3−10 河川調査実施要領

 

1.通   則

第2回自然環境保全基礎調査河川調査は、この実施要領に従って行うこととし、その調査内容は次のとおりとする。

(1) 魚類調査

(2) 河川改変状況調査

(3) 原生流域調査

2.河川等の定義

(1) この調査で「河川区域」とは、河川法の規定による「河川区域」とする。

(注) 河川区域の境界は、建設省地方建設局の工事事務所(管理が都道府県または市町村に委任されている場合は、都道府県または市町村の担当課)が保管している河川現況台帳の付属図面(通常、縮尺1/2,500または1/5,000)に表示されている。

(2) 「水際線」とは、平水位における水面が陸地と接する部分をいう。

(3) 「河原」とは、河川区域内の陸部のうち、比較的平坦な部分をいう。

(4) 「河畔」とは、河川区域の外側幅100mの区域をいう。

(5) 「右岸」「左岸」とは、それぞれ上流から下流に向った呼称である。

3.調査対象河川及び都道府県別調査分担

調査対象河川、都道府県別調査分担は、別表1「調査対象河川一覧」、別表2「都道府県別調査分担及び魚類調査地点数」(省略)によるものとする。

ただし、原生流域調査は、全国のすべての河川を対象とする。

4.魚類調査

(1) 別表1に示す河川の幹川を対象として、次に示すとおり、漁獲試験及び生息環境の調査を行い、「魚類調査表」(様式1)を作成する。また、漁獲試験の結果を既存試料の収集・整理及び漁協等からの聞きとりにより補足し、「魚類調査総括表」(様式2)を作成する。

(2) 漁獲試験

ア.調査地点

(ア) 調査地点は、次の事項に留意しながら設定する。

(1) 地点数はそれぞれの河川ごとに別表2の魚類調査地点数(省略)による。

(2) 河口と上流端の間に、できる限り均等に分散するようにする。

(3) 1河川を2以上の都道府県が分担して調査する場合には、関係都道府県間で調査地点の位置を調整する。

(4) 湖沼(天然、人工)内での調査は原則として避ける。

(5) できる限り投網の打ちやすい場所を選ぶようにする。

    (例)

(イ) 調査地点には、下流側よりst.1.st.2.……というように調査地点番号を付す。(1河川を2以上の都府県で分担して調査する場合も、通し番号とする。)また、調査地点の通称を調べ、調査地点、調査地点番号とともに「河川調査図」(様式4−省略)にならい、国土地理院発行の1/2.5万地形図に表示する。

(ウ) 調査地点の「河口からの距離」を河川の流心線に沿って計測する。(単位はkmで小数第1位まで求める。)

(エ) 調査地点「(河床)の標高」を調べる(単位はm単位で求める)

イ.調査実施期間

調査は夏(主として7、8月)に実施する。ただし雨後の濁りが著しい期間は避け、平常に戻った後に行うものとする。

ウ.調査内容

調査地点ごとに、投網による漁獲試験を実施し、次の項目について調査する。

(ア) 魚種名:捕獲された魚種の標準和名(種レベルまでの)を調べる。

(イ) 捕獲数

(ウ) 最小全長及び最大全長:単位はmmで計測する。

エ.捕獲方法

捕獲には、原則として、投網を使用する。ただし、投網では捕獲できない魚種を捕獲するために河川の状態に合わせて適宜、投網以外の方法を併用することが望ましい。

(ア) 投網の目合

目合の異なる2種類の投網(網目の長さ18mmと12mm程度のもの*)を使用し、使用した投網の目合を調査票に記入する。また、網裾の長さを計測(単位はmで、小数第1位まで)し、調査票に記入する。

※通称6分目と4分目

(イ) 投網の打数

上記の2種類の投網についてそれぞれ、捕獲数が50尾を越えるか、または、打数が10回に達するまで打つ。

(ウ) 投網を打つ場所

各調査地点において、できるだけ多くの種類の魚を捕獲するために瀬、淵、岸辺、流心等河川の多様な状況のところを広く打つようにする。

(エ) 投網以外の捕獲方法を用いた場合は、その方法について、調査票に記入する。

オ.種の同定が困難な魚種が捕獲された場合は、標本として保存するか、またはカラー写真を撮影する。

カ.調査に当たり、魚類の捕獲には、漁協組合員等の協力を、また、魚類の同定には、専門家の協力を得て実施するものとする。

(3) 生息環境調査

ア.漁獲試験の調査地点ごとに、次の項目について調査する。

(ア) 気  温

漁獲試験時の気温を測定する。測定は、日光の直射および周囲の放射を避けて行う。(単位は℃で小数第1位まで求める。)

