3−6 動物分布調査(淡水魚類)要綱

 

1. 調査の目的

わが国の淡水域に生息する魚類の生息状況を把握するため、絶滅のおそれのある種、学術上重要な種等の生息地、分布について調査する。

2. 調査実施者

国が都道府県に委託して実施する。

3. 調査対象地域

全国47都道府県全域について調査する。

4. 調査実施期間

契約締結の日から昭和54年3月31までとする。

5. 調査内容

(1) 調査の対象とする淡水魚類は、表1「調査対象淡水魚類種名表」に掲げたものとする。それ以外でも都道府県において重要と思われる種類があれば適宜追加してさしつかえない。

(2) 調査項目は次のとおりとする

ア 生息地(流域)の位置

イ 生息環境の概要

ウ 保護の現状

6. 調査方法

主として既存資料その他の知見の収集等により調査を実施する。

7. 調査結果のとりまとめ

受託者は、調査結果を下記の図票にとりまとめる。

(1) 淡水魚類分布図

淡水魚類分布は、別紙1「淡水魚類分布図」(以下「分布図」という。)にならい、国土地理院発行の1/20万地勢図に表示する。

(2) 淡水魚類調査票

調査した事項は、別紙2「淡水魚類調査票」(以下「調査票」という。)にとりまとめる。

8. 調査結果の報告

受託者は調査結果をとりまとめ、報告書150部、報告書付属資料1部及び分布図帳1部をそれぞれ別紙3「報告書作成要領」(略)、別紙4「淡水魚類分布図帳作成要領」(略)により作成し、昭和54年3月31日までに、環境庁自然保護局長あて提出する。

 

表1 調査対象淡水魚類種名表

    (注) イトヨは陸封型と降海型のものを区別した。

 

 

(別紙1)

淡 水 魚 類 分 布 図

   

(分布図作成上の注意)

1. 分布図には、必ず国土地理院発行の1/20万地勢図を使用する。複写図、編さん図等は使用しないこと。

2. 1/20地勢図には、都道府県単位で、東側から北から南へ「地図番号」を打つ。(下図(以下「地図番号図」という。)

3. 調査の結果、淡水魚類の分布が表示されていない地勢図が出てきても、当該都道府県にかかわりのある地勢図はすべて提出することとし、4の作業はすべての地勢図について行う。

4. 分布図例のように地勢図の余白の所定の位置に「タイトル」「地図番号」「調査年度」(西暦)「都道府県名」を黒インクで記入する。

5. 文献、聞込み、その他の資料等により、調査対象、魚種の生息地点等を地勢図上に示すとともに、それぞれの地点ごとに調査票と対照できるように対照番号を記入する。

捕獲地点や生息地点の位置を次の記号(記号の大きさは2o程度)で示し、その脇に当該淡水魚類の種番号(表1)を記す。

(例、2-5m……対照番号2番の地点でオショロコマの生息を現物で確認していることを示す。)

 

  記 号

  内              容

   調査者が当該種の現物を確認しているもの

   文献に生息に関する記載があるもの
   そこに生息するという話を聞いたもの
   生息しないのではないかと調査者が考えるもの

 

なお、県独自で調査対象とした淡水魚類については、学名の属名と種名の頭文字の組みあわせで適宜略号を作成する。

また、文献、聞き込み等で生息するという情報があった場合でも現時点においてそこには生息しないと調査者が考える場合には「?」記号を付す。

6. 対照番号は、地勢図ごとに通し番号とする。

7. 調査票の「取扱」欄が(秘)の場合であっても、一応、当該淡水魚類の生息地を分布図に表示する。

8. 地勢図の下方の余白には、分布図例のようにそれぞれの地勢図ごとに当該分布図の凡例を必ず記入する。

凡例は種略 − 種名の順に記入する。

 

(別紙2) 淡水魚類調査票

 

(調査票記入上の注意)

1  調査票の様式は前頁に掲げるものとし、用紙は110kg程度B5版左測2つ穴あきとする。

2  調査票は1水域の1淡水魚類ごとに作成する。

3  「調査年度」(西暦)、「都道府県」には、該当のものを記入する。

4  「取扱」には、公表することにより乱獲のおそれがある等、その淡水魚類の生息場所の公表が不都合な場合、赤字で(秘)と記入する。

5  「種略号」、「種名」には、表1「調査対象淡水魚類種名表」により、該当のものを記入する。

6  「方言」には、当該種について、その地方での標準和名以外の呼び名があれば、それを記入する。

7  「調査者」には、当該調査票作成者の所属、氏名を記入する。

8  「水域名(河川 湖沼)」には、調査対象となる淡水魚類の生息する水域の名称を河川あるいは湖沼名で記入する。

9  「地図番号」、「1/20地勢図」には、当該水域が主にどの地勢図にあたるか該当のものを記入する。

10 「保護の現状」には、天然記念物以外に当該種、当該生息地に関して現在とられている保護対策について具体的に記入する。

11 「天然記念物」には、当該種、当該生息地が天然記念物に指定されている場合に、次のいずれかを○で囲む。

国……………国指定の天然記念物

県……………都道府県指定の天然記念物

町……………市町村指定の天然記念物

種……………地域を定めず種が指定されているもの

地域…………地域を定めて指定されているもの

12 「息環境(水域)の概要」には、当該水域の環境の現状を記入する。また、「当該水域における問題点」には、当該水域における淡水魚類の生息にとって問題が発生している場合には該当する欄に○を付す。

13  当該種の生息に関するデータについては、生息地点ごとに以下のとおりに処理する。

14 「地図番号」、「対照番号」には、分布図と対照できるようにそれぞれ該当するものを記入する。

15 「所在市町村」には、当該種の生息地点の市郡、町村名を記入する。

16 「標高」には、生息地点のおおよその標高を地勢図から読みとって記入する。

17 「資料の種類」には、当該種がその地点において生息するという情報がどのような資料によって得られたかを次の中から選び該当する欄に○を付す。

現 認………調査者が当該種の現物を確認しているもの

文 献………文献に生息に関する記載があるもの

聞聞込………そこに生息するという話を聞いたもの

18 「確認年月日」には、当該種の生息が確認された年月日を記入する。年には西暦を使用する。詳細な確認年月日が不明の場合は、その部分は記入しなくてよい。

(1) 当該種を捕獲等で確認した場合は、捕獲年月日を記入する。

(2) 文献からの情報の場合は、文献に記載されている捕獲年月日を記入する。

(3) 聞き込みによる情報の場合は、聞きとった相手が当該種を確認した年月日を記入する。

19 「出典」には、当該種がその地点に生息するという情報の出典を記入する。

(1) 調査者が当該種の現物を確認している場合は、当人の氏名を記入する。

(2) 文献によった場合は、文献番号(後述)、筆者名、発行年(西暦)を記入する。

(3) 聞き込みによった場合は、その相手方の氏名を記入する。

20 「備考」には、文献や聞き込み等で生息するという情報があった場合でも、現時点においてそこには生息しないと調査者が考える場合には、その理由を次の記号で記入する。

 

記号 理     由
かつては生息したが、今は絶滅して生息していないと判断される。
文献や聞き込みの相手が種を誤って判断していると思われる。

21 生息を示すデータが多くて調査票のおもてに記入できない場合は、票の裏面に記入する。

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