4-8-3 原生流域一覧表
NO. |
原生流域名 (地域名) |
※流域面積 |
都道府県 |
市町村 |
保全地域 |
植生等の概況 |
1 |
テッパンベツ川流域 |
ha 2,225 |
北海道 |
斜里郡斜里町 |
知床国立公園 |
海岸付近の穏斜面等にはイワノガリヤス草原がみられるが、標高100m〜150mまではエゾイタヤ−シナノキ林などの落葉広葉樹林で、以降、しだいに針葉樹の混交度合を増し、所々にエゾマツ、トドマツなどの針葉樹林を形成する。森林限界はおおむね700m前後で所によっては500mまで下降し、付近にダケカンバ、ミヤマハンノキ林がみられる。より高標高地では圧倒的にハイマツが優勢で一部の湿地や岩礫地付近では、ツガザクラ類やチングルマなどの高山植物群落や湿原群落が観察される。 |
2 |
ルシャ川上流部 |
1,571 |
〃 |
斜里郡斜里町 |
知床国立公園 |
流域はルシャ川本流とポンルシャ川に大きく2分される。前者は大部分を森林群落によっておおわれる。後者は東岳付近へ達する稜線の一部をふくむ関係で高山帯を広く持ち、ハイマツ群落の発達が顕著である。 |
3 |
オッカパケ川上流部 |
889 |
〃 |
目梨郡羅臼町 |
知床国立公園 |
主稜部は知床半島のなかでは高山植物群落の発達がよくみられるところであり、二ツ池付近では高層湿原の発達もみられる。ハイマツも優勢を保っており、標高600m付近でもハイマツが出現するが、森林限界はおおむね800〜900mと想定される。限界付近では矯性のダケカンバ林、ミヤマハンノキ林の発達が予想される。 |
4 |
植別川上流部 |
1,984 |
〃 |
目梨郡羅臼町標津郡標津町 |
― |
高山帯の発達は、おおむね1,000m前後からみられ、800m〜1,000mがダケカンバ帯及び上部針広混交林、それ以下は針葉樹林及び下部針広混交林となっていることが予想される。 |
5 |
茅刈別川上流部 |
1,261 |
〃 |
上川郡上川町 |
大雪山国立公園 |
高山帯はほぼ1,500m前後からみられるが特に、1,700m以上では高山植物群落の発達が顕著である。上部針広混交林(エゾマツ−ダケカンパ群落)、ダケカンバ群落は、ほぼ1,000m前後からと想定される。針葉樹林もみることができ緩斜面の広い尾根筋にはササ草原が森林群落に介在している。 |
6 |
忠別川上流部 |
6,036 |
〃 |
上川郡上川町 |
大雪山国立公園 |
流域のほぼ1/2が高山帯で、多彩な高山植物が広大な面積にわたってみられる。森林限界は1,300m〜1,600mで、森林帯では、エゾマツ・トドマツ林、アカエゾマツ林などの針葉樹林、下部針広混交林が一般的である。地形的にも新期火山の旭岳、高根ケ原の熔岩台地、忠別川本流の渓谷など変化に富んでいる。 |
7 |
忠別川上流二見沢 アイシポップ沢 |
1,075 |
〃 |
上川郡東川町 |
大雪山国立公園 |
標高1,300m前後までは針葉樹林及び上部針広交林で、それより上部はダケカンバ林からハイマツ帯へと続いている。旭岳の1,800m以上は、生成の新しい火山である関係で、一般に植生の発達は貧弱である。 |
8 |
ポンクワウンナイ川流域 |
1,338 |
〃 |
上川郡美瑛町 |
大雪山国立公園 |
森林限界は1,300m〜1,400mで、森林帯は下部針広混交林針葉樹林が主体となっている。流域中最高峰の小化雲岳は大雪山系主稜の出尾根であり、稜線は広い緩斜面を形成する熔岩台地状の地形となっており、ハイマツ群落が一面に広がっている。 |
NO. |
原生流域名 (地域名) |
※流域面積 |
都道府県 |
市町村 |
保全地域 |
植生等の概況 |
9 |
クワンナイ川上流部 |
ha 3,812 |
北海道 |
上川郡美瑛町 |
大雪山国立公園 |
高度範囲、600m〜2,141m。大雪山系の主稜南部を構成する山稜の集水区域。標高800mまでの河道沿いには渓畔林がよく発達している。森林限界は1,400m前後。トムラウシ山付近はロックガーデン状の岩礫堆積地であり、小規模な山上湖が多数散在し、高山植物群落の発達も顕著である。 |
10 |
辺別川上流部 |
1,349 |
〃 |
上川郡美瑛町 |
大雪山国立公園 |
黄金ケ原は古い溶岩台地で、大雪山系主稜線から十勝岳への接点にあたっている。森林限界は1,400〜1,500m。森林帯の構成は他の大雪山系に係る原生流域と大差ない。高山帯を構成する台地の一角には比較的規模が大きい湿地もしくは湿潤地が存在している。 |
11 |
美瑛川上流部 |
1,362 |
〃 |
上川郡美瑛町 |
大雪山国立公園 |
高度範囲880m〜1,670m(コスマヌブリ)。十勝岳連峰の北端の一角を占める稜線を構成する流域である。森林限界は1,400m前後となっている。流域には硫黄沼の名で知られる山上湖がある。 |
12 |
トムラウシ川上流東沢 |
1,634 |
〃 |
上川郡新得町 |
大雪山国立公園十勝川源流部原生自然環境保全地域 |
高度範囲700m〜1,710m(五色ケ原付近)。森林限界は1,500m前後で、森林帯の占める割合が高い。森林帯は、原生自然環境保全地域に指定されている部分を中心として、北海道を代表する針葉樹林(エゾマツ・トドマツ)を含んでいる。五色ケ原は、高山草原群落の典型として著名である。 |
13 |
布部川上流部 |
1,981 |
〃 |
富良野市 |
大雪山国立公園 |