(イ) 水  温

漁獲試験時の水温(表面水温)を測定する。測定はできるだけ流心付近で行う。(単位は℃で小数第1位まで求める。)

(ウ) 底  質

現地観察により、底質の状態が泥、砂、礫、岩、コンクリートのいずれに該当するか調べる。なお、瀬と淵等により底質の状態が異なる場合は、分けて調査票に記入する。

(エ) 塩 分

感潮域において、漁獲試験を実施する場合は、「海洋観測指針」(気象庁編)の測定法により、漁獲試験時の塩分を測定する。測定はできるだけ流心付近で行う。(単位は千分率(0/00)で小数第2位まで求める。)

なお、塩分を測定するかわりに、比重計により、比重を測定してもさしつかえない。(単位は小数第2位まで求める。)

イ.調査地点付近で、調査地点と状況が類似していると思われる地点において、水温、流量に関する資料があれば、その資料により次の項目について調査する。

(ア) 夏期水温の日変動

夏期(7、8月)における水温の日変動(平均水温及び日較差の平均)を調べる。

(イ) 夏期流量の日変動

夏期(7、8月)における流量の日変動(平均流量及び日較差の平均)を調べる。

(ウ) 流量の年変動

流量の年変動(最大・最小・平均流量)を調べる。

ウ.調査地点の概要として、調査地点付近でのダム、堰、護岸等の人工構築物の設置状況、水草の繁茂状況、水質、水のにごり、土砂の堆積、水深等魚類の生息、繁殖に関係すると思われる事項について調べる。

エ.調査地点において調査地点付近の状況を示す写真を撮影する。

(魚類調査票記入上の注意)

1.調査票は、1調査地点ごとに作成する。

2.「都道府県」には、調査担当都道府県名を記入する。

3.「河川番号」には、別表1に示す、当該河川の河川番号を記入する。

4.「調査地点の概要」には、記入例のように調査地点の概要について記入する。

5.「捕獲魚類種名」には、投網による捕獲数の多い順に、魚種名を記入する。

6.「捕獲数」「最小全長」「最大全長」については、投網以外の方法で捕獲された分は、()内に記入する。

7.投網以外の方法で捕獲された魚種の場合は、「備考」欄にその捕獲方法を()書きで記入する。

8.「調査者」には、調査にあたった者の代表者の所属及び氏名を記入する。

9.調査票裏面には、当該調査地点付近の状況を示す写真を貼付するとともに撮影方向についてコメントする。

  右岸より下流方向を臨む。

(様式1)

(記入例)

(4) 魚類調査総括表の作成

漁獲試験の他に、既存資料の収集・整理及び漁協等からの聞きとりを行い次の事項について整理し、「魚類調査総括表」(様式2)を作成する。

なお、魚類相の調査に関しては、魚類に詳しい専門家の協力をあおぐものとする。

ア.魚類相に関する記録

当該河川の魚類相全般についての学術調査等による記録があれば、その時、記録されている魚種名(原則として当該都道府県に係る分)を記入する。

イ.調査地点別魚類相

漁獲試験及び漁協等からの聞きとりにより、生息が確認された魚種を漁獲試験の調査地点別に整理する。

ウ.漁獲量(年平均漁獲量)

漁獲統計等により過去5年間の漁獲量の年平均を魚種ごとに単位はtで小数第1位まで調べる。

エ.放流量(年平均放流量)

放流されている魚類があれば、過去5年間の放流量の年平均を魚種ごとに調べる。卵放流の場合は単位は「千粒」、稚魚(ないしは成魚)放流の場合は、単位は「千尾」で示す。

オ.天然繁殖の有無

当該河川に現在生息していると思われる魚種について、採卵、人工孵化によらず自然の状態で繁殖しているかどうかについて調べる。

(総括表作成上の注意)

1.総括表は、当該都道府県の調査対象河川ごとに作成する。

2.「魚種名」には、別表3「魚類分類表」(省略)に示す順序に準じて魚種名を記入する。

3.「魚種名」には標準名を使用するものとする。また、「フナ」というような総称を用いることは避け、極力「ギンブナ」、「ゲンゴロウブナ」というように種及び亜種段階の名称まで調べるよう努める。どうしても種名まで確認できない場合には、必ず「フナ類」、「ドジョウ類」のように表示する。

4.記入例(ギンブナ、ゲンゴロウブナ、カワヨシノボリ)のように、文献の記録等で種名まで確認できなかったものは、類と表示する。

5.記入例(カジカ類(1)、(2)のようにカジカ類に明らかに2種いることが判っているが種名までは判明していない場合は、記入例のように「カジカ類(1)」、「カジカ類(2)」と表示する。

