3−7 動物分布調査(昆虫類)要綱
1. 調査の目的
わが国に生息する昆虫類の生息状況を把握するため、絶滅のおそれのある種、学術上重要な種等の生息地、分布について調査する。
2. 調査実施者
国が神戸大学に委託して実施する。
3. 調査対象地域
全国47都道府県全域について調査する。
4. 調査実施期間
契約締結の日から昭和54年3月31日までとする。
5. 調査内容
(1) 調査の対象とする昆虫類は、表1「指標昆虫類種名表」に掲げたもの(以下「指標昆虫類」という。)及び表2「調査対象昆虫類選定基準」により、都道府県ごとに選定(50〜100種程度)された昆虫類(以下「特定昆虫類」という。)とする。
(2) 調査事項は次のとおりとする。
ア 生息地の位置
イ 生息環境、生息状況の概況
ウ 保護の現状
6. 調査方法
調査は、主として既存資料その他知見の収集等により、都道府県単位で実施する。
7. 調査結果のとりまとめ
受託者は調査結果を都道府県を単位として、下記図票にとりまとめる。
(1) 昆虫類分布図
昆虫類の分布は、別紙1「昆虫類分布図」(以下「分布図」という。)にならい国土地理院発行の20万分の1地勢図に表示する。
(2) 昆虫類調査票
調査した事項は、別紙2「昆虫類調査票」(以下「調査票」という。)にとりまとめる。
8. 調査結果の報告
受託者は調査結果をとりまとめ、報告書1部、報告書付属資料1部、指標及び特定昆虫類分布図帳各1部を、それぞれ、別紙3「報告書作成要領」(略)、別紙4「昆虫類分布図帳作成要領」(略)により作成し、昭和54年3月31日までに環境庁自然保護局長あて提出する。
表1 指標昆虫類名表
種 名 | 種コード | 種 名 | 種コード | ||||||||||||||||||||
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表2 調査対象昆虫類選定基準
A. 日本国内では、そこにしか産しないと思われる種
B. 分布地域が国内若干地域に限定されている種
C. 普通種であっても、北限・南限等分布限界になると患われる産地に分布する種
D. 当該地域において絶滅の危機にひんしている種 E. 近年当該地域において絶滅したと考えられる種 F. 業者あるいはマニァなどの乱獲により、当該地域での個体数の著しい減少が心配される種 G. 環境指標として適当であると考えられる種 |
(別紙1)
昆虫類分布図
分 布 図 例
(布図作成上の注意)
1. 分布図は都道府県ごとに作成し、必ず国土地理院発行の20万分の1地勢図を使用する。複写図、編さん図等は使用しないこと。
2. 分布図は、指標昆虫類と特定昆虫類に分けて、それぞれ1部ずつ作成する。
3. 20万分の1地勢図には、都道府県単位で東側から、北から南へ「地図番号」を打つ。(以下「地図番号図」という。)(3―1植生調査要綱別紙2の3参照)
4. 調査の結果、昆虫類の分布が表示されていない地勢図が出てきても、当該都道府県にかかわりのある地勢図はすべて提出することとし、5の作業は、すべての地勢図について行う。
5. 分布図例のように、地勢図の余白の所定の位置に「タイトル」(「昆虫類分布図(指標)」又は「昆虫類分布図(特定)」)、「地図番号」、「調査年度」(西暦)、「都道府県名」を黒インクで記入する。
6. 対象種の生息地を黒線でくくり、その位置を示すとともに、種コードを記入する。種コードとは、調査対象とされた昆虫類ごとに付された番号で、次のようにして定める。
(1) 指標昆虫類………表1「指標昆虫類種名表」に示すとおり、種ごとに付された1から10までの番号とする。
(2) 特定昆虫類………調査対象として選定された昆虫類に、都道府県ごとに、11からの通し番号を付す。
なお、くくり線は、幅0.5o程度の線で引くものとし、生息地が小さくて黒線でくくれない場合は、小黒丸( ● )で表示する。