高度範囲840m〜1,912m(富良野岳)。森林限界は、1,400m〜1,500m。森林帯の大部分は原始ケ原と呼ばれる高層湿原地帯で、湿原性アカエゾマツ林の存在で特徴づけられる。標高がやや高くなるとエゾマツ・トドマツの針葉樹林、上部針広混交林、ダケカンバ林を経て、ハイマツ帯と続いている。 |
14 |
芦別川上流部 |
1,513 |
〃 |
芦別市 |
富良野芦別道立自然公園 |
高度範囲600m〜1,700m(芦別岳付近)。森林限界は、1,500m前後。芦別岳付近は石灰岩や蛇紋岩類などの特殊な地質条件をそなえており、高山植物種類の豊富さでは定評がある。大部分を占める森林帯は、一般的な針広混交林を主体とし、エゾマツ、トドマツなどの針葉樹林も含んでいる。 |
15 |
トナシベツ川上流部 |
1,111 |
〃 |
空知郡南富良野町 |
富良野芦別道立自然公園 |
高度範囲580m〜1,660m(夕張岳付近)。森林限界は、1,500m前後。夕張岳は、蛇紋岩山地の代表的な山体で固有種を高山帯に多産することはよく知られている。稜線付近は、夕張付近をのぞいてササ草原が広く分布している。森林帯は一般的は針広混交林である。 |
16 |
戸鳶別川上流部 |
5,558 |
〃 |
帯広市 |
― |
高度範囲660m〜1,959m(戸鳶別岳)。河道沿いはヤナギ類を主体とする河床林、高標高の沢沿いにはミヤマハンノキ林、中腹斜面には落葉広葉樹林、より上部にはチシマザサ群落、ダケカンバ林、 灌木群落がありハイマツ帯へと続いている。高山植物群落の発達は顕著ではないが、北部日高ではカール地形を中心として比較的よく発達している。 |
NO. |
原生流域名 (地域名) |
※流域面積 |
都道府県 |
市町村 |
保全地域 |
植生等の概況 |
17 |
新冠川上流部 |
ha 2,365 |
北海道 |
新冠郡新冠町 |
― |
高度範囲820m〜1,959m(戸鳶別岳)。森林限界1,300m付近。区域の北西界の稜線付近では氷河湖である七ツ沢カール・幌尻岳カール周辺を中心として雪田群落からヒース群落に至る高山植物群落が最もよく発達している。森林群落はほとんどダケカンバ林で占められ、針広混交林もみられるが、針葉樹林は少ない。 |
18 |
札内川上流(本流) |
3,990 |
〃 |
河西郡中札内村 |
― |
高度範囲620m〜1,979.4m(カムイエクウチカウシ山)。十勝川の大支流のひとつである札内川の本流の上流域である。森林群落では落葉広葉樹林とダケカンバ林がほとんどをしめる。稜線直下のカール群には高山草本群落が発達する。ハイマツ群落はナイフリッジ状稜線付近に細長く分布する。 |
19 |
新冠川ペッピリガイ沢 |
1,183 |
〃 |
新冠郡新冠町 |
― |
高度範囲840m〜1,901m(エサオマントッタベツ岳)。大部分がダケカンバ林で主稜線付近の植生状況は他とかわらないが、支稜をふくむため高山草本群落の発達は貧弱である。 |
20 |
シュンベツ川上流部 |
1,074 |
〃 |
静内郡静内町 |
― |
高度範囲620m〜1,852m。植生については新冠川上流部(NO.17)を参照。 |
21 |
シュンベツ川上流ナメワッカ沢 |
1,308 |
〃 |
静内郡静内町 |
― |
高度範囲600m〜1,672m。比較的低標高地が多いため、針広混交林とダケカンバ林がほとんどをしめる。高山帯は北西の境界となっている稜線付近でわずかにハイマツ群落を主体としてみられる程度である。 |
22 |
札内川上流七の沢 |
1,209 |
〃 |
河西郡中札内村 |
― |
高度範囲580m〜1,823m。札内川に係る3つの原生流域(NO.19,NO.23,NO.25)の中間に位置する区域である。植生状況についてはNO.17で述べた日高山系一般の傾向とかわらない。 |
23 |
コイボクシュシビチャリ川上流部 |
1,024 |
〃 |
静内郡静内町 |
― |
高度範囲680m〜1,979m(カムイエクウチカウシ山)。植生状況はNO.17参照。日高山系全体では、針葉樹林の分布が北から南へ向かって少くなる傾向にあり、当該流域では全く見ることができない。 |
24 |
札内川上流五の沢 |
1,308 |
〃 |
河西郡中札内村 |
― |
高度範囲480m〜1,721m(コイカクシュサッナイ岳)。植生状況コイボクシュシビチャリ川上流部(NO.23)を参照。 |
NO. |
原生流域名 (地域名) |
※流域面積 |
都道府県 |
市町村 |
保全地域 |
植生等の概況 |
25 |
コイボクシュシビチャリ川ナナシノ沢 |
ha 2,072 |
北海道 |
静内郡静内町 |
― |
高度範囲520m〜1,839m。植生状況はコイボクシュシビチャリ川上流部(NO.23)を参照。 |
26 |
歴舟川上流部 |
5,813 |
〃 |
広尾郡大樹町 |
― |
高度範囲は380m〜1,794m(ヤオロマップ岳)と、高低差1,400mにわたり、落葉広葉樹林が森林群落の多くをしめる。その他の植生状況については日高山脈全体の傾向とかわらず、針葉樹林は全くみられない。ヤオロマップ岳の北東のカール地形では、この区域では比較的大きい高山草本群落をみることができる。 |
27 |
コイカクシュシビチャリ川上流サッシビチャリ沢 |
2,633 |
〃 |
静内郡静内町 |
― |
高度範囲480m〜1,839m。1,839m峰はヤオロマップ岳から西方に派生する出尾根上の最高ピークである。植生状況は日高山系一般の傾向と大差はない。 |
28 |