6.調査地点別魚類相の欄に用いる記号は次のように使い分ける。

○………漁獲試験により生息を確認したもの。

□………上記以外で漁協等の聞きとりにより生息を確認したもの。

7.「漁獲量」が四捨五入しても0.1t/年に達しない場合は、記入例のように「0.0t/年」と表示し、漁獲実績がない場合は「−」と表示する。

8.「放流量」が四捨五入しても1千粒(または1千尾)に達しない場合は、記入例のように「0千粒」(または、「0千尾」)と表示し、放流実績がない場合は「−」と表示する。

9.「天然繁殖」の有無がはっきりしない場合は、「?」と表示する。

10.「備考」には、記入例のようにそれぞれの魚種について特記すべき事項があれば記入する。

11.(種数計)には、調査地点別魚類、それらを合せたもの及び天然繁殖していると思われる魚類の種類数を記入する。種名まで確認できず「○○類」とされたものは1種に数える。また、天然繁殖の有無がはっきりせず「?」印となったものは、カウントしない。

12.表の欄外には、魚類相について調べた既存資料の名称、調査区間、調査(捕獲)方法等を記載する。また、○類印の説明、調査地点別魚類相の記号の凡例を記入例のように記載する。

(様式1)

5.河川改変状況調査

(1) 別表1に示す河川の幹川の水際線の改変状況、河原の土地利用状況、河畔の土地利用状況、ダム、堰等河川横断工作物の設置箇所数、取水施設の有無、河川の利用状況、河川環境における不快要因について、次に示すとおり既存資料(1/2.5万地形図)による調査及び現地確認調査を実施し、「河川改変状況調査票」(様式3)を作成する。

(2) 調査区間の設定

河川を河口より流路延長1kmごとに区切り、区切られた各区間を調査区間とする。調査区間には下流側より番号を付す。(1河川を2以上の都道府県で分担して調査する場合も、通し番号とする。)

各調査区間ごとに(4)以下の項目について調査するものとする。

なお、調査区間の設定に際しては、次のことに留意する。

ア.流路の途中に、湖沼がある場合、湖沼部分の流路延長は、流心線に沿って計測する。

イ.網走湖、十三湖、小川原湖、宍道湖、中海については、「湖沼調査」を実施するので、調査区間は設定するが、当該湖沼部分では、河川改変状況調査は行わない。

ウ.最上流端の区間については、区間延長が1km未満であっても、1調査区間とする。

また、調査区間の区切り線、調査区間番号を「河川調査図」(様式4)にならい、国土地理院発行の1/2.5万地形図に表示する。

(3) 都府県間の調査分担

1河川を2以上の都府県で分担して調査する場合、都府県間の調査分担の区切りは、別表2の調査担当区間の欄に掲げた地点に最も近い調査区間の区切り線のところとする。

(4) 水際線の改変状況(レクリエーション利用の場の有無)

水際線の改変状況を表1のとおり区分し、それぞれの調査区間において、各区分ごとの合計延長の10分比を求める。この場合、右岸と左岸のみを計測し、中洲については、計測しないものとする。

表1 水際線の改変状況区分

注) がけ地とは、傾斜30°以上、高さ3m以上の傾斜地をいう。

(5) 河原の土地利用状況

河原の土地利用状況を表2のとおり区分し、それぞれの調査区間において、各区分ごとの合計面積の10分比を求める。この場合、中洲の部分についても計測するものとする。

なお、調査区間内において、右岸、左岸及び中洲のいずれにおいても、幅100mを越える河原がない場合は、当該調査区間では、河原の土地利用状況の調査を実施しない。(調査区間内でほんの一部でも、幅100mを越える部分があれば、調査を実施する。)

表2 河原の土地利用状況区分

自然地 砂礫地または荒原地 (1)
背丈の低い草地 (2)
背丈の高い草地(アシ、オギ、ススキ等) (3)
樹 林 地 (4)
農業地(水田、畑、果樹園等) (5)
未利用造成地(河川改修等に伴い高水敷が造成されているが、施設的土地
利用、農業的土地利用はなされていない。)
(6)
施設的土地利用地(自動車教習場、ゴルフ場、グランド、公園、広場等の
施設的な土地利用がなされている。宅地等も含む。)
(7)

