3−8 表土改変状況調査要綱
1. 調査目的及び調査概要
自然環境の重要な構成要素であり、生態系の基盤である表土は、動植物の生息・生育の場、水の貯留、有機物の蓄積・分解等多くの機能を有し、その生成には非常に長期間を要するにもかかわらず、その存在は地表上にごく薄く存するにすぎないものである。表土は、このように貴重な資源であるが、その重要性はあまり認識されておらず、安易な表土の改変が行われている現状である。
このため、本調査では、関東地方における表土の改変状況を昭和20年頃、35年頃、50年頃の戦後の3時期において調査することにより、時系列的に表土の改変の実態を量(面積)的に明らかにする。
2. 調査実施者
この業務は、国が東洋航空事業鰍ノ委託して実施するものとする。
3. 調査対象地域
調査対象地域は、関東地方(1都6県)全域とする。(ただし、島しょ部は除く。)
4. 調査内容及び調査方法
(1) 昭和20年頃、昭和35年頃、昭和50年頃の戦後の3時期それぞれにおいて空中写真の判読等各種既存資料の活用により表土状況メッシュ図を作成する。
メッシュ図の作成は、次のとおり行う。
ア 表土は、表1「表土区分」のとおり区分する。
イ メッシュは、標準地域メッシュの基準地域メッシュ(約1q2)を採用する。
ウ メッシュ内の表土区分を判別するに当たっては、小円選択法を採用する。つまり、基準地域メッシュの中央地点を中心とする直径250mの円内に最も広く分布する表土区分をもつで当該メッシュを代表させる。
エ メッシュ判読によって得られたデータはコーディング後磁気テープに収納する。
(2) 3時期のそれぞれで、表土区分別のメッシュ数を県別及び関東全域で集計し、その結果を表2に示す様式により作表する。
(3) 次の年代の間で表土状況メッシュ図の比較を行い、各メッシュごとに表3「表土改変区分」に従い表土の改変状況を分類し、表土改変メッシュ図を作成する。
ア 昭和20年頃と昭和35年頃
イ 昭和35年頃と昭和50年頃
(4) 上記ア、イのそれぞれの場合について表土改変区分別のメッシュ数を県別及び関東全域で集計し、その結果を表4及び表5〜6に示す様式により作成する。
(5) 昭和20年頃、35年頃、50年頃の3時点間にわたって表土の改変があったメッシュ数を県別及び関東全域で集計し、その結果を表7に示す様式により作表する。
5. 調査の実施期間
この調査は昭和55年3月までの間に行うものとする。
6. 報告
受託者は、調査の結果を次によりとりまとめ、昭和55年3月31日までに環境庁自然保護局長あて提出するものとする。
(1) 報告書 200部
(2) 表土改変状況調査関連磁気テープ 1式
(3) 表生状況メッシュ図 (S20.S35.S50) 3枚 色つき
(4) 表土改変メッシュ図 (S20〜35.S35〜50) 2枚 色つき
(5) 空中写真一式
表1 表 土 区 分 (判読凡例)
表土区分 | 細 区 分 | 摘 要 | ||||||
自然表土地 |
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被 覆 地 |
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盛 土 地 | 地形分類図の低地における造成地、堤防等が考えられる | |||||||
表土壊廃地 | 地形分類図の丘陵地・台地における造成地、崩壊地(自然崩壊地を含む)、土取場等 | |||||||
表土反転地 |
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畑 地 | 畑 地 | 休耕畑を含む | ||||||
水 田 | 水 田 | 休耕田を含む | ||||||
水 域 |
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水面及び河辺植生物 | ||||||
そ の 他 |
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未利用干拓地、未利用埋立地 |
表2
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自 然 表 土 地 | 被 覆 地 | ||||||||||||||||
森 林 | 植 林 地 | ---- | (小 計) | 市 街 地 | ||||||||||||||
S20 | S35 | S50 | S20 | S35 | S50 | S20 | S35 | S50 | S20 | S35 | S50 | |||||||
茨城県 | メッシュ | メッシュ | メッシュ | |||||||||||||||
栃木県 | ||||||||||||||||||
関東地方 |
表3 表土改変区分(改変凡例)
表土改変区分 | 区 分 基 準 |
非 改 変 | 表土の改変を受けていない地域 |
表 土 の 被 覆 | 建築物、構造物、道路の舗装等の非透水性被覆物による表土の被覆等植物の生育が阻害されるような被覆物で覆われるようになった地域。 |
盛 土 | 沖積地の造成地・堤防等のように、在来の表土の上に新たな表土を補充し、在来の表土の上に不連続な表土を持つようになった人工地形地域。耕地の客土は除く。 |
表 土 の 壊 廃 | 台地や丘陵地の造成地のように在来の表土が切土・盛土が混在するように撹乱された地域。土取場・崩壊地のように在来の表土を欠失した地域。 |
表 土 の 反 転 | 在来の表土を撹伴して下層と表層との反転が見られるが、表土の地域的移動はしていない地域。ゴルフ場、牧草地、緑の多い住宅地、公園・墓地等。水田化、畑地化した地域を除く。 |
畑 地 化 | 表土が非湛水状態で定期的に耕転されて利用されるようになった地域。 |
水 田 化 | 表土が湛水状態で定期的に耕転されて利用されるようになった地域。 |
表 土 の 水 没 | ダムの建設、港湾の掘込等により、在来の表土が水没した地域。 |
その他の改変 1. | 埋立、干拓された地域であって上記の改変を受けなかった地域。 |
その他の改変 2. | 上記のいずれにも属さない改変があった地域。 |
表4
県
S20〜S35 | S35〜S50 | ||||||||||||||||||||||||
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小 計 | メッシュ | メッシュ | |||||||||||||||||||||||
非 改 変 | メッシュ | メッシュ | |||||||||||||||||||||||
総 計 | メッシュ | メッシュ |
陸 化 | メッシュ | メッシュ |