上アブカサンベ沢川上流部 |
1,520 |
〃 |
静内郡静内町 |
― |
日高山系の主稜から西方へ遠く離れた支稜上の1,417m(無名峰)を最高度地点とし、そのさらに西側に位置する340m地点を最低高度とする区域である。ダケカンバ林、針広混交林、落葉広葉樹林が大部分を占め、針葉樹林もみることができるほか、クマイザサ、チシマザサの群落も他地域に比して比較的多くみられる。 |
29 |
ボンヤオロマップ川流域 |
1,476 |
〃 |
広尾郡大樹町 |
― |
高度範囲420m〜1,518m(無名峰)。主稜上のペテガリ岳から東へ派生する尾根上の無名峰が最高地点である。大部分を落葉広葉樹林と混交林がしめる。 |
30 |
中ノ川上流部 |
6,373 |
〃 |
広尾郡大樹町 |
― |
今回の調査で抽出された最大の原生流域で、高度範囲は280m〜1,625m(ソエマツ岳)に及んでいる。大部分が落葉広葉樹林で占められる。植生状況については、歴舟川(NO.26)と大差ない。 |
31 |
コイカクシュシビチャリ川上流部ペテガリ沢川 |
1,446 |
〃 |
静内郡静内町 |
― |
高度範囲500m〜1,736m(ペテガリ岳)。ほとんどが森林群でしめられ、内容的には他とかわらない。針葉樹林もみられる。 |
32 |
ヌビナイ川上流部 |
3,720 |
〃 |
広尾郡大樹町 |
― |
高度範囲380m〜1,631m(ピリカヌプリ)。中ノ川と同様の地形を含む地域である。植生状況は他の流域とかわらない。ピリカヌプリ周辺には、比較的大きな高山草本群落がみられる。 |
NO. |
原生流域名 (地域名) |
※流域面積 |
都道府県 |
市町村 |
保全地域 |
植生等の概況 |
33 |
元浦川上流ソエマツ沢 |
ha 2,154 |
北海道 |
浦河郡浦河町 |
― |
高度範囲440m〜1,631m(ピリカヌプリ)。植生状況は他の流域と変わらない。わずかに針葉樹林がみられる。 |
34 |
豊似川上流パンケアイアン沢 |
999 |
〃 |
広尾郡広尾町 |
― |
高度範囲320m〜1,259m(無名峰)。支尾根の末端部を最高地点とする関係で規模は小さい。ほとんどが落葉広葉樹林である。 |
35 |
日高幌別川上流部 |
1,651 |
〃 |
浦河郡浦河町 |
― |
高度範囲460m〜1,634m(ピリカヌプリ)。北に隣接するNO.34の区域には針葉樹林がわずかにみられたが、この区域では同じ日高側でありながら、全く分布していない。 |
36 |
豊似川上流部 |
3,407 |
〃 |
広尾郡広尾町 |
― |
高度範囲280m〜1,520m落葉広葉樹林が大部分を占める。針葉樹林もわずかにみられる。トヨニ岳付近の稜線周辺の緩斜面には比較的大きな高山草本群落がみられる。トヨニ岳付近のカールは開析をうけてかなりくずれているが、日高山系では最南端のカールである。野塚岳の東斜面には雪潤草原が形成されている。 |
37 |
余別川上流部 |
1,419 |
〃 |
積丹郡積丹町 |
― |
積丹半島の一角を占める区域で高度範囲は240m〜1,145m(ポンアンチシ山)の区域である。区域のほぼ全域が森林群落によってしめられ、落葉広葉樹林がその主体となっている。 |
38 |
澄川上流部 |
1,260 |
〃 |
桧山郡上ノ国町 |
― |
道南の松前半島、大千軒岳付近の3カ所の原生流域のひとつである。高度範囲280m〜920m(燈明岳)。ほとんどがブナ林(ヒメアオキーブナ群団)によって占められる。稜線部分を中心としてササ草原もみることができる。 |
39 |
右股川上流部 |
1,958 |
〃 |
桧山郡上ノ国町 |
― |
高度範囲220m〜1,372m(大千軒岳)。ほとんどがブナ林によって占められるが高度を増すにしたがってダケカンバが目立ち、しだいにダケカンバ林へと移行する。大千軒岳のピーク付近はササ草原のほか、風衛の影響により特殊な草本群落がみられる。 |
40 |
大鴨津川上流部 |
1,299 |
〃 |
松前郡福島町 |
― |
高度範囲280m〜1,372m。植生状況については右股川(NO.39)と大差ない。 |
NO. |
原生流域名 (地域名) |
※流域面積 |
都道府県 |
市町村 |
保全地域 |
植生等の概況 |
41 |
追良瀬川原流 |
ha 3,563 |
青森県 |
深浦町 |
津軽国定公園 |
地域の大部分は森林でおおわれており、そのほとんどはブナ林である。局部的にはキタゴヨウ林、ヒメヤシヤブシ−タニウツギ林が形成されているが、この立地は急峻な斜面に終るやせ尾根か急傾斜地の崩壊地である。渓畔では一部にサワグルミ林が形成されている。 |
42 |
赤石川源流 |
4,466 |
〃 |
鯵ケ沢町 |
― |
植生等の概況は、追良瀬川原流(NO.41)とほぼ同様。 |
43 |
暗門川源流 |
2,053 |
〃 |
西目屋村 |
― |
植生等の概況は、追良瀬川原流(NO.41)とほぼ同様。 |
44 |
葛根田川上流部(雫石川の支流) |
1,033 |
岩手県 |
雫石町 |
十和田八幡平国立公園 |
林令120〜130年以上のブナ林(ブナ−チシマザサ群落)に被われている。 |
45 |
葛根田川上流部(雫石川の支流) |
1,231 |
〃 |
雫石町 |
十和田八幡平国立公園 |
植生等の概況は、葛根田川上流部(NO.44)とほぼ同様。 |
46 |
和賀川上流部 |
3,299 |
〃 |
沢内村 |
― |