(6) 河畔の土地利用状況

河畔の土地利用状況を表3のとおり区分し、各調査区間において、右岸、左岸別にそれぞれ、河畔がいずれの区分に該当するかを調べ、コード番号で示す。

1調査区間の片側の河畔において、2以上の土地利用がなされている場合は、最も大きな面積を占めている土地利用を当該河畔の土地利用状況区分とする。

表3 河畔の土地利用状況区分

(7) 河川横断工作物の設置箇所数

ダム、堰、床固、水門、閘門等の河川横断工作物(橋染を除く)を表4のとおり区分し、それぞれの調査区間において、各区分ごとの設置箇所数を求める。なお、閘門については、閘門一室をもって1基とする。

また、堰堤部の高さ15m以上のダムをチェックしておく。

表4 河川横断工作物区分            コード

魚の溯上可能  魚  道  有
 魚  道  無
 (1)
 (2)
魚の溯上不可能  魚  道  有
 魚  道  無
 (3)
 (4)

注) 北日本においては、主としてサケ、サクラマスが溯上できれば溯上可能とし、西日本においては主としてアユが溯上できれば溯上可能とする。溯上可能性の判断については、漁協からの聞きとり等により行う。

また、魚道が設置されているにもかかわらず魚の溯上が不可能な河川横断工作物がある場合は、その原因が次のいずれに該当するかを調べる。

(8) 取水施設の有無

それぞれの調査区間において、取水施設の有無を調べる。

(9) 河川の利用状況

それぞれの調査区間の河川区域及び河畔において、次に掲げる利用状況が見られるかどうかについて調査する。

ア.風景探勝(遊歩道)     オ.川下り

イ.キャンプ          カ.常設釣場

ウ.温 泉           キ.漁 業

エ.ボート(渡しは含まない)

その他に、顕著な河川の利用が見られる場合は、調査票に記入する。

(10) 河川環境における不快要因

それぞれの調査区間において、次に掲げる項目が、河川環境において、非常に不快感を生じさせているかどうかについて調査する。

ア.水のにごり         オ.砂利採取

イ.水面上のアワ        カ.河畔の道路法面

ウ.河川の悪臭         キ.水量の少なさ

エ.河川区域内のゴミ・残材   ク.渇水時の露出したダム湖岸

その他に、河川環境において非常に不快感を生じさせている事例があれば、具体的に調査票に記入する。

(11) 保全地域の指定状況

それぞれの調査区間の河川区域において、自然公園、自然環境保全地域等(以下「保全地域」という。)が指定されている場合には、その地域地区区分を次のコード番号で示す。2以上の地域地区区分がある場合は、そのすべてのコード番号を示す。

表5 保全地域の地域地区区分

地 域 地 区 区 分

コード
国 立 公 園 特別保護地区 11
特 別 地 域 12
普 通 地 域 13
国 定 公 園 特別保護地区 21
特 別 地 域 22
普 通 地 域 23
県立自然公園 特 別 地 域 32
普 通 地 域 33

原生自然環境保全地域

41
自 然 環 境
保 全 地 域
特 別 地 区 52
普 通 地 区 53
県 自 然 環 境
保 全 地 域
特 別 地 区 62
普 通 地 区 63

(12) 鳥獣保護区の設定状況

それぞれの調査区間の河川区域において、鳥獣保護区の設定状況を調べ、次により区分し、コード番号で示す。

表6 鳥獣保護区の設定状況区分          コード

鳥獣保護区の設定がない  
鳥獣保護区の設定がある 特別保護地区の指定がない
特別保護地区の指定がある

(河川改変状況調査票記入上の注意)

1.「保全地域」には、表5より該当するコード番号をすべて記入する。

2.「鳥獣保護区」には表6より該当するコード番号を記入する。

3.「水際線(比)」の各欄には、表1の各区分の延長の10分比を記入する。

4.「河原の土地利用(比)」の各欄には、表2の各区分の面積の10分比を記入する。調査区間内に幅100mを越える河原がないため、河原の土地利用状況の調査を実施しなかった調査区間の欄には斜線を引く。

5.「河畔の土地利用」には、右岸、左岸別に表3より該当するコード番号を記入する。

6.「河川工作物」の各欄には、それぞれの設置箇所数を記入する。

7.「取水施設の有無」には、当該調査区間に取水施設がある場合は数字の「1」をない場合は、数字の「0」を記入する。

8.「河川の利用状況」及び「不快要因」には、該当する欄に数字の「1」を該当しない欄には数字の「0」を記入する。

9.「備考」には、流入河川、流路途中の湖沼、上流端について記入例のように記入する。

  調査区間の一部が、網走湖、十三湖、小川原湖、宍道湖及び中海である場合、当該湖沼部分では、改変状況調査を実施しないが、この場合、備考欄には、残された河川部分の延長を計測区間として記入する。

  (記入の場合)

