本報告書は,第4回自然環境保全基礎調査の一環として行なわれた動植物分布調査のうち「鳥類の集団繁殖地及び集団ねぐらの全国分布調査」についての調査結果をとりまとめたものである。

 我が国に産する全ての動植物について,分布の現状とその時系列的変化を把握するためには一つ一つの確実なデータ(いつ,どこに,何がいたか,それを誰が確認したか)を丹念に収集し,蓄積することが必要である。

 しかし,動物は移動するものであり,身を守るために姿を隠す習性があるなど一般に人目に触れる機会が少なく,また形態等が類似しているものがあり,多くの種について確実なデータを得ることはなかなか容易ではない。

 従って,全国にわたるこの種の調査を実施するためには,種の分類,同定に関する確かな知識と能力を有する調査者の永年にわたる協力が不可欠である。

 幸い,鳥類については,当初から(財)日本野鳥の会会員をはじめとする全国多数の調査員の理解と協力が得られ,我が国に産するほとんどの種について,第2回調査においては繁殖分布を,第3回調査においては越冬分布をそれぞれ明らかにすることができている。

 今回の調査は,特に鳥類の集団繁殖地及び集団ねぐらを対象として,それらの全国的な分布の現状を把握するとともに,規模,環境条件等に関するより詳細な情報を得る目的で実施したものである。この結果,2336件の分布情報が得られ,25枚の分布図が作成された。これらについては,分布図としての完成度を評価するとともに過去の情報とも可能な限り比較して,現状を把握することに努めた。

 なお,この調査は,環境庁自然保護局からの請負業務として(財)日本野鳥の会が実施したものである。

最後に,本調査の企画立案からまとめに至るまで御指導頂いた検討会(分科会)の学識経験者の方々並びに,貴重な時間をさいて分布情報の提供に御協力頂いた(財)日本野鳥の会会員の皆様,各部道府県の鳥獣保護員の皆様に心から感謝の意を表する次第である。

平成6(1994)年3月

環境庁自然保護局

 

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