林令160年以上のブナ林(ブナ−チシマザサ群落)に被われている。 |
47 |
本内川上流部(和賀川の支流) |
1,551 |
〃 |
和賀町 |
― |
林令120〜160年以上のブナ林(ブナ−チシマザサ群落)に被われている。 |
48 |
小出川流域部(胆沢川の支流) |
2,639 |
〃 |
胆沢町 |
― |
林令175〜185年以上のブナ林(ブナ−チシマザサ群落)に被われている。 |
NO. |
原生流域名 (地域名) |
※流域面積 |
都道府県 |
市町村 |
保全地域 |
植生等の概況 |
49 |
粕毛川上流部 |
ha 2,429 |
秋田県 |
藤里町 |
― |
ブナの純林地帯であり、亜高木層として、ホウノキ、ヤマモミジ、トチ、ミズナラなどがわずかに混生し、林床はヒメアオキ、チシマザサなどに被われている。 |
50 |
粒様沢上流部 |
1,220 |
〃 |
森吉町 |
森吉山県立自然公園 |
ブナ林が大半で、急傾斜地には針葉樹が見られるが、詳しい調査はされていない。 |
51 |
ノロ川上流部 |
1,688 |
〃 |
森吉町 |
森吉山県立自然公園 |
ブナが優占した天然林で、沢沿いにはヤチダモ、サワグルミが高場森東側に国の天然記念物(桃洞・佐渡スギ原生林)がある。 |
52 |
玉川上流部 |
3,412 |
〃 |
田沢湖町 |
十和田八幡平国立公園 |
標高1,000m以下ではブナ林、それ以上ではオオシラビソ林となっている。 |
53 |
生保内川上流部 |
2,089 |
〃 |
田沢湖町 |
― |
ブナ林が大半であり、一部ミズナラ林がある。 |
54 |
堀内沢上流部 |
2,778 |
〃 |
角館町 |
田沢湖抱返り県立自然公園 |
ブナが優占しているが、他にヒノキアスナロ、スギ、ミズナラ、アオダモ、アカシデなどが混生している。尾根にはシナノキ、ダケカンバ、ナナカマド等がみられる。 |
55 |
成瀬川上流部 |
2,302 |
〃 |
東成瀬村 |
― |
ブナ林が優占しており、他にヒメヤシャブシ−タニウツギ群落やシナノキンバイ−ミヤマキンポウゲ群団が混生している。 |
56 |
皆瀬川上流部 |
2,382 |
〃 |
皆瀬村 |
栗駒国定公園 |
ブナ林が優占しており、他にクロベ−ヒメコマツ群落が混生している。 |
NO. |
原生流域名 (地域名) |
※流域面積 |
都道府県 |
市町村 |
保全地域 |
植生等の概況 |
57 |
春川上流部 |
ha 1,217 |
秋田県 |
皆瀬村 |
栗駒国定公園 |
ブナ林が優占しており、虎毛山周辺ではコケモモ−ハイマツ群集が混生している。 |
58 |
大沢川上流部 |
1,687 |
山形県 |
八幡町 真室川町 |
森吉山県立自然公園 |
植生はほとんどブナ−チシマザサ群落で山形県北部を代表するブナ林である。ヤセ尾根にはキタゴヨウが出現し沢岸の平坦地の安定した湿性地はサワグルミ−ジュウモンジシダ群落でカツラ−トチノキ−サワグルミ型林相である。 |
59 |
銅山川上流部 |
1,166 |
〃 |
大蔵村 |
磐梯朝日国立公園 |
本地域の標高1,100m〜1,200mまでは、一帯がブナ−チシマザサ群落で、800m〜900mまではコナラ、ミズナラが混生している。上部の大部分はミヤマナラ、ダケカンバが混生する嫌雪性植生の亜高山落葉低木群落であり、念仏ケ原の凹部は高層湿原植物群落で、小岳より南西に走る広い尾根筋は月山特有の雪田植生群落である。 |
60 |
西大鳥川上流部 |
2,408 |
〃 |
朝日村 |
― |
重蔵山北東斜面の急傾斜地一帯はヒメヤシャブシ−タニウツギ群落であるが、残りの全域はミズナラを混生したブナ林であり、下流部はブナの純林である。 |
61 |
東大鳥川上流部 |
1,399 |
〃 |
朝日村 |
磐梯朝日国立公園 |
甚六山、白岳以北の区域及び西俣沢上流部はミズナラ、カエデ類などの混生したブナ−チシマザサ群落であり、甚六山、化穴山、桝形山、白岳を結ぶ稜線沿いはミヤマナラ、ハクサンシャクナゲなどの亜高山落葉低木群落である。又、白岳東斜面の急崖地はヒメヤシャブシ−タニウツギ群落である。 |
62 |
根子川上流部 |
1,779 |
〃 |
大江町 |
磐梯朝日国立公園 |
本地域の下方は、ミズナラの混生したブナ−チシマザサ群落で標高1,000m〜1,400m位の東向き急斜面はミヤマナラ、サラサドウダンの混生するヒメヤシャブシ−タニウツギ群落となり、1,400m以上はダケカンバ、コミネカエデ等の混生した、亜高山落葉低木群落となり、主峰の稜線沿いはハイマツ、コケモモを主体とした雪田植物群落である。 |
63 |
荒川上流部 |
2,183 |
〃 |
小国町 |
磐梯朝日国立公園 |
本地域の中腹までのほとんどはミズナラ、コナラ等の混生するブナ帯であり、東南斜面中腹の急崖地はサラサドウダン、ハンノキ等の混生したヒメヤシャブシ−タニウツギ群落で、大朝日岳を含む峰沿いは、ヤハズハンノキ、ミネカエデ等の亜高山落葉低木群落であるが、西朝日岳〜袖朝日岳間の稜線沿いはハイマツ、コケモモ、一部ミネカエデ等の混生した雪田植物群落である。 |
64 |
野川上流部 |
1,249 |
〃 |
長井市 |
ヌルマタ沢・野川県立自然環境保全地域 |
本地域の大部分はコナラ、ミズナラの混生したブナ帯であるが、平岩山〜大玉山間を結ぶ稜線沿いはサラサドウタン・ハンノキ等の混生したヒメヤシャブシ−タニウツギ群落で平岩山〜御影森山間を結ぶ稜線沿いは、サラサドウダン、ミネカエデ等の混生した亜高山落葉低木群落である。 |