また、「河辺林」が、当該調査区間の河岸(両岸)の1/2以上にわたって存在している場合は、備考欄に※印を記入する。

河沿いに成立する樹林は、たとえ規模は小さくとも、野鳥の休息場所や緑陰として憩の場となり、自然保護やレクリエーション利用上果す役割は大きい。これら、河原や河畔の土地利用調査では把握できない小規模な樹林の存在の有無を確認する。

河辺林としては、人工林、自然林の別や、構成樹種は問わないが主として中流域以下の平坦な箇所に成立する林をイメージしている。

(様式3)

(様式4) 河川調査図

(河川調査図作成上の注意)

1.調査図には、必ず国土地理院発行の1/2.5万地形図を使用する。複写図、編さん図等は使用しないこと。

2.調査図は、当該都道府県の調査対象河川ごとにまとめる。

3.調査図例のように、地形図の余白の所定の位置に「タイトル」「河川番号」「河川名」「調査年度」(西暦)、「都道府県名」を記入する。

4.河川区域の境界線を紫色の色鉛筆で表示する。上流域など、河川区域幅が狭く、河川区域の境界線を地形図上に表示することが困難な部分では、表示する必要はない。

5.魚類調査地点、調査地点番号及び調査地点の通称を調査図例のように、黒で表示する。

6,調査区間の区切り線を黒の点線で表示する。区切り線と区切り線の間に(下流側に寄せて)調査区間番号を記入する。

7.都府県間の調査分担の区切りは赤鉛筆で表示する。

6.原生流域調査

(1) 全国のすべての河川を対象として、次に示すとおり、既存資料による調査を行ない、原生流域を摘出する。

(2) 原生流域の定義

この調査で「原生流域」とは、次のすべての要件に該当する河川の集水域であって、その面積が1000ha以上のものをいう。

ア.集水域内で河川改修工事、砂防工事が行われていないこと。

イ.集水域内に人工構築物(建築物、車道、各種工作物)が存在しないこと。ただし、標識、測量杭等の軽微な工作物及び歩道については(登山道、踏み分け道)、この限りではない。

ウ.集水域内で森林の伐採(皆伐・択伐)、土石・鉱物の採取、水面の埋立、土地の形状変更等の人為の影響が認められないこと。(過去に択伐等による森林の伐採が行われていたが、現在は行われておらず、ほとんど自然の状態に復元している森林などは、人為の影響が認められないと判断してさしつかえない。)

(3) 原生流域を「原生流域図」(様式5)にならい、国土地理院発行の1/5万地形図に図示する。

また、原生流域に保全地域の指定がなされている場合には、次により地域地区を図示する。

地域地区区分 コード 指定色 色鉛筆の指定
国立公園 特別保護地区 11 橙  色 三菱ポリカラーNo.7500−4
特別地域 12 ピンク色      〃     13
普通地域 13 水  色      〃     8
国定公園 特別保護地区 21 橙  色      〃     4
特別地域 22 ピンク色      〃     13
普通地域 23 水  色      〃     8
県立自然公園 特別地域 32 ピンク色      〃     13
普通地域 33 水  色      〃     8
原生自然環境保全地域 41 橙  色      〃     4
自然環境
保全地域
特別地区 52 ピンク色      〃     13
普通地区 53 水  色      〃     8
県自然環境
保全地域
特別地区 62 ピンク色      〃     13
普通地区 63 水  色      〃     8

(4) 原生流域について、河川名、流域面積、関係する市町村名、保全地域名、植生の概要等を調査する。

   (様式5) 原生流域図

(原生流域図作成上の注意)

1.原生流域図には、必ず国土地理院発行の1/5万地形図を使用する。複写図、編さん図等は使用しないこと。

2.図例のように地形図の余白の所定の位置に「タイトル」「調査年度」(西暦)、「都道府県名」を記入する。

3.原生流域に、都道府県ごとに北から順に番号を付すとともに、「○○川上流部」というような名称を付け、地形図の余白の所定の位置に記入する。

同一地形図に2以上の原生流域がある場合は、「No.」「原生流域名」を連記する。

4.原生流域に該当する集水域の境界を紫色の色鉛筆で表示する。

5.原生流域にかかる保全地域の地域地区区分を指定色により表示するとともに、地域地区区分のコード番号を記入する。

また、「○○国立公園」「○○原生自然環境保全地域」のように保全地域の名称を記入する。

6.1つの原生流域が2以上の都府県にまたがる場合は、関係都道府県間で調整し、1つの原生流域については、1都府県が原生流域図をまとめるようにする。

(3) 原生流域の摘出

原生流域の摘出の際、集水域のとり方は図に示すとおりとする。

別表1 調査対象河川一覧

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