2.2.2 特定植物群落調査
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注) 1群落に対して複数の選定基準が対応している場合があり 、
注1)1群落に対して複数の選定基準が対応している場合があり、件数、面積とも A〜Hの計と合計(実数)は合わない。 注2)全国の5,085件のうち、長野、鳥取県で前回の1群落を2群落に分けたことに より生じた4件について、群落内容等が不明のためこれらを除いているので、 総計5,081件となっている。 ●相観区分別にみると、非常に多様な群落が選定されており、件数ではシイ・カシ林など の暖温帯常緑広葉高木林(1,287件)、ブナ林などの冷温帯夏緑広葉高木林(675件)、 湿地植生(334件)の順に多い。 ●全特定植物群落のうち、件数で53%、面積で86%が自然公園等(国立公園、国定公園、 都道府県立自然公園、原生自然環境保全地域、自然環境保全地域、都道府県自然環境保 全地域)に指定されている。 2.追跡調査 ●前回選定された群落3,835件のうち、面積等に変化のあった群落は420件(11.0%)であ った(変化なし:3,384件 88.2%、不明:31件 0.8%)。 注)前回調査の群落数3,834件との差は、調査対象群落の統合、分割によるものである。 また、上記の「変化なし」には変化の恐れのないものとして本追跡調査の対象とならな かった群落61件(青森県)が、さらに「不明」には秘密扱いのため報告のなかった群落 2件(広島県)が含まれている。 ●消滅あるいは面積減少などにより特定植物群落から削除されたものは106件で、本追跡 調査の対象となった3,772件の群落の2.8%にあたる。 なお、このほかに他群落への包含による削除1件(静岡県)がある。 注)上記の3,835件から青森県の61件及び広島県の2件を除いた3,772件が追跡調査の 対象。 ●変化状況では「面積に著しい変化」のあったものが192件(変化件数の41.1%)と最も 多い(表2-2-8)。 表2-2-8 地方別の変化状況(件数)
注1)複数解答のため、合計群落数は、実際の選定群落数とは合致しない。 注2)( )内 上段は、群落全体(横の合計)に対する割合(%) 下段は、変化のあった群落合計に対する割合(%) 注3)「記入なし」には、変化なし及び変化状況不明が含まれる。 ●変化原因では、農林業開発が最も多く(全群落の2.8%が農林業開発の影響を受け、変 化原因の19.9%を占めている)、その他の開発(1.6%、11.1%)、人の立入り(1.4%、 9.7%)がこれに次いでいる(表2-2-9)。 表2-2-9 地方別の変化原因(件数)
注1)複数回答のため、合計群落数は、実際の選定群落数とは合致しない。 注2)( )内 上段は、群落全体(横の台計)に対する割合(%) 下段は、変化群落での構成比(%) ●おもな相観別の変化状況は次のとおり。 ◎冷温帯夏緑広葉高木林 ブナ林をはじめとするこの群落では、9.8%に変化があり、東北から九州までの各地 で森林施業や林道建設などにともなう伐採により、面積が減少した例が多い。 ◎暖温帯常緑広葉樹林 照葉樹林の主体を成すこの群落では 5.6%に変化があり、比較的都市地域に近いとこ ろにも分布していることから、各種の影響を受けている。特に大都市圏では、宅地開 発や道路建設等都市的な土地利用にともない、消滅または面積が減少した例が多い。 ◎湿地植生 ミズゴケの発達した高層湿原やヨシなどの低層湿原などの湿地植生では、19.0%に変 化があり、農地造成や草地造成による消滅または面積の減少や植物の侵入による群落 構成の変化など、各地でさまざまな原因による影響を受けている。 ◎暖温帯常緑針葉樹林 マツ林やスギ林などのこの群落では、12.6%に変化があり、マツクイムシ被害による 群落構成の変化や面積減少の例が多い。 ◎海浜植生 砂浜などの海岸に生育する海浜植生では、30.2%に変化があり、海浜の埋立や護岸工 事による消滅または面積減少の例が多いほか、海水浴などの過剰利用やオートバイの 乗り入れなど人の立ち入りによる影響を受けている例もみられた。 3.生育状況調査 第2回自然環境保全基礎調査及び今回の追加調査で選定された特定植物群落のなかから、 植物群落の類型ごとに代表的、典型的な 475群落についてより詳細な生育状況の調査を行 い、自然環境保全施策(植生の保護対策、植生の復元、自然環境の創出、環境診断等)の 基礎となるバックデータ蓄積のための情報を収集・整備した。 |