V.コアジサシの集団繁殖地の現状と動向

 

1.形態及び生態

コアジサシはカモメ科に属し,全長約28cm,体重約60gの小型の鳥で,白い体と黒い頭をもつ。繁殖期には,黄色いくちばしとそこから後頭部にかけての黒い線が目立つようになる。先のとがった翼で,空気を切るように飛び,ツバメのように長く切れ込んだ尾羽根をもっている。

熱帯から温帯にかけての海岸や河川,内陸の湖沼に広く分布している。世界には9亜種が分類されており,日本に生息するのはSterna albifrons sinensisである。4月初旬に渡来して繁殖し,8月から9月ごろに南へと渡っていく夏鳥である。国外では,朝鮮半島から中国,台湾,フィリピン,マレーシア,インドネシア,ニューギニアなどで繁殖することが知られている(Clapp et al. 1993, Smythies 1960, Dickinson et al. 1991)。営巣場所は,河川の中州や海岸の砂浜などの砂礫地で,地上にくぼみをつくるだけの簡単な巣を造る。産卵期は4月下旬から7月頃までである(清棲1978)。コアジサシは,人やカラス類などの外敵が集団繁殖地に進入してくると,キリッ,キリッと鳴きながら急降下して集団で外敵を追いはらう。こうして集団で繁殖地を守ることが,各個体の繁殖を成功させることにも結びついている。これが,コアジサシが集団で繁殖する理由の1つだとも考えられている。

近年オーストラリアでは,コアジサシの減少が指摘されている(Blakers et al.1984)。アジサシ類は,生息地の開発や人による撹乱,野生化した哺乳類による捕食,化学物質による汚染など多くの脅威にさらされており,減少したり絶滅の危機に瀕している種が多い(Clapp et al. 1993)。日本においても,レッドデータブックに希少種として記載されている(環境庁 1991)。

 

2.調査方法

アンケート調査,文献調査,そして現地調査を行なった。アンケート調査と文献調査の方法は,I.カワウの節で述べたものと同じである。

現地調査の期間は平成4年(1992年)6月から7月である。調査を行なったの県は,関東地方の茨城県,千葉県,東京都,神奈川県,東海地方の静岡県,関西地方の大阪府である。集団繁殖地の位置,個体数,営巣数,および利用している場所の環境特性について調査を行なった。環境特性については,生息環境の種類,面積,地面の土質(種類,色),緑被率,植生変化,地形,採食地までの最短距離,保護状況,土地利用計画,繁殖の撹乱要因などについて調査した。

生息環境の種類は,地面の形状から人工的環境として工事現場の積土,砂礫造成地,埋立地,自然的環境として河川の中州,河原,砂浜に区分した。面積は,繁殖期の最盛期に,コアジサシが利用している区域の面積を求めた。つまり,集団繁殖地の最も外側の巣を線で結んだ内側の面積を算出した。地面の土質は,礫(粒型2mm以上),砂(粒型2mm以下),粘土,貝殻,その他に分け営巣場所の特徴をもっとも表している場所でその割合を調べた。土質の色は,黒色,黒褐色,赤褐色,黄褐色,灰色,白色の中から選んだ。緑被率は,集団繁殖地の中で植物に被われた緑地部分の割合を目測したものである。また植物が生育している場所では,その高さの平均を目測して,植物の高さを求めた。植生の変化では,今後の植生の変化について予測を行なった。地形については,標高と集団繁殖地の成立している地面の高低差から,平地,台地,傾斜地に区分して記録した。集団繁殖地から採食場所と考えられる開水面までの最短距離は,地図上から算出した。保護状況については,法的な銃猟規制(鳥獣保護区,銃猟禁止区域)や開発規制の有無について調べた。また土地利用計画についても記録を行なった。

 