NO. |
原生流域名 (地域名) |
※流域面積 |
都道府県 |
市町村 |
保全地域 |
植生等の概況 |
65 |
朝日川上流部 |
ha 1,929 |
山形県 |
朝日町 |
ヌルマタ沢・野川県立自然環境保全地域 |
本流域は御影森山から南に走る稜線沿いの一部がヒメヤシャブシ−タニウツギ群落に属するほか大部分が、コナラ、ミズナラ、サラサドウダン、アズマシャクナゲ等が部分的に混生するが、ほかは、純林に近い優良なブナ帯である。 |
66 |
金目川上流部 |
2,768 |
〃 |
小国町 |
― |
稜線下の急斜面あるいは沢に面した急崖地帯のなだれ植生部はマルバマンサクを混生したヒメヤシャブシ−タニウツギ群落が散在するが、そのほかの区域は、ミヤマナラ、ミネカエデ、ハクサンシャクナゲ等の混生したブナ帯であり、ヨモギ平、在所のような緩斜面で土壌の比較的厚いところは、優良なブナの純林となっている。 |
67 |
横川上流部 |
1,689 |
〃 |
小国町 |
― |
沢に近い急崖地及び大丸森山の東斜面の急傾斜地は矮正のブナが混生するヒメヤシャブシ−タニウツギ群落であるが、その他の地区はユキツバキ、ハナヒリノキ、ホツツジ、ミネカエデ等の混生するブナ帯である。 |
68 |
玉川(梅花皮沢)上流部 |
1,240 |
〃 |
小国町 |
磐梯朝日国立公園 |
梅花皮沢と滝沢の出合付近まではヤブコウジ、ヒメアオキ、コナラ等の混生したブナ帯であり、それより標高1,400m位まではウラジロヨウラク、アズマシャクナゲ、ミヤマナラ等の混生したヒメヤシャブシ−タニウツギ群落となり、それより1,600m位まではダケカンバを主体とした亜高山落葉低木群落とササ原を主体としたチシマザサ自然群落となり、門内岳〜鳥帽子岳間を結ぶ稜線付近は部分的にハイマツ、ヤハズハンノキ等の雪田植生群落である。 |
69 |
玉川(桧山沢)上流部 |
1,854 |
〃 |
小国町 |
磐梯朝日国立公園 |
標高700m位までの区間はヤブコウジ、ヒメアオキ等の混生したブナ帯であり、標高1,400m位まではウラジロヨウラク、サラサドウダン、ミヤマナラ等の混生したヒメヤシャブシ−タニウツギ群落となり1,700m位までは、ダケカンバを主体とした亜高山落葉低木群落とササ原を主体としたチシマザサ自然群落となり、鳥帽子岳〜飯豊山間を結ぶ主脈沿いは部分的にハイマツ、ヤハズハンノキ、ハクサンシャクナゲ等の雪田植生群落である。 |
70 |
大桧沢上流部 |
1,092 |
福島県 |
取麻郡熱塩加納村 |
栂峰県自然環境保全地域 |
大桧沢上流部は、山稜部を除いてブナ、チシマザサ群落を中心とする見事な原生林である。栂峰山頂の南西部から飯森山、鉢伏山にかけての尾根一帯はシヤマナラを主とした低木林となっており、多雪山地ブナ山地帯における稜線部のいわゆる貧栄養土壌の植生型である。また、栂峰山頂及び小栂峰山頂付近にはオオシラビソが見られる。東北日本海に面した多雪山地においては、垂直的森林帯としての亜高山性針葉樹林帯を欠いているのが普通であるが、まれにオオシラビソ、コメツガなどの局地的な微小林分が例外的に存在する場合があり、本地域のオオシラビソ林もその例である。 |
71 |
滝沢川上流部 |
1,753 |
〃 |
大沼郡金山町 |
― |
福島県と新潟県との境の只見川の水源は、大部分伐採されて残っているところは僅かである。滝沢川源流だけは今なお自然を残している。標高1,000m〜1,300mの山に囲まれている山地帯で、ブナ林を主としている。稜線部はキタゴヨウマツにクロベを混えた岩角地貧養林があり、岩壁は裏日本特有のチョウジギク、オニシオガマ、ミヤマアブラススキ、セイワイチョウがあり、渓谷はV字谷で、滝のしぶきのかかるところや崖錐に裏日本系草本がみられる。 |
72 |
白戸川上流部 |
3,461 |
〃 |
南会津郡只見町 |
越後三山只見国定公園 |
白戸川源流は、丸山岳、会津朝日岳から発している。これ等山岳は亜高山帯に達しているところであるが、日本海側多雪地の特徴とするオオシラビソを欠いた植生で、針葉樹はキタゴヨウマツ、コメツガ、クロベがあるだけであり、そのほか風衛低木林がある。 |
NO. |
原生流域名 (地域名) |
※流域面積 |
都道府県 |
市町村 |
保全地域 |
植生等の概況 |
73 |
黒谷川上流部 |
ha 2,375
|
福島県 |
南会津郡只見町 |
越後三山只見国定公園 |
黒谷川上流部は、概してブナ林で、河畔林としてサワグルミ林があり、河岸斜面にトチ、カツラの大径木を見る。ブナ林はミズナラをまじえ、林床はチシマザサが生じていて、裏日本型の植物相である。会津朝日岳は特に急峻な露岩地があり、亜高山−高山植物が生じている。ヒメサユリ分布の南限である。また、冬季、寒風から保護されて地史上古くからの遺存植物を残している。原生植物相をもつ残り少ない貴重な地域である。 |
74 |
袖沢上流部 |
2,145 |
〃 |
南会津郡桧枝岐村 |
― |
袖沢の源流は、駒ケ岳、三ツ岩山など標高2,000mを越す山がある。冬季季節風激しく、積雪も多いので、東北地方亜高山帯を標徴するオオシラビソは駒ケ岳あたりに林分を見るだけである。残雪がおそくまで残っているところが多いので、樹木の生育を妨げ、草原になり、池塘が生じ、いわゆる湿性お花畑をなしており、夏季融雪時に種々の高山植物が一斉に開花をみる。袖沢はV字谷をなし、崩雪多発地はミヤマナラの疎林であるが、川の合流部の堆積土あるところには河辺林が発達するなど、多様の植生がある奥只見の代表的森林地域である。 |
