみ。他の昆虫には類似のものが多い。
フタオチョウ型(分布図34)
沖縄本島特産。島嶼遺存型の1例。
このタイプに属するものにリュウキュウウラナミジャノメがある。フタオチョウは国外では台湾、中国~ヒマラヤ、マレイ半島に分布、日本では沖縄本島の特産であるが、リュウキュウウラナミジャノメは国外に分布しない真の特産種である。
なお他の昆虫において沖縄本島と奄美諸島に共通の特産種(特産亜種)はきわめて多く、上記のアカボシゴマダラ型とフタオチョウ型は分離せず一型とするのが妥当であるかも知れない。
アサヒナキマダラセセリ型(分布図35)
八重山諸島特産。島嶼遺存種の1例。
このタイプに属するものに、マサキウラナミジャノメ、ヤエヤマウラナミジャノメがある。日本では八重山諸島に特有のチョウはヤエヤマイチモンジ、シロオビヒカゲ、ネッタイアカセセリなど、ほかに数種を数えるが、これらは南方からの北上種で、標記のものとは別のカテゴリーに含まれるものである。
オガサワラシジミ型(分布図なし)
小笠原諸島特産種。島嶼遺存型の1例。
このタイプに属するものにオガサワラセセリがある。いずれも他地域に分布しない真の特産種である。
マルバネウラナミシジミ(オガサワラウラナミシジミ)は日本では小笠原諸島のみで発見されているが、これは東南アジアの広域分布種。小笠原のものは迷チョウによる一時的発生、表記の特産種とはその意味が本質的に異なる。
リュウキュウヒメジャノメ型(分布図36)
奄美諸島~八重山諸島地域の特産種。これは島嶼遺存種ではなく、ヒメジャノメの代置種でややその意味が異なる。
このタイプに属するものはリュウキュウヒメジャノメの1種のみ。
ほかにリュウキュウミスジ、イワカワシジミなど、日本国内だけを考えればこれと全く同じ分布型を示すものがいくらかあるが、これらは南方からの北上種で、標記のものとは別のカテゴリーに含まれるものである。
アオスジアゲハ型(分布図37)
南西諸島より北上して暖帯の北限(またはそれに近いライン)まで分布を拡げているもの。
このタイプに属するものは、クロアゲハ、モンキアゲハ、ジャコウアゲハ、キチョウ、ツマグロキチョウ、スミナガシ、ウラギンシジミ、ムラサキシジミ、ヤマトシジミ、シルビアシジミ、アオバセセリなどその例が多い。
コジャノメ型(分布図なし)
上記のアオスジアゲハ型とほぼ同様であるが南西諸島に分布しないもの。
このタイプに属するものにホソバセセリがある。
キリシマミドリシジミ型(分布図38)
上記のコジャノメ型と同じく南西諸島に分布せず、本州の分布北限線はアオスジアゲハ型、コジャノメ型より南に遍在、太平洋側では神奈川県下がその北東限となる。
このタイプに属するものにウラナミジャノメ、ヒサマツミドリシジミがある。ゴイシツバメシジミ(九州中~南部、紀伊半島)はこの型の極端な場合であると思われる。
ムラサキツバメ型(分布図39)
上記のキリシマミドリシジミ型に近似、分布北限線はさらに南偏、近畿地方がその分布北限となる。キリシマミドリシジミ型と違い南西諸島に分布。
ツマグロヒョウモンの土着北限線はほぼこれに一致する。イシガケチョウ、サツマシジミはこのタイプと見なされる。北東進を続けているナガサキアゲハの分布は現在ほぼこの北限線に到達した。
クロコノマチョウもこのタイプに近いが、この種はさらに北東進して現在は静岡、山梨県下にまで分布を拡げている。
ミカドアゲハ型(分布図40)
上記のアオスジアゲハ型、コジャノメ型、キリシマミドリシジミ型、ムラサキツバメ型よりさらに分布北限は南偏、その分布は広島県以西、四国南半、紀伊半島以南に限られる。
ルーミスシジミの分布はほぼこのタイプ、ただ飛び離れて房総半島南部に分布する点、南西諸島に分布しない点でわずかの相違がある。そのほか、ヤクシマルリシジミ、タイワンツバメシジミ(両種とも中国地方西部に分布しない)もこのタイプに近い。
クロセセリ型(分布図41)
上記のミカドアゲハ型(分布図40)よりさらに分布北限が南偏するもの。中国地方山口県が分布北限。より以東の中国地方、四国に分布しない。
このタイプに属するものはクロセセリの1種のみ。山口県における分布は近年における九州からの分布拡大。
四国南半、紀伊半島に分布しないことは分布の常識からは説明が困難。
ツマベニチョウ型(分布図42)
上記のクロセセリ型より分布北限線がさらに南偏、九州本土南端部の大隅半島、薩摩半島の南部が分布北限線となる。
タテハモドキは以前はほぼこれと同じ分布型であったが、現在では太平洋側では宮崎平野まで北上している。
リュウキュウアサギマダラ型(分布図43)
南方より北上して分布北限がトカラ諸島に達するもの。
タイワンウラボシシジミはこの数十年来北上を続けているが、遂にトカラ列島に到達した。
オオシロモンセセリ型(分布図なし)
南方より北上して奄美諸島に達するもの。
このタイプに属するものにシロオビアゲハ、ナミエシロチョウ、イワカワシジミ、オキナワビロウドセセリ、ヒメイチモンジセセリなどがある。
コノハチョウ型(分布図44)
南方より北上して沖縄本島がその分布北限となるもの。
リュウキュウウラボシシジミ、ハマヤマトシジミはこのタイプに属する。
ヤエヤマイチモンジ型(分布図45)
南方より北上し、八重山諸島がその分布北限となるもの。
シロミスジ、スジグロカバマダラ、シロオビヒカゲ、ヒメウラナミシジミ、ルリウラナミシジミ、タイワンアオバセセリ、コウトウシロタセセリ、ネッタイアカセセリなどはこのタイプに属する。
以上の分布型はさしあたりの参考資料として、代表的と思われるものを抜き出したにすぎない。従ってより正確な資料のもとに厳密な考証を行えば、一つの分布型の分離、複数の分布型の併合などの変更が必要となることは充分にありうると思われる。
なお図示した分布図の1~4は全国的分布型、6~7、9は北海道・本州・四国・九州の分布型10は北海道・本州・九州の分布型、8、11~15は北海道・本州の分布型、16~17は北海道特産分布型、18~20、23は本州・四国・九州の分布型、21~22は本州・九州の分布型、24~30は本州特産型、31~36は島嶼特産型、37~45は南方からの北上分布型というように大まかに分けてみた。