3.分布と規模

アンケート調査の結果,北海道を除く本州以南の27か所の海岸,河原,埋立地などで集団繁殖地が確認された。文献調査によれば,林・岡田(1992)は,平成3年(1991年)の集団繁殖地が24都府県57か所に存在することを報告している。現地調査の結果では,関東で21か所,静岡で5か所,大阪で2か所の合計28か所の集団繁殖地を確認した。以上の調査結果を総合すると,秋田県以南の本州,四国,九州の27都府県,延べ108件の情報から5万分のl地形図で77メッシュに集団繁殖地が確認されたことになる(図3.1)。この結果は,環境庁(1980)による第2回自然環境保全基礎調査の51メッシュと比べると増加している。これは第2回の調査は調査法が異なるため見落としが多かったことによると考えられる。

集団繁殖地それぞれの規模は,アンケート調査によると10羽前後から数100羽が多く1,000羽以上の規模は報告されなかった。文献調査でも1,000羽以上の規模が確認できた集団繁殖地は,全国で福岡県響灘,宮崎県宮崎港,千葉県幕張市豊砂,茨城県鹿島市豊が浜の4か所だけで,いずれも埋立地であった。

現地調査によって観察された成鳥や幼鳥,営巣数などから,集団繁殖地のコアジサシの個体数を推定できたのは25か所であり,1,000羽以上が1か所(茨城県鹿島市豊が浜の埋立地),500羽以上1,000羽未満が1か所(静岡県浜北市天竜川中州),100羽以上500羽未満までが11か所,100羽未満が12か所であった(図3.2)。

 

4.環境選択

現地調査の結果,集団繁殖地28か所のうち,埋立地や造成地などの人工的環境を利用しているものが15か所(53.6%),中州や砂浜などの自然的環境を利用しているものが13か所(46.4%)で,ほぼ半数が人工的環境を利用していた(図3.3)。集団繁殖地そのものの面積は,0.5ha未満が7か所(26.9%),0.5haから5ha未満が15か所(51.7%)で,5ha以上は4か所のみ(15.4%)と少なく,コアジサシの集団繁殖地の面積は小規模なものが多かった.面積が最大であったのは,羽田空港沖合理立地の25haであったが,コアジサシはその全区域を同じように利用しているわけではなかった。最小の面積は,大阪淀川の中州の0.05haであった(図3.4)。

コアジサシの集団繁殖地28か所のうち,緑被率10%未満が17か所(60.7%)で,緑被率が大きくなるほど繁殖地の数は少なくなった(図3.5)。河原や砂浜では緑披率が低く,中州や埋立地では緑被率が高い傾向にあった。緑被率40%が,中州と埋立地の2か所(6.9%)でみられたが,緑被率が40%をこえたコアジサシの集団繁殖地はみられなかった。

植物が少しでも侵入している集団繁殖地は20か所(69.0%)みられ,植物の平均的な高さはいずれの場所でも50cm以下であった。このうち,植物の高さが30cm以下の集団繁殖地が14か所で,50cmより高い草地の生えている場所はみられなかった。またさらにヨシ原が広がるなど植生変化がみられるものが少なくとも7か所認められ,そのうち6か所が砂礫造成地や工事現場の盛り土などの人工的環境であった。

営巣場所の土質は,ほとんどが砂礫で,場所によって砂の割合と礫の割合が異なっていた。河川の中州や河原では礫の割合が高く,埋立地や造成地では砂の割合が高い傾向がみられた。これら砂礫の中に5%から20%程度の貝殻を含む場所が16か所(55.2%)みられた。コアジサシの巣は,貝殻や小石,木の破片などを用いるものがみられたが,周囲の地面にとけ込み,巣やヒナを発見しにくかった。土の色は,褐色を帯びた灰褐色から黄褐色のものが19か所(67.9%),白から灰色のものが9か所(32.1%)であった。。

24か所(85.7%)で標高30m以下のほとんどが起伏のない平地を利用していたが,工事などで盛土して周囲より高くなった台地に営巣したものも4か所(14.3%)みられた(図3.6)。しかし営巣場所として傾斜地を選択したものはみられなかった。コアジサシが海岸の砂浜で繁殖する事例は少なかったが,茨城県の波崎町では,波をかぶる心配の少ないやや小高い場所で,営巣する例も観察された。