75 |
那珂川上流部矢沢 |
1,090 |
栃木県 |
黒磯市 |
― |
太いもので胸径50cm内外のミズナラ・ブナ林を主とし、上部の北向き斜面にはアスナロの極相林がある。大川林道に近い高地の北側には一部にヤマグルマの群生地もある。沢にはフサザクラとサワグルミが多い。 |
76 |
鬼怒川上流部馬坂沢 |
1,671 |
〃 |
栗山村 |
― |
標高1,700mから上はコメツガ林であるが、それよりも低い部分は最大径1m内外のミズナラ林で、ブナも径90cmの大木もある。沢筋にはサワグルミが発達している。 |
77 |
鬼怒川上流部湯沢 |
1,187 |
〃 |
栗山村 |
日光国立公園 |
噴泉塔(標高約1,500m)あたりまではミズナラの最大径1mのものがあり、ブナも多く、カエデの種類も豊富なので紅葉の最もすぐれた地域である。これよりも高所には、アスナロ・クロベ、さらに1,900mあたりから上にはコメツガ・オオシラビソ林がある。 |
78 |
鬼怒川上流部 |
1,098 |
〃 |
栗山村 |
日光国立公園 |
標高1,600mあたりまではブナ・ミズナラ林で、この上にクロベ・アスナロ林やコメツガの極相林がある。1,900m以上にはオオシラビソの純林で、鬼怒沼には拠水林として矮少なクロベ林がある。鬼怒沼は日本で最高点にある高層湿原として非常に貴重である。 |
79 |
利根川上流部 |
3,654 |
群馬県 |
水上町 |
利根川源流部自然環境保全地域平ケ岳・白沢山西面県自然環境保全地域 |
群馬県の最北端に位置し、豪雪、雪崩、残雪などの影響を受け、植生は完全な裏日本多雪地帯の性格を持ち、ミヤマナラ林が分布している。ミヤマナラ林より上方はヌマガヤ草原、高山風衛草原、雪田群落が形成されている。 |
80 |
小穂口沢上流部 |
1,666 |
〃 |
水上町 |
― |
本地域の低部はブナ林(オオバクロモジ−ブナ群集)がほとんどを占め、上部は雪崩地植生(ミヤマナラ群集、マルバマンサク−ブナ群集)となり、これは裏日本多雪地帯の特徴的なもので、最上部は岩壁及び岩石崩壊地植生となっている。 |
NO. |
原生流域名 (地域名) |
※流域面積 |
都道府県 |
市町村 |
保全地域 |
植生等の概況 |
81 |
奈良沢上流部 |
ha 3,026 |
群馬県 |
水上町 |
― |
この地域は三国山脈の一部をなし、冬季に日本海からの北西の風を受ける多雪地帯である。標高1,600mまではブナ林でありオオバクロモジ−ブナ群集となっている。三ツ石山の東南斜面はミヤマナラ林が広く分布している。 |
82 |
コツナギ沢上流部 |
1,399 |
〃 |
水上町 |
― |
桧倉山から小沢岳にかけての群馬県側の山地の低山帯域にはブナ林が広く分布する。それは裏日本型気候域の多雪地帯のオオバクロモジ−ブナ群集で低木林にオオバクロモジ、エゾユスリハ、低木層にイワウチワ、オオイワカガミなどが多い特徴がある。 |
83 |
山熊田川上流部 |
1,296 |
新潟県 |
山北町 |
― |
県北に位置し、海抜250mから1,000mの範囲にある。植生は、ブナクラス域の自然植生で占められ、ゆるやかな傾斜域はブナの原生林で覆われており、急斜地は自然低木林で覆われている。ブナ原生林は、良好な生育をしており亜高木層にタムシバ、ムシカリ、オオバクロモジなどの日本海側要素の種が多く、自然低木林はミヤマナラを主体としている。しかし、第三次国有林施業計画によれば、なめこ生産の原本供給が本区域から予定されている。 |
84 |
泥又川上流部 |
2,877 |
〃 |
朝日村 |
磐梯朝日国立公園(第3種特別地域) |
県北に位置し、海抜200mから1,300mの範囲にある。植生は、県境稜線部は高山帯植生の雪田草原及び亜高山帯植生のミヤマハンノキ−ダケカンバ群集で占められ、残りの地域は、ブナクラス域の自然植生である。ブナクラス域の植生は、チシマザサ−ブナ群団、自然低木群落及び自然草原である。本地域は、融雪時に山菜とりが入山するほかは、入山者がなく、きわめて原始性の強い地域である。 |
85 |
末沢川上流部 |
1,559 |
〃 |
朝日村 |
磐梯朝日国立公園(第1種特別地域) |
県北に位置し、海抜400mから1,550mの範囲にある。植生は、ブナクラス域の自然植生で占められているが、一部急傾斜地には亜高山帯自然植生のササ自然草原がみられる。ブナクラス域の植生は、チシマザサ−ブナ群団及び自然低木林である。チシマザサ−ブナ群団のブナは、生育が良好で、植被率も高く、高木層はほとんどブナで占め、よく発達したブナ林である。しかし、本地域のすぐ近くまでブナ林の伐採が進んできている。 |
86 |
岩井沢上流部 |
1,088 |
〃 |
朝日村 |
― |
県北に位置し、海抜100mから1,000mの範囲にある。低海抜地域にもかかわらず、人手が加わらなかったのは、三面ダムの構築により孤立化したためと思われる。植生は、ブナクラス域の自然植生で、チシマザサ−ブナ群団及び自然低木群落で占められている。しかし、本地域のすぐ外側にはスギの造林地がみられる。 |
87 |
早出川上流部 |
4,313 |
〃 |
村松町、上川町 |
奥早出栗守門県立自然公園(普通地域扱) |