また、文献や聞き込み等で生息するという情報があった場合でも現時点では、生息しないと調査者が考える場合には、種コードの後に「?」記号を付す。
7. 同一地域に2種以上の昆虫類が重複して生息する場合は、くくり線等は同一のもので表示し、種コードを併記する。
8. 調査票の「取扱」欄が(秘)の場合であっても、一応当該昆虫類の生息地を分布図に表示する。
9. 地勢図右辺には分布図例のように、全ての指標昆虫類あるいは当該県で調査対象となった全ての特定昆虫類のリスト(種コード−種名の順に記入する)を貼付し、当該分布図に生息地が記入されている種については種コードを○で囲む。
(別紙2)
昆 虫 類 調 査 票
(調査票記入上の注意)
1. 調査票の様式は前頁に掲げるものとし、用紙は110kg程度、B5版左側2つ穴あきとする。
2. 調査票は、都道府県別に種ごとに作成する。
3. 調査対象の種に応じて、タイトルの(指標・特定)該当しない方を、2本線をもって抹消する。
4. 「調査年度」(西暦)、「都道府県」にはそれぞれ該当のものを記入する。
5. 「取扱」には、公表することにより乱獲のおそれがある等、その昆虫類の生息地の公表が不都合な場合赤字で(秘)と記入する。
6. 「種コード」は調査対象昆虫類に付された番号で、該当のものを記入する。
7. 「種名(和名)」、「名目」には、それぞれ該当するものを記入する。
8. 「選定基準」には、その昆虫類が調査の対象として選定された理由を、表2「調査対象昆虫類選定基準」より選んで、その記号を記入する。2つ以上の理由がある場合も、そのすべてを記入する。
なお、指標昆虫類の場合には、「指」と記入する。
9. 調査票右上の「生息数」には、当該種の生息状況を県単位でおおまかに判断し、下記の記号により記入する。
記 号 | 内 容 | ||||||||||
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10. 「生息環境・生息状況」には、生息環境の現状、種の特徴、生息数の増減傾向、絶滅の時期、生存に関する将来の見通し等について、知見のある場合記入する。
11. 「保護の現状」には、天然記念物など当該昆虫類あるいは当該昆虫類生息地に対して現在とられている保護対策について具体的に記入するとともに、業者などによる大量捕獲が知られている場合には、その旨記入する。
また、保護・管理に関して所見があれば記入してさしつかえない。
12. 「調査者」には、当該調査票作成者の所属・氏名を記入する。
13. 当該種の生息に関するデータについては、生息地ごとに以下のとおりにする。
(1) 「地図番号」、「20万分の1地勢図」には、当該生息地が存する国土地理院発行20万分の1地勢図の地図番号及び図幅名を記入する。
(2) 「地域名」には、当該生息地の具体的名称を記入する。
例 ○○山○○沢最上流部
○○湿原北西部
(3) 「所在市町村」には、当該生息地が属する、市郡、町村名を記入する。複数の町村にわたって生息する場合には、町村名を併記する。
(4) 「生息環境の現状」には、当該生息地における昆虫類の生息環境の現状について、知見のある場合、次の中から選び該当する欄に○を付す。
良好……生息環境が良好に保たれている。
不良……生息環境が改変されつつある。
破壊……生息環境が破壊されてしまった。
(5) 「生息数」には、当該生息地における、当該種の生息状況について、知見のある場合、9に示した記号により記入する。
(6) 「資料の種類」には、当該種が、当該生息地において生息するという情報がどのような資料によって得られたかを次の中から選び該当する欄に○を付す。
現認………調査者が当該種の現物を確認しているもの
文献………文献に生息に関する記載があるもの
聞込………そこに生息するという話を聞いたもの
(7) 「備考」には、文献や聞き込み等で生息するという情報があった場合でも、現時点においてそこには生息しないと調査者が考える場合には、「?」記号を付す。