営巣場所から半径500mの圏内には,コアジサシが魚類を採食可能な海岸や河川,運河,湖沼などの広い開水面が認められた。採食場所を確認した15か所のうち7か所の営巣場所で,採食場所となっている開水面との最短距離は10m以内にあった。ほとんどの営巣場所は100m以内にあり,営巣場所は採食場所と近接していた(図3.7)。

集団繁殖地のある場所の土地利用計画については,情報の得られた22か所のうち,今後開発などの計画がある場所が12か所(54.5%)であった。銃猟禁止区域などに指定されている場所は,15か所(51.7%)みられたが,鳥獣保護区に指定されている場所は3か所(10.3%)だけで,それ以外の場所では銃猟禁止区域であっても,開発などの計画がある場所であった。

以上の結果から,コアジサシの環境選択について考察する。営巣環境の種類は,人工的環境が53.6%であった。これは林・岡田(1992)の調査結果で示された,埋立地の利用率45.6%とほぼ同じような傾向であった。コアジサシは,人の活動によって形成された裸地を積極的に利用しているといえる。しかし埋立地は,河原の砂礫地や海岸の砂浜とちがって,ヨシなどの草本が侵入し,植生の遷移が進みやすい環境である。緑被率が40%以上,植物の高さが50cm以上の場所では,コアジサシの営巣はみられていないので,埋立地では土地利用が進まなくても植生遷移により営巣が不可能になると考えられる。

土質や地表の色は,コアジサシの巣やヒナを目立たないようにするのに役立っていると思われる。仁部(1979)は,コアジサシのヒナの産毛には褐色系と灰白色系があることを述べている。唐沢(1976)も,ヒナの羽毛に2系統の色があり地表に対しての保護色として役立っていることを指摘している。巣立ったヒナは,親が食物を運んでくる間,巣から出て石や草本に身を寄せていることが多かった。植物が侵入して緑被率が増加すると,巣やヒナはその中に隠れやすくなる半面,そこに潜む捕食者に襲われやすくなる可能性がある。親鳥も巣やヒナに接近する外敵を発見できなくなり,ヒナが捕食される前に追いはらうことも困難になるのではないかと考えられる。

コアジサシが営巣場所を選択する上で,ヒナに給餌するための採食場所が近くにあることは重要な要素と考えられる。いずれの集団繁殖地でも,採食できる開水面が近くに認められた。1,000羽以上の集団繁殖地が形成された茨城県豊が浜や千葉県豊砂は,利根川河口や東京湾の海岸に面した埋立地で,このような場所は食物資源が豊富であると考えられる。しかし東(1993)は,1992年に関東における7か所の集団繁殖地で採食面積と,営巣数との関係を調べたが,相関は認められなかったと報告している。桑原ら(1994)は,千葉市の6か所の集団繁殖地でコアジサシの食性を調査した結果,親鳥がヒナにあたえる魚類は,10cm以下のものが多く,淡水域から海水域の魚類までの15種類の魚類を確認し,サッパHarengula zunasi(63%)やカタクチイワシEngraulis japonica(22%)が多かったことを報告している。採食面積だけでなく,食物となる魚の生息数も含めた食物資源量との関係が重要と考えられる。

東京湾岸では,集団繁殖地の成立している場所は同じでも,集団繁殖地の規模が縮小した事例が観察された。これは,営巣場所が工事のために面積が縮小し,大きな集団繁殖地を形成できなくなったためである。平成3年(1991年)に1,000羽以上の大きな集団繁殖地を形成した千葉県千葉市豊砂の造成地では,営巣場所の利用面積は10ha以上と広かったが,翌年工事が進行すると,営巣のために利用できる面積が縮小し,その結果営巣面積が1.2haになり,コアジサシの個体数も百羽といずれも約十分の1に縮小した(金井ほか1991,東1993)。ここでは,採食環境は変化しなかったが,営巣可能な面積が減少するとコアジサシの集団繁殖地の規模も小さくなることを示している。繁殖していたコアジサシの多くは,東京湾岸に大規模な集団繁殖地を確認することはできなかった。周辺に分散していったものと考えられる。

