4−2−2 特定植物群落の立地による区分について

 1. 立地区分の決定

   以下に示す作業手順により立地区分を決定した。

  (1) 全調査表の内容欄および植生調査表の立地記入状況をすべて摘出した。

  (2) 摘出された立地記載を分類・集計し、同義語を統一した。

  (3) すべての調査表の立地分類が、それぞれの一つの立地区分で表現できるように考慮
    して区分内容を決定した。

  (4) この結果、次の22の立地区分が決定された。 

0. 一般(気候立地) 12. 池
1. 急 崖 地、岩壁 13. 雪田・雪の吹溜り
2. 岩 角 地 14. 風 衝 地
3. 岩 礫 地 15. 海岸付近
4. 崩 壊 地 16. 硫気孔、噴気孔原
5. 砂浜、礫浜 17. 火山噴出物堆積地(熔岩原、新期火
  山灰堆積地など)
6. 河   口 18. 石灰岩地
7. 河   辺 19. 蛇紋岩地
8. 溪畔斜面 20. 隆起サンゴ礁
9. 流水、水中 21. 風穴付近
10. 湿地、湧水地  
11. 塩 湿 地  

  2. 立地区分の内容

     以上の立地区分のうち、分りにくい区分について具体的内容を示すと次のとおりで
   ある。 

   (1) 0;一般(気候立地)

     調査表において、気候的極相群落やその代償群落の生育する山腹や平野部などの
    一般立地がこの項に該当する。さらに、一つの調査表に特異立地と一般立地に生育
    する植生が包含されている場合もこの項に含めた (一つの山塊や、地域を対象とし
    た調査表がこれにあたる。)

   (2) 1;急崖地、岩壁

     山腹の急傾斜地や、断崖地がこの項に該当する。しかし、空中湿度が高く、日照
    量の乏しい溪谷部の斜面はコ−ド番号8;溪畔斜面に、潮風の影響を強く受ける海崖
    はコ−ド番号15;海岸付近に含めた。

   (3) 7;河辺

     増水、氾濫時に冠水などの影響を受ける谷底、河川敷がこの項に該当する。こう
    した影響を受けない河辺や斜面は、コ−ド番号8;溪畔斜面に含めた。

   (4) 15;海岸付近 

     海岸付近の潮風の影響を常時受けている立地がこれに該当する。また、海岸の汀
    線付近から内陸にかけて調査表の対象域がひろがる場合もこの項に含めた。ただし
    海岸砂丘地帯の場合や、礫浜は、コ−ド番号5;砂浜、礫浜に含まれる。

   (5) 17;火山噴出物推積地

     火山活動によって噴出した推積物のひろがる立地で、土壌化の進行していない岩
    砂礫地、熔岩原などがこの項に該当する。したがって、関東ロームなどの土壌化の
    進行した火山灰推積地は含まれない。

 (注)(1) 立地コードは、対象とされた植生の立地要因の中で、最も主要な要因を記入し
    た。たとえば、石灰岩の急崖地、岩礫地は、コード番号1や3を用いず、18の「石
    灰岩地」を記入した。

   (2) 内容欄や植生調査表に立地の記載がない場合は、対象とされた植物群落の立地
    に関する知見をもとに立地コードを決定した

 

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