県の中央に位置し、海抜350mから1,250mの範囲にある。植生は、ブナクラス域の自然植生で、チシマザサ−ブナ軍団及び自然低木林で占められる。本地域は、地形が急峻で、岩肌が露出している所も多いため、高木層は未発達である。亜高木、低木には、ヤマモミジ、マルバマンサク、ミズナラ、オオバクロモジ、リョウブなど日本海側要素の種が多く出現する。なお本地域は、全国的に有数なカモシカの生息地である。 |
88 |
笠堀川上流部 |
2,122 |
〃 |
下田村 |
奥早出栗守門県立自然公園(普通地域扱) |
県の中央に位置し、海抜250mから1,250mの範囲にある。植生は、ブナクラス域の自然植生で、チシマザサ−ブナ軍団及び自然低木林で占められる。本地域は、地形が急峻で、岩肌が露出している所も多いため、高木層は未発達である。亜高木、低木には、ヤマモミジ、マルバマンサク、ミズナラ、オオバクロモジ、リョウブなど日本海側要素の種が多く出現する。なお本地域は、全国的に有数なカモシカの生息地である。 |
NO. |
原生流域名 (地域名) |
※流域面積 |
都道府県 |
市町村 |
保全地域 |
植生等の概況 |
89 |
大川上流部 |
ha 2,494 |
新潟県 |
下田村 |
奥早出栗守門県立自然公園(普通地域扱) |
県の中央に位置し、海抜200mから1,250mの範囲にある。植生は、ブナクラス域の自然植生で、チシマザサ−ブナ軍団及び自然低木林で占められる。本地域は、地形が急峻で、岩肌が露出している所も多いため、高木層は未発達である。亜高木、低木には、ヤマモミジ、マルバマンサク、ミズナラ、オオバクロモジ、リョウブなど日本海側要素の種が多く出現する。なお本地域は、全国的に有数なカモシカの生息地である。 |
90 |
砥沢川上流部 |
1,445 |
〃 |
下田村 |
奥早出栗守門県立自然公園(普通地域扱) |
県の中央に位置し、海抜200mから1,100mの範囲にある。植生は、ブナクラス域の自然植生で、チシマザサ−ブナ軍団及び自然低木林で占められる。本地域は、地形が急峻で、岩肌が露出している所も多いため、高木層は未発達である。亜高木、低木には、ヤマモミジ、マルバマンサク、ミズナラ、オオバクロモジ、リョウブなど日本海側要素の種が多く出現する。なお本地域は、全国的に有数なカモシカの生息地である。 |
91 |
大白川上流部 |
3,012 |
〃 |
湯之谷村 |
越後三山只見国定公園(特別保護地区及び第1種特別地域) |
県南に位置し、海抜900mから2,150mの範囲にある。植生は、亜高山帯の自然植生及びブナクラス域の自然植生で占められており、県境稜線部は、高層湿原が点在している。亜高山帯自然植生は、オオシラビソ群集、コメツガ群落、ササ自然草原で、ブナクラス域自然植生は、チシマザサ−ブナ群団のヒメアオキ−ブナ、マルバマンサク−ブナで占められ、高木層にケトチノキ、ミズナラも混生する。また、傾斜地には、ミヤマナラを主体とする自然低木群落もある。また、本地域は、日光国立公園の尾瀬ケ原と隣接している。 |
92 |
黒薙川上流部 |
2,578 |
富山県 |
下新川郡朝日町宇奈月町 |
中部山岳国立公園朝日県立自然公園 |
標高1,400m〜1,500mより下の地域では、ブナを中心とした原生林が発達している。それより標高の高い地域では、ミヤマハンノキ−ダケカンバ群団の植生からなり、新潟県との県境付近の稜線部は国の天然記念物に指定されている白馬連山植物帯である。 |
93 |
倉谷川上流部 |
1,797 |
石川県 |
金沢市 |
一部は犀川源流自然環境保全地域 |
ブナ林を主体とし、一部ブナ−ミズナラ林、山地高茎草原を含む。クロベ−ヒメコマツ林、ダケカンバ林もみられる。動物相も豊で、極めて少数の登山利用がみられるにすぎない。 |
94 |
犀川上流部 |
1,034 |
〃 |
金沢市 |
一部は犀川源流自然環境保全地域 |
倉谷川上流部とおおむね同様であり、ブナ林を主体とし一部、ブナ−ミズナラ林は、山地高茎草原、クロベ−ヒメコマツ林、ダケカンバ林を含み、奈良岳山頂付近等にはアオモリトドマツもみられる。動物相も豊かで、限られた人々の登山利用がみられるにすぎない。 |
95 |
雄谷上流部 |
1,122 |
〃 |
石川郡吉野谷村 |
全域白山国立公園(特別保護地区と第3種特別地域) |
大笠山(1,822m)、笈ケ岳(1,841m)、冬瓜山(1,628m)に源を発する雄谷川の源流部であり、登山道もなく人跡のまれな地域である。原始性の高いブナ林を主体にダケカンバ−アオモリトドマツ林、チシザサ低木林、山地高茎草原等から成り動物相も豊かである。 |
96 |
尾添川上流部 |
1,254 |
〃 |
石川郡吉野谷村 |
全域白山国立公園(特別保護地区と第3種特別地域) |
ブナ帯から亜高山帯にあたり、ブナ林、ダケカンバ林を主体とし、アオモリトドマツ林、山地高茎草原等を混じえる。動物相も豊かで、原始性の高い地域である。 |
NO. |
原生流域名 (地域名) |
※流域面積 |
都道府県 |
市町村 |
保全地域 |
植生等の概況 |
97 |
中ノ川上流部 |
ha 1,593 |
石川県 |
石川郡尾口村 |
全域白山国立公園(特別保護地区) |
亜高山帯から高山帯の地域でダケカンバ−アオモリトドマツ林、ダケカンバ林、ミヤマハンノキ低木林、高山高茎草原、ハイマツ林等から成り、また地獄谷と呼ばれる崩壊の著しい自然裸地を含む。 |
98 |
目附谷上流部 |
2,221 |
〃 |
石川郡尾口村、吉野谷村 |
大部分白山国立公園(特別保護地区、第1種、第3種特別地域) |