コアジサシの集団繁殖地が小さくなると,外敵に対する集団防衛が十分行なえなくなることが指摘されている。Tomkins(1959)は,15つがいから30つがいの規模の集団繁殖地で,カラス類の捕食によってコアジサシが営巣放棄したことを報告している。したがって集団繁殖地の規模の縮小は,コアジサシの繁殖成功率を低下させ個体数の減少を招くであろう。

 

5.保護のための対策と提言

現地調査を行なった関東21か所の集団繁殖地のうち,コアジサシが長期間繁殖している場所は1つもなく,12か所の集団繁殖地では,開発の予定があった。また河川の中州で,集団繁殖地が鳥獣保護区に指定されているところは1か所だけであった。早急にコアジサシが繁殖する河原や中州,砂浜,理立地などを,鳥獣保護区などに指定しできるだけ営巣環境を保全していく必要がある。

コアジサシは,もともと流量が豊かで川幅の広い中流から下流域の中州の砂礫地,海岸の砂浜などで集団繁殖地を形成してきた(信州鳥類生態研究グループ1977)。近年河川や海岸は,埋め立てられたり開発されて減少してきている。そして埋め立てられた直後の平坦な裸地は,コアジサシにとって一時的には好適な営巣環境となったと考えられる。これまでに東京湾が埋め立てられた面積は,明治30年代の東京内湾水面面積の約21%に相当する。東京湾沿岸は,江戸時代から86%が人工海岸となり,平成2年(1990年)現在進行中の工事も含めると,埋立累積面積は明治以降だけで約24,900haに達する(環境庁1990)。これらの埋立地に,コアジサシは繁殖していた(唐沢1976,茂田ほか1977,1978)。大阪木津川の埋立地でも,昭和8年(1933年)に6群から7群の合計約20,000羽ものコアジサシが観察されている(榎本1934)。

しかし埋立地での集団繁殖地の継続年数は短く,長期的なコアジサシの集団繁殖地は,ほとんどが河原などの自然的環境に形成されていることが指摘されている。平成3年(1991年)に繁殖した57か所で,繁殖の継続年数が10年以上が26か所(45.6%)報告されており,そのうち22か所(84.6%)が河原であった(林・岡田1992)。関東の東京湾岸(横浜から富津の海岸線)では,コアジサシの繁殖地の継続年数は1年から2年と短かく,3年間継続した場所はみられなかった(金井・磯部1990,金井ほか1991)。工事のために途中で営巣放棄したものも1か所みられ,埋立地は土地利用の変化や植生の変化が著しく営巣環境として不安定な場所であるといえる。

埋立地でコアジサシの繁殖を維持させるには,裸地を維持していく工法を模索する必要がある。植生の遷移を押さえ,緑被率を40%以下に抑えるための管理が必要である。東京港野鳥公園では,平成2年(1990年)から約0.03haの池の中島を除草して,表土の下にビニールを重ね敷くなどして植生の遷移を抑制し,コアジサシのデコイや音声によってコアジサシの誘致実験を行なっている。コアジサシが営巣できる裸地は減少しており,代替地への誘致は長期的には可能であるといえる。しかし外敵に捕食されないためには,多数のコアジサシが繁殖することが必要で,営巣場所の面積が広いことは重要であると考えられた。

千葉県千葉市豊砂と打瀬の仮設駐車場では,砕石を固く敷きつめた人工表土に小石や砂が混じり,面積も約50haと20haで広く,1991年6月にはコアジサシの繁殖がみられ,それぞれ106巣,44巣が確認された(金井ほか1991)。このように砕石を固く敷きつめれば,除草などの管理も少なくてすみ,コアジサシの繁殖期以外は駐車場として使えるなど土地の有効活用にも役立つと思われる。

東京湾に注ぐ多摩川では,かつてコアジサシが繁殖していたが,現地調査で繁殖を確認することはできなかった。多摩川の河原の施設利用比率は全国でもっとも高く,グランドや公園,宅地などが河原の20.2%を占めている(環境庁1988)。コアジサシの多摩川における生息状況をみると,1960年頃まで中流の広大な河原に集団繁殖地がみられ(津戸1984),1980年にもコアジサシの繁殖が確認されている(東京都1980)。今回集団繁殖地はみられず,コアジサシの採食する姿が少数みられたにすぎない。津戸(1984)は,河原や草本の疎らな草地がグランドや公園に変わった後,コアジサシをはじめイカルチドリ,コチドリ,シロチドリ,イソシギ,ヒバリ,コミミズクなどが減少したと報告している。

河川は,治水のために護岸工事が行なわれ,農業用地や施設的利用地などに変化してきた。第3回自然環境保全基礎調査(環境庁1988)によれば,一級河川の河原(河川区域内の陸部のうち比較的平坦な部分)で片側が幅100m以上ある河原の存在区間は,全河川区間の44.3%(5,055km)であり,この中で土地利用の進行した人工的河原は,24.9%(1,258.2km)に達している。

このような河原の変化によって,コアジサシが小群となって分散していくと,捕食者に対する集団防衛が十分行なえなくなり,他の鳥類の繁殖にも大きな影響をあたえることになる。すなわちコアジサシは捕食者に対し集団で攻撃して追い払う習性があるので,コチドリやシロチドリのように,攻撃力がなく擬傷することによって捕食者は重要である。たとえば,東京湾岸の行徳近郊緑地特別保全地区で,1975年にコアジサシの繁殖成功率が80.0%であった時には,シロチドリの繁殖成功率も81.6%とほぼ等しかったが,1976年にコアジサシの繁殖地が,野生化したイヌやハシボソガラスによって壊滅すると,シロチドリの繁殖成功率も19.0%に減少した(茂田ほか1977)。したがって,コアジサシを保護していくことはシロチドリなど同じような環境で繁殖する鳥類群集の保護にも通じ,コアジサシは海岸や中州などで繁殖する鳥類の指標となる鳥類と言える。

コアジサシの繁殖地として,海岸の砂浜は,植物が生えにくく採食場所にも近いため営巣環境として重要な場所であるが,現地調査において自然の砂浜で営巣していたのは,茨城県と静岡県の2か所(6.9%)と少なかった。この傾向は全国的なものである(林・岡田1992)。コアジサシが繁殖する平坦で広い砂浜や埋立地は,人にとってもレクリエーションの場所として利用されやすい環境である。車やオートバイ,人などが侵入して,卵やヒナがつぶされたり,コアジサシの親が単に近づけず,ヒナが衰弱死することがいくつかの調査地で観察された。

したがって,人による繁殖妨害を防ぐための対策が必要である。静岡県舞阪町の遠州灘海岸では,現地調査を行なった1992年の営巣数は93巣であったが,1994年に18haの鳥獣保護区が設けられ,パトロールが行なわれたところ,営巣数が1,000巣を超した。このように繁殖期に,集団繁殖地が形成されている場所への人の立ち入りを規制し,人為的な撹乱をできるだけ取りのぞくことは,コアジサシの保護にとって極めて有効である。

コアジサシは,オーストラリアにおいても減少しており,その保護は国際的な課題である。コアジサシの法的な保護体制を整えるとともに,コアジサシの生息場所を知らせ,安定した営巣環境である海岸や河川の砂礫地や砂地を保全していけるような管理を行なうことが必要である。また東京湾岸のように,すでに自然の営巣環境がほとんど失われた地域では,埋立地などに代替地を作るなどして,営巣環境を復元していくことが強く望まれる。

 

6.評価

アンケート調査,文献調査,現地調査によって得られた情報を総合した結果は,コアジサシの分布状況などを,ほぼ正確に表しているものと思われる。

 

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