ブナ帯から亜高山帯にわたり、ブナ林、ダケカンバ林、アオモリトドマツ林、高山高茎草原、ハイマツ林等から成る。原始性の高い地域である。 |
99 |
渋沢 |
1,471 |
長野県 |
下水内郡栄村
|
上信越高原国立公園
|
シラビソ−オオシラビソ上群集 コメツガ群集 ミヤマハンノキ−ダケカンバ群集 マルバマンサク−ブナ群集 が分布している。 |
100 |
伊奈川上流 |
1,315 |
〃 |
木曽郡大桑村 |
中央アルプス県立公園 |
コケモモ−ハイマツ群団 コメツガ群落 シラビソ−オオシラビソ上群集 ミヤマハンノキ−ダケカンバ群集 ヒノキ−サワラ群集 等が分布している。 |
101 |
三峰川上流 |
2,947 |
〃 |
上伊那郡長谷村 |
南アルプス国立公園 |
ミネズオウ−クロマメノキ群集 コケモモ−ハイマツ群団 シラビソ−オオシラビソ上群集 コメツガ群落 ミヤマハンノキ−ダケカンバ群集 等が分布する。 |
102 |
荒谷上流部 |
1,103 |
岐阜県 |
大野郡白川村 |
白山国立公園 |
本地域の大半は200年生のブナ・ミズナラ等広葉樹の原始林で占められており、この広葉樹林帯の上部には、アオモリトドマツ・コメツガ等の針葉樹林が占める亜高山帯となっている。 |
103 |
板取川上流部 |
1,207 |
〃 |
武儀郡板取村 |
― |
本地域は尾根部にヒノキがその下部にブナが主となって生育しており、その林令は100年をこえるものである。又本地域の南側にはコウヤマキが見受けられる。 |
104 |
揖斐川上流部 |
1,181 |
〃 |
揖斐郡徳山村 |
揖斐県立自然公園 |
本地域は100年をこえるブナ・ナラ等の広葉樹林となっている。 |
NO. |
原生流域名 (地域名) |
※流域面積 |
都道府県 |
市町村 |
保全地域 |
植生等の概況 |
105 |
寸又川上流部 |
ha 1,232 |
静岡県 |
榛原郡本川根町 |
大井川源流部原生自然環境保全地域 |
光岳(2,591m)を頂点とする標高1,900m以上は、シラビソを主とする林分であり、1,700m以下は、モミやツガ等の常緑針葉樹とブナ・ミズナラ・イタヤカエデ等落葉広葉樹の混交林となっている。両者の中間域にもモミ及びコメツガの多い林分が見られる。上部のシラビソ林は成木が伊勢湾台風で被害を受け、その後天然更新しつつある林分と見ることができる。下部の混交林は大径木からなるうっそうした林分からなる。なお、光岳より東南に伸びる尾根上にはハイマツの群集を見るが、これはこの群落の事実上の南限である。この地域の植生の詳細は未調査となっている。 |
106 |
逆河内上流部 |
1,673 |
〃 |
榛原郡本川根町 |
― |
名の示すとおり複雑な流路を描いて流れる逆河内の流域には、広大なヅカやモミを交える高樹令・大径木の落葉樹林が広がっている。この流域の森林をなお詳細に見れば、谷底の一部にブナ、シナノキ、ケヤキ等落葉広葉樹を主とする林分があり、その上方の大面積をモミ、ツガ、ハリモミ等の針葉樹を混交する針濶混交林の林分が占めている。そして、標高が増すにつれ、針葉樹の混交割合が増加し、標高1,700m以上ではウラジロモミ、コメツが主木となり、1,900m以上ではトウヒが主木となる。場所によって、このトウヒ林は標高30mをこえる高密度の純林を形成している。トウヒ純林と針濶混交林の原生林はこの流域の森林を代表するものといえよう。(55年度林道開設予定) |
107 |
小揚子川上流部 |
|
鹿児島県 |
熊毛郡屋久町 |
屋久島原原生自然環境保全地域霧島屋久国立公園 |
標高約400mから標高1,935mの宮之浦岳にまで及び植生としては、イスノキ、ウラジロガシ、スダジイ、タブノキ等を高木層とする暖帯常緑広葉樹林が、標高800m〜900mのところまで分布し、これから1,400m〜1,500mの間には、スギ、モミツガ等の針葉樹に、ヤマグルマ、ヒメシヤラ、ミヤコダラ、アカガシ、ウラジロガシ等を交えた暖帯性雲帯林を形成している。この森林は、湿度が高いために養生植物の発育も非常に旺盛であって、本来地上樹木である種類も着生生活を営むものが多く見られ(特にヤマグルマ)、その種類も豊富である。更に、この上位標高1,400m〜1,500mから1,600m〜1,700mの間は、温帯性雲帯林でスギ、ツガによって代表されているが、樹形は萎縮矮形をなしている。樹幹は蘇苔、地衣類で密に被われているが、本来の養生植物は少ない。標高1,700m以上の高地帯はヤクザサ、ヤクシマシャクナゲの優占する亜高山帯植生であり、所々に、ビヤクシン、アセビ、ナナカマド等が小灌木状を呈し混入している。また、このヤクザサ帯の内部には大きな花崗岩の露出も多く、この岩隙にはサイゴクミツバツツジ、ヤクシマヒカゲツツジ、ナナカマド、ヤクシマアリドウシ、ヤクシマチヤボゼキショウ等が見られる。(峰越林道開設計画あり) |
108 |
永田川上流部 |
|
〃 |
熊毛郡屋久町 |
霧島屋久国立公園 |
標高約200mから標高1,886mの永田岳にまで及んでいる。植生については小揚子川(NO.107)参照。 |
109 |
浦内川上流部 |
4,129 |
沖縄県 |
竹富町 |
国立公園特別地域 |
暖温帯の代表的な常緑樹林としてのスダシイ林、オキナワウラジロガシ林、アカメイヌビワ林などが発達するが、標徴種のヤブキバキの出現頻度は少なく、逆に、汎熱帯性のツルアダンが高頻度に出現し、熱帯への移行的植生となっている。 |